ツタのからまる木造建築、手作りの温かみのある店構えのカフェ、昔の広告や看板がそのまま残っていたり…目まぐるしい開発でビルがひしめく梅田の真横にありながら、中崎町はゆったりとした昔ながらの雰囲気をとどめる人気の癒しスポット。同時に個性的なカルチャーの発信地として注目を集めています。
そんな中崎町の街並みに溶け込む、古い校舎のような懐かしい雰囲気のサクラビル。その一室、温かみのある電球に山積みの本が照らされています。靴を脱いでやわらかい絨毯に踏み入れると、五感で文学とカルチャーの雰囲気を体感できます。
誰もが子供のころ学校で教わったことがあるであろう短歌。季語がない分、俳句より自由で、気軽に作れる文芸としてひそかに人気を集めています。短文との相性がいいTwitterで作品をつぶやき交流する今ドキの潮流も盛り上がりを見せています。
葉ね文庫の店主も、そんな短歌の魅力にはまった一人。未経験の書店・古本業界に飛び込み、短歌と本への愛の力でお店を一からつくり上げてきました。
出版された歌集はもちろん、普通の書店ではまず出会えない、読み手が自ら制作した同人誌や廃版になってもうここにしかないファン垂涎の本などが充実しています。
短歌初心者でも大丈夫。店長のさりげない解説に導かれて、あなたにぴったりな一冊が見つかります。
店の奥では、店長が目利きで仕入れたものや、お店を訪れる詩歌・文学好きが放出したものなど、これまた面白い出会いに満ちた古本も販売しています。
葉ね文庫はただの売買の場ではなく、短歌と読書を愛する人々の交流の場にもなっています。
ビルの廊下に面した窓にずらりと張り出された短歌たちは、お店に来たお客さんが書き残したもの。中には人気の歌人のものも!ここでしか読めない貴重な作品です。
ぜひ旅の記念に一句詠んでみてくださいね。
本を紹介するポップも、実は店主ではなく歌人たちが書いたもの。飾らない感想や、作者の歌人にあてた手紙調のものなど、どれも面白く、ついつい読んでしまいます。
店主の友人の壁紙プランナーさんによる手作りの壁紙&壁画も見逃せません。
店名の「葉ね」の響きから連想した「羽」と「跳ね」をイメージした線が、開放感のあるブルーのグラデーションの上をのびのびと飛び回っています。
もう一枚の壁は、アーティストや歌人の作品発表の場。意外なコラボレーションもあったりして、わくわく・どきどき、感性が揺さぶられます。
新しい本との出会いに彩を添えてくれるのが、お店のオリジナルブックカバー。好きな色を選ぶと、店主が一冊一冊丁寧に包んでくれます。やさしい色みと風合いの紙に、壁で飛んでいた「葉ね」が踊っています。
お家への帰り道、本を取り出して眺めるたびに独特なお店の思い出がよみがえってきます。
本をただの情報媒体と考えればネットでも簡単に効率よく本が買えてしまう世の中だからこそ、人のあたたかみや旅の思い出がつまった本はいとおしいものです。
忙しい日々の合間、疲れた心にゆとりと文化の栄養を与えるひとときが欲しくなります。
そんなときはゆったりとした時間の流れる中崎町の葉ね文庫を訪れてみてください。
味わい深い短歌と人々の温かさがあなたを待っています。
買った本を片手に、中崎町の落ち着いたカフェで一休み、というのもいいですよ!
店主が会社勤めの傍ら一人で運営しているお店なので開店日時が限られています。ご注意ください。
火・木・金:19時〜21時30分
土:11時〜21時30分
土曜の昼間に行けば中崎町の魅力がたっぷり楽しめます。一方、夜の古ビルの知る人ぞ知る書店というのも、冒険心がくすぐられて楽しいですよ。
予定調和なお出かけでは得られない、心躍る言葉との出会いをお楽しみください。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索