写真:村井 マヤ
地図を見る尾道水道の東側、「新尾道大橋」と「尾道大橋」側にあるお寺は、海龍寺と浄土寺。「尾道七佛めぐり」で巡ることのできる2つのお寺です。尾道駅からは離れているため、バスで「浄土寺下」まで行っていただき、線路下の階段を上って浄土寺山門へ到着。海龍寺は、浄土寺前を通り右側へと進みます。七佛めぐりですと、海龍寺、浄土寺とお参りしていただき、西へ西へとお歩いてまわります。これもまたご利益のある楽しい寺巡りです。ぜひ、体験なさってください。
この山門前の綺麗に整備された通りからは、美しい尾道水道の絶景と先述した2つの橋をご覧になれます。
さて、今回ご紹介の浄土寺は、線路下の階段(写真)を上って正面に見える朱色の山門をくぐったところ。階段を上りきって振り返ると、線路越しに見える尾道水道や尾道の町、向島まで見渡せます。山陽本線の電車がここを通ると尾道らしさ倍増で、このポイントで写真を撮影される方も多くいらっしゃいます。絵心があれば、スケッチしても良いでしょうね。
写真:村井 マヤ
地図を見る階段を上ぼりきったら目に飛び込んでくるのが、朱色の堂々とした重要文化財の山門です。山門の脇には、尾道石工の素晴らしい石碑があります。碑文は、江戸時代の漢詩人頼山陽作で狛犬が石碑に巻きつくように彫られていて、すごく面白い石碑です。しかも一石彫というからすごいですよね。この石碑もぜひカメラにおさめて下さいね。
お寺の門をくぐる前から、見応えある浄土寺は、616年聖徳太子開基と伝わる古刹です。平安時代末期には、高野山と縁を結びました。その後一時衰退したりしましたが、鎌倉時代の再興時には奈良西大寺派(律宗)となりました。江戸時代には、京都の皇室の菩提所でもある御寺泉涌寺の末寺となり、その後は真言宗泉涌寺派大本山浄土寺となります。浄土寺の歴史を垣間見ると、尾道の古寺の歴史や港町尾道の栄華ぶりも見えてきますよね。
写真:村井 マヤ
地図を見る浄土寺の境内は、広くてどこから見たら良いか迷われることでしょう。時間があれば、寺宝の拝観(有料)をされると良いでしょうが、あまり時間がなければ、国宝や重要文化財の建物だけでもご覧ください。まずは、国宝の「本堂」です。本堂は、山門を抜けてやや左よりにあります。外陣までは自由にお参りできますよ。お参りしたら、腕に覚えありの力自慢の方は、ぜひ「願い石」を回してみましょう。かなり重いのですが、うまく回れば願いが叶うという言い伝えも。その次にご覧いただきたいのが、写真の「阿弥陀堂」です。南北朝時代に建てられた美しい建物です。美しく穏やかな屋根のそりや均整のとれた仕上がりとなっています。
写真:村井 マヤ
地図を見る「阿弥陀堂」の手前には、日本三大名塔ともいわれる国宝の「多宝塔」があります。「多宝塔」のまわりを右回りに三回まわると、健やかなお子様が授かるとも言われています。
この美しく大きな多宝塔は、元徳元(1329)年鎌倉時代末期建立で、三間多宝塔、本瓦葺。見どころは、大きなわりにバランスよく美しい塔の姿、軒の垂木や蟇股の装飾の素晴らしさです。蟇股には、牡丹・唐草に蝶の透かし彫りが施されています。桜の季節には、朱色に薄ピンク色が映え、華やかさを増します。
桜の季節の尾道にぜひお出かけになり、浄土寺まで足を延ばしてくださいね。
写真:村井 マヤ
地図を見る国宝である本堂には、「二つ引き両」の紋の入った提灯が下がっています。これは、足利家の家紋であると同時に浄土寺の寺紋でもあります。国宝や重要文化財のなかには、足利尊氏ゆかりのものを含まれています。
例えば、写真中央の石塔は「足利尊氏供養塔」で南北朝時代の作で重要文化財に指定されています。この石塔等はもちろん、尾道石工の名作ですよ。また、尊氏公が戦勝を祈願し奉納した「紙本墨書・観世音法楽和歌」や尊氏が身に着けていたと伝わる木像の阿弥陀如来立像などが浄土寺に所蔵されています。
お時間があれば、浄土寺の本堂、阿弥陀堂、庭園の拝観をされるとより浄土寺の歴史や素晴らしさを堪能できるでしょう。加えて、宝物館もオススメです。例えば聖徳太子の三尊像などの寺宝がご覧いただけるので、併せてご覧になることをオススメします。なお、宝物館のみ、本堂、阿弥陀堂などの拝観のみも可能です。詳しくは、下記MEMOの浄土寺HP「拝観のご案内」をご覧ください。
浄土寺を訪れたなら、せっかくですから「尾道七佛めぐり」にチャレンジしませんか?通常は、個人で巡る「尾道七佛めぐり」なのですが、(一社)尾道観光協会の定期ツアー第2回目として、2016年3月13日(日)に「お坊さんと巡る尾道七佛めぐり」が開催されます。でも大変な人気ですでに満員なんだとか。次回は9月25日(日)ですよ。普段聞きたくても、なかなか聞けないお寺に関する疑問にも気楽に答えていただける、お得で楽しい癒しツアーなのです。ツアーならではの特典もありますので、ぜひ参加してくださいね。
もちろん、自分のペースで、ゆっくりお寺巡りをするのも楽しいですし、気ままな散策になるでしょう。いずれにせよ、尾道古寺めぐりで、浄土寺には必ず立ち寄って欲しいもの。素晴らしい出会いが待っていますよ。
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(2024/12/4更新)
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