写真:フルリーナ YOC
地図を見るグエル公園はバルセロナ市街の北部に位置しています。元はガウディの良き理解者・支援者であったグエル伯爵とガウディが作ったガーデンシティ。二人は自然と芸術に囲まれて暮らす夢を込め、1900年から14年の歳月をかけてこのガーデンシティを作りました。
ガウディは1906年にここに移り住むと、グエル伯も続いて移住。二人は一緒に散歩などをしてを楽しんだそうです。ここには当初60戸の分譲予定がありましたが、ガーデンシティの自然を生かす規制の数々が災いしてか、実際に売れたのはガウディ邸とグエル伯邸を含めわずか3軒。その後グエル伯の死後、このガーデン・シティはバルセロナ市に譲渡され、市民や旅人の憩いの場として公園となっています。
この公園で注目してほしいキーワードは「トランカディス」! これはカタルーニャ語で「壊れたタイル」という意味です。ガウディの建築物は曲線を多く使っているので、普通のタイルはうまく貼れません。そこでガウディは、タイルを砕いて貼り付けていく工法をとりました。ぜひ「トランカディス」の美しさと、その自由な曲線と彩りを楽しんでください。
写真:フルリーナ YOC
地図を見るグエル公園を入るとまず目に入るのが、お菓子のような家、二つ。これは、当初は「管理人室」として作られました。塔の上にはどこから見ても十字架に見える4本横木の十字架とキノコ型の煙突。お菓子の家に砂糖をふりかけたような可愛いこの管理人室は、現在は売店となっています。この建物のデザインはウォルト・ディズニーが興味を持ったと言われています。
もう一つのお菓子の家は「門番の家」として作られましたが、今はバルセロナ市歴史博物館の一部として使われています。どちらの家は1900〜1903年の間に造られ、キノコ型の煙突を持つという共通点があります。カタルーニャ人はキノコが大好き!カタルーニャをこよなく愛したガウディは、その作品にカタルーニャの自然をモチーフにしたデザインを沢山使いました。他のガウディ建築にもキノコをモチーフにしたものがいろいろありますので、キノコ探しもしてみてくださいね!
写真:フルリーナ YOC
地図を見るグエル公園で絶大なる人気を誇るのがこの爬虫類のオブジェ。このオブジェは正面ファサードの階段の途中にあり、いつも写真を撮りたい人の列ができています。ドラゴンともトカゲともサンショウウオとも言われるこの人気者が何なのかは、はっきりと解っておりません。グエル公園の公式HPには「The Dragon」とありますが、特定の動物を作ったというよりも、ガウディのイマージネーションから生まれた動物ということでしょう。
正面エントランスを入った階段の上にあるこのドラゴン君。よく見ると、お口からチョロチョロ水が流れています。実はこれ、階段奥・柱廊の地下の雨をためる貯水槽の放水口。ドラゴンの下に位置するヘビさんの口も同じように放水口となっています。このヘビの頭の周りにに描かれている黄色と赤のストライプの柄はカタルーニャの紋章。カタルーニャをこよなく愛したガウディの思いはこんなところにも表れています。
写真:フルリーナ YOC
地図を見る正面階段を登って行くと、ドーリア式列柱が並ぶホールにでます。ここは市場として計画された場所で、86本もの円柱が上のテラス全体を支えています。天井には「太陽」や「メドゥーサ」など美しいモザイク装飾も施され必見です。このホール天井の上は屋上広場となっていて、雨が降ると雨水が列柱の柱の中を通って地下の貯水層へ流れ、先ほど説明したドラゴンやヘビの口から放水される仕組みになっています。
また、屋上広場のベンチは、ガウディがアダムとイブの話からヒントを得て作ったと言われる「ヘビのベンチ」。曲がりくねった長いベンチは「長さ世界一」のベンチと認定され、美しい破砕タイル「トランカディス」が色とりどりに散りばめられています。このベンチはなんと石膏の鋳型の上に人を座らせ型をとって制作しました。どうりで座り心地がよいわけです。
美しいモザイク装飾は、「ドラゴン」のモザイクも担当したジュセップ・マリア・ジュジョールの作。ガウディは彼に大きな信頼を寄せていました。色鮮やかに自由に波打つ「トランカディス」は、カタルーニャの自然の美しさ・・海や空、太陽や月、木々の緑や花々などを思わせます。またここグエル公園は美しい展望ポイントでもあり、屋上広場「ヘビのベンチ」からは、地中海とバルセロナ市街を見渡せます。
ここからの眺めも美しいのですが、時間があれば公園の一番高台にあるゴルゴダの丘まで登ってみましょう。十字架の建つゴルゴタの丘からは、地中海を背にしたサグラダファミリアの絶景が望めます!ガウディが愛したカタルーニャの海、バルセロナ、そして彼がすべての力を注いで設計をしたサグラダファミリアが完成へ向かって空へ聳える姿は、忘れえぬ感動を与えてくれるでしょう
写真:フルリーナ YOC
地図を見るグエル公園の中には、ファンタジー溢れる作品群と同時に、アフリカや南国を思わせるダイナミックな造形もあります。ここは茶褐色の石を積み上げ作った柱廊回廊。緑にしげるヤシや木々の緑と褐色の大地色の傾いた柱は、ドラマティックな自然の美しさを演出しています。
この柱廊の柱はグルグルにねじれたような躍動的なデザイン。他にも2段になっている柱廊や、上が道路や橋になっている柱廊、柱に洗濯女の彫像がなされているものなどあるので、じっくりと眺めながら歩いてくださいね。ここは暑い夏の日にはとても涼しくお勧めです。
いかがでしたか。ガウディとグエルが夢見た、ファンタジー溢れるガーデンシティ。二人の見た夢はガーデンシティという形では実現しませんでしたが、そのおかげで私たちはバルセロナでこの素晴らしいガウディの世界を体験することが出来ます。不世出の天才ガウディのファンタジーと戯れていると、まるでお伽の国で遊ぶ子供のような気持ちになってきます。
グエル公園は現在一部有料、予約制になっています。予約はインターネットからもでき、前売り割引もあります。指定された時間から30分以内に入場する必要がありますのでご注意を。予約サイトはMEMOに入れておきますね。
バルセロナ市街や郊外には他にもガウディの作品群がたくさん残されています。サグラダファミリアはもちろんの事、カーサ・ミラ、カーサ・バトリョ、カサ・ビセンス、グエル邸、コロニアグエル教会など必見です!ぜひサグラダファミリアの他の、ガウディ作品もお楽しみくださいね。それでは皆さん、すてきな旅を!
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(2024/12/14更新)
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