写真:澁澤 りべか
地図を見るベトナムの首都ハノイの見所として有名なホーチミン廟のそばに、「ホーチミン博物館」があります。ホーチミンにまつわる様々な資料が展示されており、彼の生涯とベトナム独立までの苦難の歴史を学ぶことの出来る場となっています。
その展示物の中に彼が愛用していたサンダルがあります。古タイヤで作られた真っ黒なサンダルです(写真右下)。
あらゆる物が欠乏していた当時、ホーチミンと解放戦線(ベトコン)の兵士たちは、使い古されたトラックのタイヤで作られたこのサンダルを履いて戦いました。
ホーチミンは底がすり減るとゴムを継ぎ足して、一足のサンダルをボロボロになるまで大切に履いたといわれています。
写真:澁澤 りべか
地図を見るこの“ホーチミン・サンダル”は「ホーチミン博物館」の出口のすぐ外で買うことができます。
実はここで売られているサンダルはすべて、最後のサンダル職人の手によるものです。
かつて“ホーチミン・サンダル”を作る職人はたくさんいました。しかし独立戦争が終わり、おしゃれで安いサンダルが普及するとともにどんどん職人は減って、無骨な黒いゴムサンダルは歴史的遺物となりつつありました。
ところがいま、このサンダルが再び脚光を浴びています。というのも、いまだにひとつひとつ手作りで“ホーチミン・サンダル”を作り続けている職人がたった一人だけいる、と内外で話題になっているからです。
それがファム・クアン・スアンさん。戦後は機械工をしていたこともありますが、定年後に本格的にサンダル作りに復帰。NHKの取材を受けたこともあり、またベトナム航空の機内誌(2015年12月号)でも特集されています。
”ホーチミン・サンダル”と最後の職人の存在は徐々に海外でも知られるようになり、ベトナムみやげとしてサンダルの需要が復活しました。
写真:澁澤 りべか
地図を見る店頭で接客している男性のひとりはスアンさんの娘婿であるグエン・ティエン・クオンさんです(写真の男性)。クオンさんは義父のサンダル作りを手伝い、またインターネットを使った宣伝活動にも力を入れています。残念ながらホームページは日本語には対応していません。
クオンさんの後ろに見えるのはホーチミンが実際にサンダルを履いているパネル写真です。付近には長さが1メートル近くある巨大サンダルなどもディスプレイされています。
写真:澁澤 りべか
地図を見るスアンさんが作るサンダルは細かくサイズも分かれていて、いまはデザインも様々です。1足1000円程度。最近はトラックではなくボーイング社の飛行機のタイヤを使ったものもあり、こちらは少し高め。
手作りなのでサイズやデザインが同じでも微妙なはき心地の違いがあります。色々はいてみて自分の足に一番しっくりくるのを選んでください。もし甲のベルト部分がゆるんできたら、ウラから引っ張って調整できます。
ベトナム独立の一端を担ったホーチミン・サンダル。兵士らはジャングルだろうと岩場だろうとこれで行軍しました。タイヤ製だけあって柔らかくて丈夫。滑りにくく雨にも強い!
さっそくこれをはいてハノイの町を歩いてみるのもいいですね。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
澁澤 りべか
歴史の舞台を旅しながら、日本で世界各国の歴史、文化、宗教、習慣などを教えています。これまで、のべ30カ国90件ほどの世界遺産を訪問しました。年に数回、歴史を五感で楽しんでもらうイベントを開催しています…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
旅行ガイドを検索!
(2025/1/18更新)
- 広告 -