東京文京区「印刷博物館」家康が作らせた活字、世界最古の印刷物も!

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東京文京区「印刷博物館」家康が作らせた活字、世界最古の印刷物も!

東京文京区「印刷博物館」家康が作らせた活字、世界最古の印刷物も!

更新日:2016/02/09 11:36

松縄 正彦のプロフィール写真 松縄 正彦 ビジネスコンサルタント、眼・視覚・色ブロガー、歴史旅ブロガー

最近は活字の名刺が人気ですが、徳川家康が”日本最初の銅製活字”を作らせたのをご存じでしょうか?これを契機に、日本では庶民にまで読書の習慣ができたのです。文化と深いつながりをもっている印刷、文京区「印刷博物館」では世界最古の印刷物、家康の活字の他、グーテンベルグの「42行聖書」や「解体新書」など珍しい本が多数展示されています。

文化の普及・継承を支えてきた印刷

文化の普及・継承を支えてきた印刷

写真:松縄 正彦

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人類は寿命が長くなり、情報を祖父母から孫へと継承する事ができてから文化が発展したといわれます。古くは会話で、そして文字が粘土や木などに記録され伝えられたのです。写真は「木簡」(複製品)で木片に記録されたものです(「紙の博物館」所蔵、メモ欄参照)。
そしてパピルスや紙が発明され、文化が広範囲に広がる事になりました。

さらに15世紀の”グーテンベルグ”による「活版印刷」の発明は、手書きあるいは木版などによる少数の記録・複写から情報の大量複写を可能とし、人類文化の継承・普及にとって大きな転機となりました。
この文化を支える”印刷”の歴史、その成果物を印刷博物館で知る事ができます。

展示では最初に前記文字記録(主にレプリカ)をプロローグとし、記録から印刷の世界へと導かれてゆきます。それでは早速印刷の世界をご案内しましょう。

日本〜世界最古の印刷物、徳川家康の銅活字〜

日本〜世界最古の印刷物、徳川家康の銅活字〜

提供元:印刷博物館

http://www.printing-museum.org/地図を見る

仏教は6世紀に日本に伝来しましたが、普及には仏典が必要です。当初、手書きで写経がおこなわれたのですが、なんと”百万”も経典を作るという、ちょっと力任せともいえる一大事業が孝謙天皇により行われました(764年〜770年)。これが”現存する世界最古の印刷物”である「百万塔陀羅尼」(木版あるいは銅版)です。
以後も、日本では経典や護符など仏教に関係する印刷物の出版が主で、この状態が江戸時代前まで続きます。”奈良や京都のお寺が江戸時代までの出版文化の中心地”だったのです。これが変わる1つのきっかけが秀吉の朝鮮出兵でした。

当時、朝鮮では銅活字が普及しており、徳川家康はこれをもとに”日本最初の銅活字”を作らせました。これが「駿河版銅活字」(写真)です。その数なんと11万本!家康はこの活字を用いて帝王学の書「群書治要」を刊行させました。また木製の活字なども作られ、これらで「徒然草」などの古典等も多く出版されます。このような背景で江戸時代、大都市で民間中心の出版文化の華が咲いたのです。庶民にまで読書の習慣が根付いたのは徳川家康のおかげともいえるでしょう。

博物館には百万塔陀羅尼経や駿河版銅活字、そして群書治要などが展示してあります。また錦絵の色が版毎にどう再現されるか、葛飾北斎の富嶽36景を例にした展示コーナもあり楽しめます。

海外〜グーテンベルグの活版印刷と珍しい本の数々〜

海外〜グーテンベルグの活版印刷と珍しい本の数々〜

提供元:印刷博物館

http://www.printing-museum.org/地図を見る

ヨーロッパに紙が伝わったのは12世紀になったからです。それまでヨーロッパでは動物の皮で作った「羊皮紙」が主に使われ、14世紀になってようやく紙と羊皮紙が同じ程度に普及しました。中世を通して本は手書きの写本が主で、大量の本が出回るようになったのは15世紀のグーテンベルグによる活版印刷の発明が契機でした。あのマルチン・ルターもこの技術を聖書印刷に用い、民衆の教化の手段としたのです。

博物館では活版印刷技術で印刷されたグーテンベルグの「42行聖書」、ダーウィンの「種の起源」やデカルトの「方法序説」など珍しい本が多数展示されています。なにげなく展示されていますのでうっかりすると見落とす可能性があります。ご注意下さい。
また杉田玄白の「解体新書」(写真)と、元となった「ターヘルアナトミア」が隣会わせに置かれ、図版を見比べる事ができるのも面白い展示です。

これらの珍しい書物が直ぐ近くで読めるように展示されているのもここの特徴です。

写本修復事業〜バチカン教皇庁〜

写本修復事業〜バチカン教皇庁〜

写真:松縄 正彦

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実はこの印刷博物館(写真)は凸版印刷(株)が設立した企業の博物館で、トッパン小石川ビルにあります。展示に企業色はありませんが、凸版印刷(株)が文化活動に貢献している面白い紹介がありますので、それを次にご紹介します。

ヨーロッパでは羊皮紙が主に使われる時代が長く、バチカン教皇庁の図書館にはさまざまな言語の、古代から中世までのこのような写本が8万点以上集められています。これらの修復維持のために凸版印刷(株)と共同で、現在”デジタル化”が進められています(キケロプロジェクト)。
また羊皮紙は高価で”同じ重さの金と同じ価値”があったため、何回も再利用されました。このため写本文書の中には眼ではみえない”消された記録”が隠れているケースがあります。この隠された情報の解読もこのプロジェクトの主な目的です。

博物館では教皇庁との共同研究の成果である隠れた情報の”読み取り機”やこれを用いた解読作業も見る事ができます。なお、このプロジェクトの最初の成果はグーテンベルグの「42行聖書」の修復デジタル化でした。グーテンベルグは紙だけでなく”羊皮紙にも印刷”していたのですね。こんな事実はこの博物館に来ないと知る事ができません・・。

VRや印刷体験も

博物館では印刷工場でしか見れない、各種の”版”なども展示されています。
またヴァーチャルリアリティ(VR)のシアターや印刷工房も併設されています。スパコンで再現したCGで色々な視点ですばらしい景色を楽しんだり、活字を用い印刷体験ができたりと参加型の体験をする事も可能です。スケジュールを確認してぜひ体験してみて下さい。

最近”タブレット”が話題ですが、これは蝋を塗った古代の字を書く板、「書字板」に由来した言葉です。また英語の”book”(本)も文字を刻んだ書字板の材料であったブナ材を意味した言葉です。我々は古代の文字記録と関係した言葉を現在もなにげなく使用しているのです。

文化の裏側を古代から支え続けて来た印刷、こんなちょっと知的な世界を覗いてみるのは如何でしょうか。人類の営みが垣間見えてきますよ。王子にある「紙の博物館」と併せて訪れるのがお勧めです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/26 訪問

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