写真:car min
地図を見るナミビアの北西部、大西洋から少し内陸に入った場所に「化石の森」と呼ばれる自然保護区があります。世界遺産のトゥエイフェルフォンテンから車で約1時間ほどの距離に位置します。この地方はナミビアの中でも特に1年中暑く、そして夜は寒いという温暖の差が激しい地域です。
この「化石の森」と呼ばれる場所もその気候により、ブッシュと呼ばれる低木がまばらに生えているだけで、他には何もないところです。しかし、その手つかずの自然が多様な美しい景観を見せてくれます。
写真:car min
地図を見る保護区の中はグループごとにガイドさんと見学するようになっています。まず入って道なりに進んで行くと、とても珍しい植物を教えてくれます。
ヴェルヴィッチア(Welwitschia)という名前のその植物は、世界中でナミビア西部のナミブ砂漠とアンゴラの一部にしか生息していない、他では見ることが出来ない植物なんです。
この植物は雌株、雄株と単体で生存し、長寿なものになると2000年も生き続けます。(写真は雌株で推定200年。)名前は、1859年ににオーストリア人のヴェルヴィッチア氏がアンゴラで発見したことに由来します。日本ではそのあまりに奇怪な様子から、「奇想天外」という異名も付けられています。
写真:car min
地図を見る保護区内を進んで行くと倒れた木があちらこちらに見えてきます。触れてみると、木の柔らかさはなく、とても固いことに驚きます!
「化石の森」とは現地の英語名で「Petrified Forest」=「石化した森」。その名の通り大昔に木だった物がこの現代に石のように固くなって大地に横たわっています。
その昔2.8億年程前にアフリカ大陸がまだ今の地形ではなかった頃、巨大な洪水が起こり、木々を引き抜き、中央アフリカからこの地まで押し流して来たと考えられています。なぜなら、この木々はモミやマツの原型といわれる種類で、ナミビアで育つものではないのです。
とても想像できない年月ですが、この「化石の森」には化石化した木の幹が約50もあり、最も大きい物で長さ30m、幹の胴囲が6mになるものも見ることが出来るんです。
写真:car min
地図を見る木の幹だったものにはくっきりと年輪が刻まれています。
洪水は木々をこの地に運んだだけではなく、多くの泥や砂を同時に運び、倒れた木の上に覆い被せました。そして、その巨大な圧力により空気の侵入を阻止し、ケイ酸を含んだ地下水が木の細胞に入り、長い年月をかけ木々はとても固く石のようになったのです。
2.8億年前に大地に横たわった木々は約2億年間地中深く埋もれ、地殻変動などで地表に再び現れたのは約8千年前と考えられています。悠久の時を超え再び太陽の光や風を感じた時、木々は何を感じたのでしょう。年輪に指を沿わせてみると太古からのメッセージが聞こえてくるかもしれません。
写真:car min
地図を見る受付の横には小さなショップがあり、地元の人々が手作りした素朴なお土産が並んでいます。木の枝や木の実で作った飾りなど、レジに立っている女性が作った物もあるんですよ。製作者の顔が見えるグッズは、旅の思い出になること間違いなしです!
ガイドツアーの始めに注意されますが、この自然保護区内の場所にダメージを与えたり、化石化した木を他の場所に動かしたり持ち去ったりすると、最大でアフリカランド5000(日本円で約4万円)か12か月の禁固刑、またはその両方となると掲示されています。
無造作に転がっているように見えても貴重な国家遺産なので、ガイドさんの指示に従って楽しい旅になるようにしてくださいね。
この記事を書いたナビゲーター
car min
はじめましてcar minです。2012年より縁あってドイツの西部に住んでいます。日本在住の頃は一人旅でアジア、ヨーロッパを中心に旅し、ドイツに移り住んでからはドイツを中心に近隣の国へと出かけ、30か…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索