旧・門司税関(写真左手の赤レンガ建物)が建設されたのは、1912年(明治45年)。その前身の門司長崎税関出張所は1885年(明治18年)の設置。この税関出張所を置く申請を目指したのが、朝ドラヒロイン・あさのモデル広岡浅子です。彼女は、筑豊にあった自社炭鉱から遠い長崎港ではなく、より近い門司港から石炭輸出を目論みました。そして門司港で初めて石炭の輸出の許可を受け、その後、1896年(明治29年)に門司港は日本最大の石炭積み出し港へと発展し、現在の「門司港レトロ」へのいしずえとなりました。
1889年(明治22年)に門司港は特別輸出港に指定。この年、長崎税関の出張所として、門司長崎税関出張所が日本郵船会社の一室を借りて設置されたのが、門司税関の本格的第一歩と言われています。広岡浅子が石炭輸出許可を申請した当時、出張所といっても、建物は存在せず、事務手続きのみ官吏が出張して行ったようです。
なお、旧・門司税関の設計は、妻木頼黄(つまきよりなか)咲壽栄一(さくじゅえいいち)。妻木は現「横浜赤レンガ倉庫(横浜市)」、「日本橋(東京都)」、「半田赤レンガ建物(愛知県半田市)」などの名建築を手掛けたことでも知られています。無料で見学できます。
名物「焼きカレー」の名店は数あれど、おススメなのが1921年(大正10年)三井物産の宿泊施設として建築された旧・門司三井倶楽部。アインシュタイン博士がノーベル賞の受賞前に宿泊した由緒ある建物。柱が建物の外側に縦と横に入ったハーフティンバー工法は、異国情緒とレトロ感溢れ必見です。1階は入場無料で、イベントホールや趣あるソファがあり、覗いたついでに座ってみてください。2階は、入場料100円。アインシュタイン博士が宿泊した部屋と作家・林芙美子資料室があります。
1階の大部分は、クラシックホテルのような重厚感溢れるなレストラン。高い天井、上品で古風なシャンデリア、外観はそれほど大きく見えませんが、中は驚きの広さ。チーズがたっぷりのった焼カレーセット(スープ・サラダ・香物・デザート・コーヒー付1,490円)がおススメ。人気のレストランで収容力もあるため、観光バスで団体客が来ます。ランチタイムは満席になる可能性があるので、昼前に一度立ち寄り、予約しておくと安心です。
1995年(平成7年)中国大連市との友好都市締結15周年を記念して建てられたのが国際友好図書館(写真右側)。1902年(明治35年)大連市に建設の帝政ロシア東清鉄道汽船のオフィスを複製したもの。長い時間をかけて丁寧に建築しており、外装も内装も100年以上の歴史に耐えた趣が複製されています。
ハーフティンバー様式の木の柱が縦横はすかいに入ったドイツ風建物で、欧州のレトロ感が漂います。室内は中国や東アジアの文献を所蔵。木製の内装、二重窓、柔らかな照明など落ち着きます。ニッチな奥まった場所があるので、しばし座り込んで一休みはいかがでしょう。入場無料です。モダンな「門司港レトロ展望台」を背にしてこの辺りに一層異国情緒を漂わせます。
1893年(明治26年)に下関に開設された日銀西部支店が、1898年(明治31年)門司に移設されました。当時、日銀の支店は、大阪支店、名古屋支店、北海道支店と合わせわずか4つのみです。
1901年(明治34年)門司には三井銀行、住友銀行、日本貿易銀行、日本商業銀行など銀行支店が9つあったようです。これに、特別輸出港・特別輸出港での物流、門司駅(現在の門司港駅)を九州の起点とする鉄道網があいまって門司港周辺が発展していきました。
旧・門司三井倶楽部に隣接するのが、旧・大阪商船三井船舶ビル。八角形のドームがどこからも見えます。おススメしたいのが「わたせせいぞうと海のギャラリー」。駅前のパネル案内では2階となっていますが、ギャラリーは1階に移動しています。ポップな雰囲気と色彩は、必ずどこかで見たことがあるものです。ウキウキするようなはじける色彩と若々しいシーンをぜひ楽しんでください。入場料100円です。
お城の天守閣をのせたようなJR門司港駅。クラシックな名建築の帝冠式駅舎は、2018年3月頃まで大改修中で見られません。駅舎はカバーがかかっていますが、駅の構内、ホームは古き良き時代の「鉄道の雰囲気」が漂います。広くて長いホーム、屋根や柱の鉄骨にもクラシック感が溢れます。
門司港駅は九州の鉄道の出発地点で、記念の「ゼロ哩標(ぜろまいるひょう)」があります。九州の鉄道はこの駅からスタートしました。駅構内にも見どころは満載で、定番の顔を入れる記念写真スポット、人力車と一緒に制服で写す場所、旅立ちの鐘、幸福の泉などあります。改札を出ると、トイレの手洗いも「幸運の手水鉢」。トイレ前には洋行帰国者が水を飲んだ、「帰り水」の古めかしい蛇口。駅そのものにレトロ感・ポッポ感がしみわたり、この駅が終着駅・出発駅であることもゆったりとした雰囲気を漂わせています。
駅を右手に出ると九州鉄道記念館があり、緑の山々を借景にSLの展示が見られます。駅を左に出たすぐの岸壁が高倉健さんの『あなたへ』のラストシーンです。
「門司港レトロ」は神戸や横浜のように異国情緒溢れる港町。名建築が建ち並ぶほか、関門海峡を挟んだ下関側も港の一部のように見え、港町として最高に美しい街の一つです。鉄道からのアクセスも申し分ありません。
JR門司港駅を出ると、すでに「門司港レトロ」。紹介した5つの名建築いずれもが、「船溜まり」の「ウォーターフロント・プロムナード」の周りにあります。水辺の風景を楽しみながら、船溜まりを右回り、左回りいずれでも、1時間〜2時間弱の散歩です。途中、「バナナマン」と「ブラック・バナナマン」人形が立つ「海峡プラザ」や、「門司港レトロ展望室」隣接の「港ハウス」に土産品がそろいます。「バナナの叩き売り発祥地」でもあり、「バナナカステラ」が有名。
港ハウス正面にめずらしい「跳ね橋」があり、12:00以外10:00から16:00まで毎時跳ね上がります。カメラを構えるのも楽しいですよ。跳ね橋が上がると約20分間は渡れません。
お値打ち情報として「門司港レトロ」の多くの店で使える「お得クウポン」があり、1,000円で1,100円分使えます。食事やお土産に使えるので便利です。
購入できる店は、関門海峡ミュージアム、旧・大阪商船、旧門司三井倶楽部、門司港レトロ展望室。
この他、参考情報を関連MEMOに入れておきます。
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(2024/11/2更新)
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