無人島の隠れキリシタン文化!長崎五島「旧野首教会」は島の歴史を静かに語る

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無人島の隠れキリシタン文化!長崎五島「旧野首教会」は島の歴史を静かに語る

無人島の隠れキリシタン文化!長崎五島「旧野首教会」は島の歴史を静かに語る

更新日:2016/02/16 15:36

いづやんのプロフィール写真 いづやん 島旅ブロガー

長崎県と言えば、隠れキリシタンの歴史を感じられる教会が数多く残されています。

長崎県の五島列島の北東に位置する野崎島にはかつて600人を超える人が住み、「旧野首教会」では日々の祈りが捧げられていましたが、無人島となった今は廃村の風景の中にひっそりとその姿を残すのみとなっています。

今回はそんなキリスト教と島の歴史を一度に体験できる、野崎島の「旧野首教会」をご紹介します。

小値賀島から野崎島へ渡る

小値賀島から野崎島へ渡る

写真:いづやん

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旧野首教会は、今は無人島となっている「野崎島」に建っています。野崎島は五島列島の北に位置し、隣の有人島の小値賀島からは1日1便の定期船が就航しています。朝7:25に小値賀港を出港し、野崎島には8:00に到着。14:30に帰りの便が迎えに来ます。片道大人500円です。

野崎島に渡るには、安全管理と旧野首教会の教会内部の見学のために、小値賀島にある「おぢかアイランドツーリズム」に7日前に連絡する必要があります。それらを済ませて船に乗り8時に野崎島に立てば、そこはかつて人の暮らした名残が色濃く残る異国のような光景が出迎えてくれるはずです。

船が着く野崎港そばに今も残る野崎集落跡は、1990年代まで住人がいましたが、わずか25年ほどの間にかなり荒廃が進んでいます。廃屋は崩落の危険があるので中に入らないようにして、かつての人の暮らしの跡が感じられる集落内を歩いてみましょう。

基礎だけになった建物、樹木に取って代わられつつある家屋、かと思えば蔵書がそのまま残っているのが見えるような家もあります。

集落跡から東の海岸沿いに出れば、サバンナのような灌木と草原地帯に出ます。ここでは野生のキュウシュウジカの群れを見られることがあります。警戒心が強く人を見かけたら一目散に逃げていくので、不用意に近寄らず静かに観察しましょう。

長崎県有形文化財指定「旧野首教会」

長崎県有形文化財指定「旧野首教会」

写真:いづやん

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野崎集落跡から西に伸びる山道を上って行くと、やがてすり鉢状になった場所を見下ろす丘の上に建つ「旧野首教会」が見えてくることでしょう。

すり鉢状の斜面には、かつてこの一帯が野首集落であったことの名残、段々畑の跡があります。一番低い場所には廃校を改築した「野崎島自然学塾」があり、休憩することもできます。また、予約をすれば素泊まりでの宿泊も可能です。

100年を超える時を丘から見下ろす祈りの場

100年を超える時を丘から見下ろす祈りの場

写真:いづやん

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丘の上に佇む「旧野首教会」が立てられたのは1908年。それまでの木造教会から立派なレンガ造りの教会堂とすべく設計施工したのが、ここ五島列島や長崎県の教会建築を数多く手がけた鉄川与助です。レンガ造りの教会としては彼が初めて手がけたものです。

ここ旧野首教会は、周辺の野首集落跡と、島の南に位置する舟森集落跡まで含めて、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産の一つ「旧野首教会堂と関連史跡」として世界文化遺産の暫定リストに掲載され、世界遺産候補となっています。(2016年2月4日、ユネスコの諮問機関イコモスに構成資産の不備を指摘され、推薦を一旦取りやめる方向になっています)

野崎島は、最盛期には島民が650人ほど暮らしていましたが、過疎により減少、1971年に残っていた野首集落のカトリック信徒が島を離れて無人となりました。

丘を教会まで上り振り返ると海が一望できる素晴らしいロケーションです。事前に島に渡って教会を見学する旨をおぢかアイランドツーリズムに連絡しておけば、教会の鍵を開けておいてくれます。ぜひ中に入って見ましょう。

現在使われていない教会内は、撮影が可能

現在使われていない教会内は、撮影が可能

写真:いづやん

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中は、「リブ・ヴォールト天井」という特徴的なアーチ状の構造をしています。ステンドグラスで彩られた窓からは鮮やかな光が堂内に落ちてきています。

長崎県の教会は基本的に教会内の撮影は禁止されています。察しのいい方はお気づきかもしれませんが、この「旧野首教会」は「旧」とある通り現在は教会として利用されていないので内部の撮影が可能です。他の見学者の邪魔にならないよう、静かに写真を撮りましょう。

旧野首教会のある場所からさらに西側の丘を越えて海側に出れば、海岸そばにキリシタン墓地跡を見ることができます。ここに眠っていた御霊は島を離れる時によそに移されたそうなので、墓地「跡」ですが、それでも島での生活と祈りの場としての名残が感じられます。

十字架を模した墓などが海岸の灌木の中に、あるものは長い歳月にもそのまま立ち続け、あるものは横たわっています。

野崎島と小値賀島の歴史を網羅できる小値賀街歴史民俗資料館

野崎島と小値賀島の歴史を網羅できる小値賀街歴史民俗資料館

写真:いづやん

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野崎島から小値賀島に戻ってきたら、ぜひ笛吹郷にある「小値賀町歴史民俗資料館」に足を運んでみてください。

ここは、江戸初期に壱岐から小値賀に移り住み、捕鯨や新田開発、酒造を営んだ豪商小田家の、築250年の屋敷を一部改築して歴史資料館として利用していますので、まず建物そのものにも見どころがあります。

小田家の家具や商売道具、小値賀町内で発掘された石器や土器、中国貿易の時代の資料、捕鯨道具の他に、野崎島のキリシタン文化の資料も数多く展示されています。
野崎島から戻ってきた足でそれらの資料に触れれば、東シナ海に浮かぶこの小さな島々が内包する深くて広い歴史と文化の一端を垣間見ることができるでしょう。

野崎島、小値賀島には他にも見どころがたくさん!

野崎島の「旧野首教会」とそれらを取り巻く風景、文化のご紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか。

野崎島には他にも「沖の神島神社」と謎の巨石「王位石(おえいし)」と言った古い神道の祭祀場があったり(訪れるにはガイドの案内をお願いしたほうがよいでしょう)、野崎島自然学塾での宿泊、小値賀島での古民家ステイや民泊、山海の幸も豊かで美味しいものなど、魅力的な過ごし方がたくさんあります。

残念ながら世界遺産登録の推薦は一旦取り下げられましたが、今後登録されると訪れる人も増えるのが予想されます。行くならまさに今!だと思います。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/06−2015/05/08 訪問

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