写真:沢木 慎太郎
地図を見る13世紀に「ランナータイ(ランナー)王朝」の都が置かれたタイ北部の都市チェンマイ。現在のバンコク(チャクリー王朝)やアユタヤ―王朝とは違った独自の文化が見られます。
チェンマイの中心となるのが、お堀で四方を囲まれた旧市街。当時の栄華を今に伝える格式高い寺院が数多く残り、お洒落な一軒家カフェやアイリッシュパブが建ち並ぶなど、観光で訪れる人々を魅了してやまない情緒にあふれています。
今回、ご紹介する「ムーングンコーン寺院」は、旧市街の中心部から外れた場所に立地。木造の本堂は小ぢんまりとしながらも、ランナータイ王朝の風格をそなえた独自の建築様式を見ることができます。
プールがあるチェンマイのゲストハウスを舞台に、日本人母娘の心模様を描いた映画「プール」(2009年公開)のロケ地になったことから、日本人観光客の姿が見られるようになりました。しかし、それ以前は地元のタイ人以外に訪れる人はほとんどなく、今でも静かな風情を味わうことができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「ムーングンコーン寺院」の見どころは、カラフルで可愛い仏像たち。さきほどの本堂の写真でもちらりと写っていましたが、お寺の白壁のまわりには、淡いパステルカラーの衣装で身を包んだメルヘンチックな仏像が安置されています。
まるで天女のような優し気なお顔。ほとんどだれも訪れることのない小さな寺院で、愛らしい仏さまのお顔を眺めていると、不思議な癒しが感じられます。
仏さまの一つひとつは、女性らしい優美な微笑みが感じられますが、「仏」には本来、性別というものがありません。仏教を開いたブッダ(お釈迦さま)は、何も残さず、心の迷いから解き放たれて静かに入滅しました。
ブッダの弟子たちが、姿や形のない「ブッダの教え」を表現したものの一つが仏像です。それは性別をも超えた悟りの世界。心や体を乱し、悩ませ、苦しませる下界から解き放たれた境地を表しているのです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは、「ムーングンコーン寺院」の本堂内でのようす。門の前には柵がありますが、開閉は自由。本堂は真っ赤なじゅうたんが敷き詰められ、壁が黒っぽく、厳かな気配に満ちています。黄金や赤黒い仏像は圧倒的な存在感と威厳があり、僧侶の仏像もまるで本物の人間そっくりで、生身の人間と接しているような温かさと深みが感じられます。
ここはひとりで静かに祈り、瞑想したい神聖な場所。下界の喧騒から解き放たれて、一人静かに自分自身と向き合うことができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「ムーングンコーン寺院」のもう一つの見どころをご紹介。本堂の横には、淡いパステルカラーの花模様で彩られたお堂があり、ブッダが入滅する姿を表した「涅槃仏(ねはんぶつ)」が安置されています。
タイの涅槃仏といえば、バンコクの「ワット・ポー」(涅槃寺)にある巨大な涅槃仏(長さ46m)が有名ですが、こちらの寺院は可愛らしい小ぶりの涅槃仏さま。じっと眺めていると、扉の入り口にあるメルヘンチックな仏さまと相まって、春の暖かな陽光のような優しい穏やかな気持ちに。お堂内にはブッダの生涯や、仏教の宇宙観を表した極彩色の壁画が描かれ、心静かなひとときを過ごすことができます。
「ワット・プラケオ」といったバンコクの有名な巨大寺院では、魔除けの守護人「ヤック」、猿神「モック」、半魚人の「ギンナリー」「ガルーダ」、天の楽人「キンリー」といったきらびやかな仏像を見ることができます。しかし、写真のような小人のような可愛い仏像が見られるのは、こちらの「ムーングンコーン寺院」だけ。
このお寺は、実は14世紀に一般庶民出身のムーングンコーンさんが商売に成功し、仏教に役立てたいということで建立されたもの。王室関係の寺院が多く建ち並ぶタイの寺院にあって、メルヘンのような可愛い仏像が建ち並んでいるのは、ムーングンコーンさん独自の庶民感覚、遊び心なのかもしれません。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさて、「ムーングンコーン寺院」で可愛い仏像をご覧になられたら、次は絶品のスイーツで癒されませんか?
ムーングンコーン寺院からほど近い場所にあるのが、一軒家カフェの「アムリタガーデン」。深い緑に囲まれた古民家風のカフェで、有機野菜を使った創作料理やハーブティーなどを楽しむことができます。
その中でも、イチオシは、とろけるほど甘くておいしい「マンゴーチーズケーキ」。上質な甘〜い生クリームに、旬のマンゴーがどっさり!たまらなく、おいしい。本当は教えたくない絶品のフルーツケーキです。
日本人女性がオーナーを務めるカフェには、色とりどりのカクテルのほか、焼酎や梅酒、日本酒なども充実。可愛い手づくりの雑貨もあるので、チェンマイのお土産探しにも便利です。
ムーングンコーン寺院にまで足を運ばれたら、ぜひ訪ねてみて下さい。
いかがだったでしょうか?
小人のような可愛い仏像が集まるメルヘン寺院「ムーングコーン」。
仏像に何かしら心を惹かれるのは、命ものある者が必ず向きあわなくてはいけない「死」に通じるからでしょう。
死を感じる時、「生」を振り返り、もう帰らない過去を想います。もう会えない人、会うことのない恋人のこと。小人のように優しく微笑する仏像たちは春の陽光のように、過去の美しい想い出を照らし出します。
そして、美しい想い出にふれたなら、また未来へと歩み出せるのが人間なのです。“タイの京都”とも例えられる古都チェンマイで、可愛らしい小人のような仏像と出会い、旅情に浸ってみてはいかがでしょうか?
なお、チェンマイのおススメのスイーツ店や、観光スポットなどについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
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(2024/10/16更新)
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