写真:沢木 慎太郎
地図を見るバンコクの中心部を東西に流れる水路が「センセーブ運河」です。運河沿いには渡船場があり、ローカルなボートで結ばれているため、地元のタイ人たちが買い物や通勤・通学の足として利用。バンコクは交通渋滞が激しいため、地元民が裏ワザとしてバス代わりに使っている必殺の交通手段です。
たとえて言うなら、JR中央線が混んでいるため、東京のど真ん中を横切る「神田川」にボートを浮かべ、東中野から御茶ノ水へ通勤するようなもの。
観光客向けのボートではなく、観光のガイドブックに取り上げられることもほとんどないのですが、タイのローカルさを好む外国人観光客の間で静かな人気のスポットとなっています。
しかし、この「センセープ運河」は、バンコク随一のショッピングエリア「サイアム・パラゴン」「セントラル・ワールド・プラザ」「バンコク伊勢丹」から、観光スポットで有名なタイ・シルク王の大邸宅「ジム・トンプソンの家」や、安宿のゲストハウスが集まるバックパッカーたちの聖地「カオサン」を結ぶ便利なルート。
しかも、運賃は初乗りで約10バーツ(約30円)という超破格の値段!タクシーよりも安く、早く、バンコクの水辺空間を楽しむことができるので、ぜひ観光に使っていただきたいボートです。
おススメの船乗り場は、写真の「プラトゥナーム船着き場」。バンコク伊勢丹から北へ約400メートルの場所にあり、バンコク中心街から最も近い渡船場です。
写真は橋の上から撮影したものですが、高層マンションが建ち並ぶ都心の谷間を運河が流れ、大きな渡し船(約50人乗り)が行き来する姿はなんとも風情があり、東南アジアの情緒を味わい方に絶対おススメの観光スポットです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るそれでは、「プラトゥナーム船着き場」からボートに乗り、出発しましょう!センセープ運河は、「プラトゥナーム船着き場」を中心に、「東行き」「西行き」の2航路があります。西行きはあまり観光名所がないので、「ジム・トンプソンの家」や「カオサン」に向かう東へ。
こちらがボートから眺めた岸辺の風景。東京ディズニーランドの「ジャングルクルーズ(ワイルドライフ・エクスペディション)」では、ゾウやワニ、ライオンなどの野生動物たちを見ることができます。
しかし、タイのジャングルクルーズでは、素朴な造りの家に掲げられた洗濯物、子守りをしながらボートを見ている母親、玄関先で遊ぶ元気な子どもたち、さらには橋の下でバクチをしている上半身裸の男たちと、驚きでいっぱいの未知なるタイ人生活との出会いが待ち受けています。
より神秘的でスリリングなクルージングを楽しみたい方は、岸辺にいるタイ人に向かって大きく手を振ること。相手もディズニーのキャストのように笑顔で手を振ってこたえてくれるので誠にうれしい。
それよりも、もっとスリリングなのが、「センセープ運河」を行き来するボートの異様とも思える猛烈に速いスピード。ご覧のように水面を激しく泡立たせ、ロケットのように突き進んでいきます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るそして、「センセープ運河」の最大の楽しみは、逆方向に進むボートとすれ違う時。川幅の狭い運河を猛烈に速いスピードで進むため、波が重なりあい、遊園地のアトラクションでも何でもないのにボートは激しく揺れ、急流すべりのように強烈な水しぶきを頭から浴びることも。
「センセープ運河」の水は恐ろしく汚いので、これが顔にかかるのは、たまらない恐怖!ましてや、口の中にでも入ったら、たいへん!
ボートの船べりには写真のように青いビニールシートがあり、手で持ち上げるか、つり革を引っ張ればシートが上がるようにできています。これは、ボートの端に座った人が行う暗黙の約束ごと。近づいてくる船のタイミングを見計らって、シートを引っ張り上げることがコツです。
ちなみに、写真のように観光目的で乗り込んだ外国人男性が慌てて立ちあがっても、この段階ではすでに遅すぎ。バケツの水をひっくり返したように、頭からずぶ濡れになり、隣の彼女にひどく怒られること間違いなし。
左下のタイ人女性のように、あらかじめ青いビニールシートを持ちあげているのが正解。この時はボートのスピードがあまり出ていなかったので、外国人カップルは難を逃れます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「プラトゥナーム船着き場」から、東行きの終点の「パーンファー・リーラート 船着き場」まで約20分の船旅。しかも、これだけ乗って、楽しめて運賃が約30円という異常なほどの安さ。
船旅の途中には“タイのシルク王”と呼ばれているジム・トンプソンが晩年に住んでいた邸宅「ジム・トンプソンの家」の最寄り乗船場(サパンチャーン渡船場)があり、さらに終点に着けば安宿の密集地帯カオサンまでほんのスグ。
“黄金の丘”と呼ばれるワット・サケットや、世界遺産アユタヤへのバス発着地「民主記念塔」のほか、バンコク三大観光名所「ワット・プラケオ(王宮)」「ワット・ポー(巨大釈迦涅槃仏)」「ワット・アルン(暁の寺)」にも近く、バンコク都心部から渋滞なしにスムーズに観光スポットに向かうことができるので絶対おススメです。
素朴な木の造りの民家や、川岸に絶壁のように建つコンクリート造のアパートメント群、さらにはジャングルのように両岸を深い緑で覆われた運河を行く姿は、まさにタイ・バンコクの「ジャングルクルーズ」。タイ人の庶民生活をこよなく愛する世界の旅人たちの探検ツアーです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最後に、タイ版の「ジャングルクルーズ」の最高に素敵な楽しみ方をご紹介。本文でもお伝えしましたが、「センセーブ運河」のボートは地元のタイ人たちが足代わりに使っている交通手段。ご覧のように、白いブラウスで紺色のスカートをはいた清楚で可愛いタイの女子高生たちにも出会うことができ、地元民とのふれあいが何よりも楽しい。タイ人はとても穏やかでフレンドリーなので、“微笑みの国”と呼ばれているほど。観光ガイドにも載っていない、ローカルな船旅は、素敵な旅の想い出になること間違いなし。
乗車賃の支払いはボートに乗ってからで大丈夫。よく陽に焼けた顔のおじさんが船べりを綱渡りのようにして歩き、集金に来ますが、これだけ揺れても船から落ちないのが不思議。まさにプロフェッショナルです。
初乗りは9バーツで、全線載っても19バーツ。なので、小銭を用意しておくと便利です。1000バーツ紙幣を出すと、釣銭はなく、まわりのタイ人から白い目で見られるので要注意。
また、船着き場にはステップはなく、素早くボートに乗り降りしないと危険。観光目的ではなく、あくまでも地元民のための足なので、タイ人社会にいち早く順応することがコツです。
【センセープ運河ボートの案内】
■運行時間:通勤・通学者向けで6:00〜9:00、16:00〜19:30のみ。
■運行間隔:平日は約15分間隔、週末は約30分間隔
(以上、タイ政府観光庁のホームページより抜粋)
いかがだったでしょうか?
バンコクは、“東洋のベニス”と呼ばれるほど運河が多かったのですが、ほとんどが埋め立てられました。このセンセープ運河は、数少ない貴重な運河のうちの一つ。約18キロの路線を約100隻のボートが運航し、一日におよそ6万人の乗客を運んでいます。千葉真一主演の映画「激殺! 邪道拳」(1977年公開)のロケ地にもなった場所でもあります。
東京ディズニーランドで最長3時間待ち以上の超人気アトラクションの「ジャングルクルーズ」。しかし、タイ・バンコクでは約15分待ち、しかも約30円という激安!遊園地以上にスリリングなセンセープ運河のボートで、地元民とふれあいながらバンコクの観光スポットを巡りませんか?
なお、バンコク三大観光名所(ワット・プラケオ、ワット・ポー、ワット・アルン)や、女子高生たちが手にしていたタイ版のグリコポッキーの種類については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
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(2024/12/2更新)
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