写真:沢木 慎太郎
地図を見る都市圏人口が約1500万人にも及ぶタイの首都バンコク。東南アジア屈指の大都市にいながら、古き良きアジアの平和でのどかな風景を観光したい方に絶対おススメのスポットが「プラカノン運河」の小さな舟旅。
水辺に浮かんだ木造住宅や、木の葉のようなボートに乗って川を行き来するタイ人主婦、岸辺に座って手を振るタイ人の大家族に出会うことができます。都市化で失われつつあるバンコクの情緒を巡る冒険が体感できるタイランド版「カリブの海賊」と言えるでしょう。
タイ・バンコクの「カリブの海賊」に乗るには、こちらの「プラカノン市場の渡船場」がおススメ。BTS(高架鉄道)プラカノン駅とオンヌット駅のほぼ中間に位置しているので、アクセスがたいへん便利です。
「プラカノン市場の渡船場」のまわりには、戦後の闇市をイメージさせるバラック小屋のお店が密集。終点の「シーナカリン渡船場」まで約40分の船旅なので、焼き鳥や果物、ジュースなどを買って運河船に乗り込めば、バンコクの下町情緒をいっそう楽しむことができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「プラカノン市場の渡船場」を出発したボートは、水面を滑るように高速で進み、次の渡船場に到着。そこは、民家の真ん前。船着き場といった立派な桟橋はなく、まるでお勝手口みたいな素朴さ。まるで、風呂場に置かれた「すのこ」のように簡素な桟橋です。古き良きタイの生活が、巨大都市バンコクで見られるなんて、ものすごく感動的!
「プラカノン運河」では、ぜんぶで約10か所の渡船場があります。しかし、すべての船着き場に止まるわけではなく、乗降客がいる時だけ、渡船場に停まるという、なんとものんびりしています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさらに、運河を進んでいくと、このような衝撃の風景も。ご近所に住むタイの奥さまたちが小舟に乗って「プラカノン運河」を横切り、対岸にある店までちょっとお買い物。まさに、命がけ!?見ているこちらが、スリリング!
たとえて言えば、東京・浅草にお住いの仲良しの奥さま方が、隅田川を手製のボートに乗って渡り、対岸の「東京スカイツリー」「東京ソラマチ」にまで遊びにお出かけされるようなもの。しかし、付近の住民にとっては、これがごく普通の生活スタイルなのです。
高層ホテルの屋上階を利用したお洒落な「ルーフトップバー」が多い、大都会のバンコク。たとえばBTSプラカノン駅から2駅先には、豪華ホテル「バンコク・マリオット・ホテル・スクンビット」が建ち、“オクターブ”という絶景のルーフトップバーが楽しめるのですが、そこから1〜2キロほどしか離れていないところに、こんなのどかな風景があるなんて。
まさしく、「プラカノン運河」は、バンコクの超ディープスポット!「カリブの海賊」よりも、もっとスリリングなバンコクの未知なる旅を楽しむことができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「プラカノン運河」をどんどん進んでいくと、古い木造民家があると思えば、大都会らしい高層マンションも建ち並び、実に多彩な風景。バナナやヤシの樹など緑が濃く生い茂り、南国らしい風景に心が和みます。ボートは水を切ってスイスイ走り、水面を渡る風がなんとも心地いい。
「プラカノン運河」の運河船は、観光目的ではなく、バンコク市民の足として利用されているものですが、川沿いにはきらびやかな寺院や中華系の寺院、さらにはイスラム系のモスクなどの建物が建ち並び、観光さながらの風景を見ることができます。
ボートの正面に小さく家々が見えますが、これは中州に建てられたタイの素朴な住宅群。高床式の住居のように水中に杭を打ち、その上に家を建てているもの。ここがバンコクのど真ん中なんて、とても信じられません!
写真:沢木 慎太郎
地図を見るタイの首都バンコクは、かつては水上交通が盛んで、“東洋のベニス”と称えられていました。最近は都市化が進み、ほとんどの運河が埋め立てられましたが、わずかながらも運河が残り、今も運河船が市民の足として活躍しています。
よく知られている運河がバンコクの中心部を東西に流れる「センセープ運河」。タイ・シルク王の大邸宅「ジム・トンプソンの家」や、安宿のゲストハウスが集まるバックパッカーたちの聖地「カオサン」へアクセスする便利な裏ワザとして使われています。しかし、街はずれにある「プラカノン運河」をご存知の方は少ないのではないでしょうか?「センセープ運河」は外国人観光客の姿も見られるのですが、ここまで来るとさすがに観光客の姿はほとんどありません。
写真は、「プラカノン運河」の急カーブに差しかかったところ。「センセープ運河」と違って、急なカーブが多いのが「プラカノン運河」の特徴です。船頭さんはご覧のように身体をほぼ水平にまで倒し、全身全霊、力を込めて船を進めます。この運河で何十年と生きてきた男の顔。まさにプロの技を感じさせます。
人それぞれに生き方や、その人の生活があり、その姿を垣間見る小さな旅が「プラカノン運河」。川は思いがけなく曲がったり、急や緩やかな流れがあったりと、まさしく人生と同じ。タイ人の素朴な暮らしを見つめ、さまざまな旅情を感じてみてはいかがでしょうか?
バンコクのディープな観光スポット「プラカノン運河」。
本場の「カリブの海賊」とは違って、ボートの上を飛びかう砲弾や、怒鳴りあう海賊たちはいませんが、水中を泳ぐ野生のオオトカゲ(体長1〜2メートルのミズオオトカゲ)を間近に見ることもでき、大迫力の興奮も味わえます。
乗車賃は、起点の「プラカノン市場」から、終点の「シーナカリン」まで15バーツ(約50円)という安さ!運行時間は、平日が7:00ごろ〜19:00ごろ(約30分ごと)、土日祝が9:00ごろ〜17:00ごろ(約60分ごと)。夕方になると、帰りの便がなくなるので注意しましょう。
バンコクに来られたら、ガイドブックにも載っていない「プラカノン運河」で、ディープな観光を楽しみませんか?
なお、「プラカノン運河」や、ディープな観光スポットについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
沢木 慎太郎
恋愛小説「星の流れに 風のなかに 宇宙の掌に」(※澤 慎一の名前で制作)が電子書籍化され、作家デビューしました。紀行小説「深夜恋愛特急」も、私のひそかなブーム。
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