生地の製造から絵付けまで見学が出来る「クラフトセンター」が1階、2階となっており、3階、4階がこちらの「ノリタケミュージアム」となっています。
3階・展示室の中央には、大きなテーブルに並べられたディナーセットのテーブルセッティング。左手側の壁には一面に歴代のディナー皿が飾られ、奥にはカップ&ソーサーのコレクションが展示され、壮観の一言。観る人が襟を正すような気品に溢れた空間です。
入館料は大人500円、高校生300円、中学生以下は無料。しかも「クラフトセンター」と「ノリタケミュージアム」共通のチケットとなり、両方とも楽しめるので、非常にお得です。その他にも、各種の割引券などがありますので、詳しくは下部関連MEMOにあります公式サイトへのリンクより御確認下さい。
困難を極めた“白色硬質磁器”の製造に見通しがつき、森村市左衛門(もりむら いちざえもん)は、日本陶器合名会社(現在のノリタケカンパニーリミテド)を創立します。しかし、ディナーセットに不可欠な均一なプレートを作るという重大な課題が残っていました。25センチ・ディナー皿の底が平らにはならずに、形の揃ったものが出来なかったのです。
和食器とは基本的性格の異なる洋食器の調査・研究を積み重ねて、日本陶器合名会社を創立してから約10年の年月を要して、1913年(大正2年)に純白の25センチ・ディナーセットが完成します。
こうして日本初となるディナーセットは「SEDAN(セダン)」と名付けられ、1914年(大正3年)に輸出を開始。初年度に20セットのみでしたが、4年後には約4万セットが出荷され、洋食器ブランドとして世界への飛躍が始まったのです。
創業者・森村市左衛門に賛同し、現在のアートディレクターとして活躍した人物がいます。江戸時代の絵を中心とした大衆向きの本・絵草紙(えぞうし)を扱う出版社を営んでいた大倉孫兵衛(おおくら まごべえ)です。
多色刷りの浮世絵版画・錦絵(にしきえ)を主に扱い、美的感覚が磨かれていた孫兵衛は日本画を得意とする職人たちに洋風画への転換を図ります。初めは反発のあった職人たちも伝統的な技法を洋風画に取り入れ、独自のデザインを作り上げていきました。
4階・展示室では大花瓶などを全方向から鑑賞できる独立型展示台が設置されています。明治後期から第二次世界大戦終了後までに欧米に輸出された“オールドノリタケ”を存分に堪能できます。その他、“オールドノリタケ”の裏印の歴史の詳細が記述されたパネルもあり見所が満載の内容となっています。
近代建築の巨匠の一人としても名を連ねるアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(1867年〜1959年)。ライトは、日本でも帝国ホテル、八代目・山邑太左衛門(やまむら たざえもん)の別邸、自由学園明日館(みょうにちかん)、林愛作(はやし あいさく)の住宅といった建築に携わりました。
1923年(大正12年)に完成したホテルの新館(ライト館)の設計に従事し、建物内部の装飾、家具、食器などのデザインも行いました。
この食器はホテル内のレストラン用にライトによってデザインされたもの。建物の内装に使われていたステンドグラスの意匠を取り入れ、多少のデザイン変更がありつつも、1967年(昭和42年)のライト館閉鎖まで使用していましたが、その後に素材を変えて復刻し、現在まで愛されて使用されています。
1934年(昭和19年)に行われた日米野球にメジャーリーグ選抜チームの一員として、ベーブ・ルースが来日した時にサインしたもの。因みにプレートに記されている1934年11月21日は、後に巨人軍のエースとなる沢村栄治(当時17歳)がメジャーの強打者を三振に抑えたことで有名な静岡草薙球場での試合翌日にあたります。
同フロアには、創業者たちの当時の情熱が伝わってくる“宣誓文”が記された陶器の板もあります。日本陶器合名会社の創立に際して、「誓いて至誠ことにあたり、もって素志を貫徹し、永遠に国利民福を図ることを期す」と締め括られた“宣誓文”に創業者6人の名前が記された陶板で、当時の写真と共に展示されています。
植物の図柄を用いた曲線的なアールヌーボーや直線的で幾何学模様のアールデコを始めとする多くの様式を取り入れ、時代ごとの流行をデザインに反映してきたコレクションの数々を堪能できる「ノリタケミュージアム」。
陶磁器の表面を立体的に表現する代表的な技法で、“オールドノリタケ”の特徴である豪華な“盛(もり)上げ”など、技術と芸術が織り成す作品を存分に鑑賞できます。
企画展も行われているので、公式サイトより御確認下さい。
芸術や美術の好きな方、デザインや設計など“ものづくり”に携わる方、新しいインスピレーションを求めている方など、多くの方にオススメの場所。
以上、愛知県名古屋市「ノリタケの森」にある「ノリタケミュージアム」の御紹介でした。
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