写真:Hiroko M
地図を見るフィンランドの首都ヘルシンキ中心部からトラムに揺られることわずか10分。カタヤノッカという人口5000人程の小さな街に、そのホテルはあります。冷たいコンクリートの壁で囲まれ、重厚な雰囲気の赤い煉瓦造りの建物は、1837年から2002年まで、160年以上もの間、なんと実際に市の刑務所として使われていました。
建設当初は、受刑者用の部屋わずか12室と、看守用の部屋2室、そして今となってはヘルシンキで2番目に古いチャペルしかない小さな施設でしたが、年々増築を重ね、収容人数200人の刑務所にまで発展。第二次世界大戦直後には、多くの政治家や戦犯も収監され、中でも有名なのは、5代目のフィンランド大統領であり、今日フィンランドの偉人ランキングでトップに君臨するリスト・リュティ氏。
リュティ氏を始めとする戦犯受刑者は、特別待遇を受け、労働は強いられず、ほとんどの時間を読書や書き物に充てていたそうです。そして今日、建物自体は、国の文化財協会によって保護されているのです。
写真:Hiroko M
地図を見る中は、当時のままの吹き抜け構造。看守が一目で多くの囚人を見渡せるようなオープンな造りになっており、受刑者の動線や日常がとてもリアルに想像できます。「元監獄に泊まるなんて、ちょっと怖そう、、、」と思われる方もいるかと思いますが、心配ご無用。
世界最大級のホテルチェーン「ベスト・ウェスタン」が運営しているだけあり、清潔感もデザイン性もばっちり。しかも、Best Western Premierと言い、ベスト・ウェスタン系列の中でも最高峰のアメニティや施設が揃っているグレードのホテルなので、とても快適な滞在が約束されています。一番小さいシングルルーム(クイーンルーム)でも、複数の部屋の壁を打ち抜いて合体させているので、広々快適。バス・トイレもモダンでスタイリッシュ。部屋によっては、窓から囚人たちが運動のために利用していた中庭も一望出来ます。
写真:Hiroko M
地図を見るホテル・カタヤノッカの醍醐味と言っていいのが、地下階にあるレストラン・リナンケラリ(Linnankellari)。刑務官の格好で出迎えてくれるユーモアたっぷりのウェイターは、手錠に警棒も完備の徹底ぶり!是非ここで記念写真を一緒に撮ってもらいましょう。
こちらで扱う食材は全て地元のオーガニック品。典型的なフィンランド料理である、あっさりしたサーモンやホワイトフィッシュ(サーモンに似た味の淡水魚)のグリルの他に、濃厚で旨味たっぷりのトナカイ肉の煮込みや、地元のチーズ等も味わえます。取調室を模った個室や、監獄らしくステンレスのコップ等の食器もあり、刑務所らしいディテールに溢れています。同じ地下階には、当時のままの形で残っている独房もあるので、食後に是非見学してみて下さい。
ホテル・カタヤノッカは、ヘルシンキ観光でマストのウスペンスキー寺院から徒歩10分と好立地。市内中心部から歩くことも可能です。ホテルに入るまでは躊躇してしまうかも知れませんが、一度足を踏み入れたらそこは快適で、旅人をワクワクさせてくれる4つ星ホテル。旅行という「自由」な時間の中で、敢えて「監禁」されてみるのも、オツな旅の味わい方ではないでしょうか!
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2023/12/5更新)
- 広告 -