写真:小林 理沙
地図を見るこの教会に祀られている聖ニコライは、開運の守護聖人であるだけではなく、弱者を秘かに助けていたという逸話から、サンタクロースの起源としての説も持ちます。
大司教を務めたトルコの都市から「ミラのニコラウス」もしくは亡くなった後葬られたイタリアの地名から「バリのニコラウス」とも呼ばれています。ちなみにスペイン語では、ニコラスと呼ばれています。
教会の祭壇には左側の聖ニコライ像と供にあるのが、殉教者ヴェローナの聖ペトロです。出身地イタリアだけでなくスペインでも熱く信仰されている聖人です。
写真:小林 理沙
地図を見る全長200メートル、総面積1904平方メートルのフレスコ画の修復には30名の専門家が携わりました。費やされた時間は41万時間。3年に及ぶ緻密な作業が実を結びました。
500本の筆や刷毛、100キロの綿、1万リットルの蒸留水などが用いられただけではなく6千枚の和紙が使われたということです。
他のフレスコ画の修復でも和紙がよく使われているようですが、その用途とは、フレスコ画の補色前に行われる汚れを取る作業の際に、和紙に洗浄剤を染み込ませてフレスコ画をパックするように覆うと、絵の汚れを落とすのに役立つそうです。
意外なところで日本のものが使われているんですね。
写真:小林 理沙
地図を見る豪華なフレスコ画で彩られた天井から「バレンシアのシスティーナ礼拝堂」と呼ぶ人たちも多いのですが、修復には実際、バチカン美術館のシスティーナ礼拝堂修復の責任者ジャンルイージ・コラルッチ氏も協力しています。
オリジナルのフレスコ画が描かれたのは17世紀ですが、その後19世紀に他の絵によってフレスコ画が覆われてしまいました。21世紀に入ってからの修復により、再び描かれた当時の美しさを取り戻したのです。
写真:小林 理沙
地図を見る祭壇の対極にあるのが、この美しいステンドグラスです。1455年に完成したものです。ダビデの六芒星がモチーフになっています。
このステンドグラスを中心にして右側にはヴェローナの聖ペトロ、左側には聖ニコライの生涯が描かれています。人生の中で際立つエピソードがそれぞれ時系列に並べられています。よって、ステンドグラスに近いフレスコ画には誕生時が描かれ、祭壇寄りには亡くなった時の様子が描かれています。
写真:小林 理沙
地図を見る13世紀に以前はモスクがあった土地の上に建てられたゴシック様式の教会、内装はバロック様式の華美な装飾となっています。
出入り口も、ゴシック様式やネオゴシック様式が見られます。
数回修復が繰り返されていますが、初めの修復は1家族から2人もローマ教皇を輩出したボルジア家が率先して行ったと言われています。ボルジア家は同じくバレンシアのハティバという街出身の名家です。
この教会の近くにはボルジア家から名を取った「ボルジア通り」があります。惣領冬実さんの歴史漫画『チェーザレ 破壊の創造者』に登場するボルジア家とバレンシアの関係の深さを証明しています。
公開されている時間帯は次の通りです。
月曜日: 7:30 - 20:00
火曜日 - 金曜日: 9:30 - 11:30 18:00 - 20:00
土曜日: 10:00 - 13:00 18:00 - 20:00
日曜日: 10:00 - 13:00
教会は無料公開されていますが、お賽銭や寄付として1ユーロほど置くのも良いと思います。
なお、フラッシュを使わなければ写真撮影もできます。
聖ニコライ教会の近くには、ゴヤの絵画やキリストの聖杯と言い伝えられている杯が収められているカテドラルや、ルネサンス様式のフレスコ画の天井がきらびやかなバジリカなど見ごたえのある大きな教会もありますので、あわせて教会巡りもできます。スペインにいらっしゃる際は、バレンシアにも足を伸ばしパエリアを食べたり、このような文化財を見学してみませんか。一見の価値ありです!
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(2024/4/19更新)
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