名古屋駅から徒歩で約15分とアクセスに便利な「ノリタケの森」は、高級食器などで知られるノリタケカンパニーリミテドの本社工場敷跡地にある陶磁器に関する複合施設です。
歴史を感じる“赤レンガ棟”、実際に使用されていた“6本煙突”のモニュメントを始めとして、草木や花々といった緑に覆われた広大な園内。
“工場見学”もできるクラフトセンター、初期のノリタケ製品“オールドノリタケ”を収蔵するミュージアム、ノリタケ直営店に加えて、レストランやカフェもあり、恋人や家族でのお出掛けにと多くの方々が一日中、楽しめる複合施設となっています。
最初に向かう場所として、オススメなのが「ウェルカムセンター」。こちらでノリタケの歴史を辿ってみましょう。
※下部関連MEMOには、“クラフトセンター”、“ミュージアム”、“レストラン・キルン”の詳しい紹介記事へのリンクもありますので、宜しければそちらも御確認下さい。
「ノリタケの森」に訪れたら、まずはノリタケの歴史や事業が紹介されている「ウェルカムセンター」へ。“噴水ひろば”や“赤レンガ棟”、木々の緑や彩り豊かな花などを楽しみながら敷地内を進んでいくと「ウェルカムセンター」に到着します。
“ウェルカムゾーン”、“シアタールーム”、“ヒストリーテーブル”、“テクノロジーコーナー”、“CSRコーナー”と5つのフロアで構成された「ウェルカムセンター」。
ノリタケの歩んできた軌跡が創業から現在に至るまで、当時の地図や映像、製品やパネルなどを用いて様々な角度から紹介されています。
受け継がれる精神と技術、幅広い分野への挑戦と応用、地域や環境への取り組みなど多岐に渡る内容がシンプルにまとめられ、ノリタケの活動について詳しく御存知なかった方でも理解しやすい配慮がなされています。
ノリタケの創業者・森村市左衛門(もりむら いちざえもん)は、1889年(明治22年)にパリ万国博覧会を視察し、美しく精緻なヨーロッパ製の磁器や機械化された近代的大工場に感銘を受けます。
「この美しい磁器を日本でも作りたい」と強く思い、ヨーロッパに技術者を派遣、国内生産に向けて調査・研究を開始。1904年(明治37年)に、最新のドイツ製機械、欧式陶製法を用いた大工場の建設に乗り出します。場所は素地の荷受けや製品輸出などの立地条件から愛知県鷹場村則武(のりたけ、現在の名古屋市西区則武)の地に。
“ウェルカムゾーン”では、創立当時の明治末期から時代ごとの変遷を地図、写真、映像を組み合わせて街の様子と共に紹介しています。1943年(昭和18年)当時の工場のジオラマもあり、ノリタケがこの地で歩んできた“ものづくり”の歴史を垣間見ることが出来ます。
1854年に日米和親条約、1858年には日米修好通商条約が結ばれ、日本の体制は不十分なまま、海外との取引が急速に拡大していきます。不利な為替相場によって日本から金(きん)が国外へ流出する現状を森村市左衛門は憂慮し、福沢諭吉に相談。
「流出した金を取り戻すために外国貿易以外に方法はない」との助言を得て、日本を豊かな国にするため、1876年、東京・銀座に輸出商社「森村組」を創業。弟の豊(とよ)を、アメリカ・ニューヨークに送り雑貨店「森村ブラザーズ」を開き、本格的な海外貿易をスタートさせます。
長大な“ヒストリーテーブル”では、ノリタケを創立した幹部たちの人物パネルや年表を交えてノリタケの歴史を辿ることができるようになっています。映像と組み合わせた大きなプレートは必見です。
森村市左衛門の志に賛同した大倉孫兵衛(おおくら まごべえ)、その息子・大倉和親(おおくら かずちか)も事業に参画。さらに森村市左衛門と仕事柄付き合いがあった土佐藩家臣の子息・広瀬実栄(ひろせ さねよし)、東京工業高等学校(現在の東京工業学校)出身の江副孫右衛門(えぞえ まごえもん)、福沢諭吉から推薦された慶應義塾出身の村井保固(むらい やすかた)など多くの人物たちが参画し現代に続く、“森村グループ”の礎を築いていったのです。
「ノリタケカンパニーリミテド」を始めとして、トイレ・洗面所・浴室・キッチンなど水回り機器を主軸とした「TOTO」、世界の電力供給を支える碍子(がいし)の他、産業セラミックを取り扱う「日本ガイシ」、エンジンなどに利用されるスパークプラグや医療用にも用いられるニューセラミック製品の製造・販売を担う「日本特殊陶業」も“森村グループ”です。
加えて、総合商社「森村商事」、高級洋食器製造の「大倉陶園」、セラミックスに関連する科学技術の振興・助成を行う「大倉和親記念財団」といったように、現在でも各種の分野で幅広い活躍をしています。
「ノリタケの森」には、陶磁器に関する多くの施設がありますが、まずは「ウェルカムセンター」で、ノリタケの歴史を辿ってみて下さい。想像もしなかった生活の様々なシーンに食器製造で培ったノリタケの技術や製品が活躍していることに気が付き、驚くことでしょう。
またノリタケの歴史が、現在「ノリタケの森」のある、この場所で積み重なってきた事実を踏まえて、“赤レンガ棟”や“6本煙突”、その他の各種施設を巡ると、また一味違った情景が見えてきます。約100年前を想像しながら緑に溢れた「ノリタケの森」を散策してみるのも楽しいですよ。
以上、洋食器メーカー・ノリタケの歴史が分かりやすく解説された愛知県名古屋市にあるノリタケの森「ウェルカムセンター」の御紹介でした。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/10/16更新)
- 広告 -