ライプツィヒといえば、バッハをはじめ音楽で有名な都市です。そして1990年のドイツ再統一以降最も再開発の進んでいる街の一つ。今回はそこにあるちょっと新しい美術館をご紹介します。
ガラス張りで内部のコンクリートが透けて見える現代建築をまとった建物は、ライプツィヒ市内でも目立つもの。少し重い扉を開けて内部に入ると、薄暗く重厚な雰囲気が漂います。
では、お勧めのフロアから順に解説していきます。
常設展示は階段を上がって2階から始まります。正面右手の部屋にドイツにおける彫刻の巨匠マックス=クリンガー作による「ベートーベン」。大理石のほか何種類もの岩石や、銅を使ったその彫刻はワーグナーのオペラを想像させます。また椅子に座っているものの、じろりとにらみを利かせたその風貌は見るものに畏敬の念を抱かせるに充分。ひときわ大きな部屋に単体で鎮座しているその姿は、威風堂々を感じさせるほか、美術館自体もこの彫刻を大切にしていることが伝わってきます。
後に続く部屋には、クリンガーの彫刻のほか、スケッチや絵画なども展示されています。その肉感的なタッチをぜひご鑑賞あれ。
4階部分にはロマン主義の絵画が並びます。
フランスの有名画家デラロシュによるナポレオンを描いた数々の絵画は、教科書などで見るダヴィド作のものとはまた違う雰囲気を醸し出しています。威風堂々と山を駆け上がる、自信満々の彼ではなく、戦いの後疲れた姿を見せるナポレオン。また、戦争の中から必死に逃れる人々そして兵士。少し感傷的な雰囲気の絵画からは、悲壮感とはまた違う、それでもリアルを追求した、そんな絵画が多くあります。その一方で、純粋に肉体の美しさを現した絵画も揃えられていて、ロマン主義の幅の広さを実感します。
このフロアには現代アートも展示されています。中にはゴムでできたリアルに動く心臓や全身がとげで覆われた衣装などもあり、どうなっているのだろうと好奇心を引き立てるものがあり、ワクワク感が増します。また抽象絵画や色彩豊かな絵画もあり、少し考えさせる物もあるのが、おもしろいところ。
もともと、地元の資産家のコレクションをベースに展示物を充実させたこともあって近代以降の様々な芸術に触れることができます。
3階部分はオランダの絵画を中心に、15世紀から18世紀の宗教画が並びます。あまり耳慣れない作家が並びますが、どれも見応え充分。
地下1階は、特別展・企画展用のスペースになっています。季節によっていろいろな試みがされているので、こちらも要注目!
2階部分のクリンガー作品とは別のエリアでは、地元の画家や彫刻家を積極的に紹介しています。
またこの美術館の建築ですが、おもしろい点が一つ。階によって展示スペースのとり方が違うのです。吹き抜けを多用して館内をより大きく見せています。
そして内部に設置されたエレベーター。これは作品移動も兼ねた大きなものなのですが、三面にある扉の大きさがそれぞれ違うのです。実用的な一方で遊び心にもあふれた建築様式。見落とすことのできない点がいっぱいです。
今回はドイツ東部の都市ライプツィヒにある造形美術館をご紹介しました。普通の美術館のようで、ちょっと違う一面を見せる個性的な美術館。ぜひ訪れてみてください。
ライプツィヒ中央駅から都市近郊電車のSBahnに乗り次の駅、マルクト駅(Markt)で下車。3分ほどカタリーネン通り(Katharienenstrasse)を北上し、ツーリストインフォが見えたらその奥です。
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(2024/9/10更新)
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