弘法大師を御本尊とする高野山東京別院は、徳川幕府が開かれた際、高野山学侶方の江戸在番所の寺として、浅草の日輪寺に寄留して開創されました。その後、延宝元年に「高野山江戸在番所高野寺」として、正式に建立されます。現在の別院建物は、弘法大師1150年御遠忌記念事業として計画され、昭和63年に本堂が建立されました。
仏さまと人、人と人を結ぶ「高輪結び大師」の縁起があります。
山門を抜けた右手に、四国八十八ヶ所のお砂踏み場があります。
阿波国(徳島)、讃岐国(香川)、伊予国(愛媛)、土佐国(高知)とエリアに区切られ、お札の番号順に八十八ヶ所のお地蔵様が整然と並んでいます。
佇まいがそれぞれ違う八十八のお地蔵さんが並んでいる姿には、きっと癒されるでしょう。
ここを歩きながらお参りすることで、四国八十八ヶ所のお寺を巡拝したのと同じ功徳をいただける、とされています。
1,400kmもの全行程を、大変な思いをしながら何日もかけて行なうのが四国お遍路の旅。
それが、このお砂踏み場を歩いて参拝するだけで、本当に功徳がいただけるの?手抜きじゃないの?なんてことは、どうか思わずに。
なかなか忙しくて、四国お遍路の旅を気軽にすることができない現代人のために、お寺が用意してくださった有難いものですから。
お遍路修行には「同行二人」という言葉があり、常に弘法大師と共にある、一緒に巡拝している、という意味です。
お砂踏み場の横には、修行大師(弘法大師)像もいらっしゃるので、ここでも「同行二人」の気持ちで臨んでみては?
お大師様の視線の先には、遍照殿、不動堂、そして昨年建立された明神社があります。
長い歴史を持つお寺ですが、その本堂はまだ新しく、鉄骨造りの立派な姿が印象的。
自由に礼拝できる本堂と周りの回廊には、特に荘厳な空気が満ちており、静かなるパワースポット、といった感じがします。
200余年前に開創された"御府内八十八ヶ所霊場巡拝"というのがあります。
これは、江戸時代の中期に四国八十八ヶ所お遍路の写しとして始まった巡拝。
八十八のお寺のほぼすべてが東京23区内にあり、四国のそれに比べると、とてもコンパクトなコースになっています。
四国巡礼には通常、一番札所から順にお参りする「順打ち」と、八十八番札所から逆にお参りしていく「逆打ち」とありますが、御府内八十八ヶ所は特に順番を問わず参拝してよいそうなので、効率が良いですね。
ここ高野山東京別院は、御府内八十八ヶ所霊場の第一番札所。
他にも、"江戸三十三観音霊場"の第二十九番札所、"関東八十八ヶ所霊場"の特別霊場にもなっています。
御府内八十八ヶ所巡りをするなら、途中の順番はこだわらなくても、スタートはこの高野山東京別院から、そしてゴールは杉並にある文殊院にて結願するのが良いと思います。
高野山東京別院では、6月には弘法大師の誕生を祝して青葉祭りが開かれます。
その際には、本堂の回廊に四国八十八ヶ所のお砂が実際に敷かれ、そこでお砂踏みができるようになります。
また、法話や写経会、書道や茶道などの各種教室も開かれています。
地下鉄の高輪台駅やJR品川駅から徒歩でアクセスできる、都会にありながらホッと落ち着けるお寺ですので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
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