加賀百万石「金沢」で静かな空気が流れる安らぎスポット4選

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加賀百万石「金沢」で静かな空気が流れる安らぎスポット4選

加賀百万石「金沢」で静かな空気が流れる安らぎスポット4選

更新日:2016/02/24 13:31

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

北陸新幹線開通でにぎわう金沢。
加賀百万石のおひざ元の城下町には、お決まりの観光スポットの陰で本来の静寂を取り戻しつつある文化的な施設や、未来を暗示するアート・スポットがたくさんあります。
金沢で、ただひたすらのんびりしたいなと思ったときにぴったりの、この町本来の熟成した空気の流れる安らぎスポットを数か所、ご紹介いたしましょう。

気ままに自由に感じる自然空間・鈴木大拙館

気ままに自由に感じる自然空間・鈴木大拙館

写真:ナツキ

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JR金沢駅からタクシーで10分、兼六園の南の一隅を占める大拙館は、いつ訪れても静謐そのもので金沢のかくれスポットの名に価します。

明治3年金沢生まれで仏教思想家の鈴木大拙は、同年同郷生まれで生涯を通して親友であった哲学者の西田幾多郎と並び、東洋と西洋を結びつける世界文化の創造に貢献した人物。大拙館は、その大拙の生誕地に建てられています。

いわゆる「もの」を鑑賞する展示館から一歩すすめて、彼の96歳の生涯に貫かれた独自の世界観にふれながら、館内を巡るほどに心の塵を払い落して自分と向き合う工夫を凝らした世にも珍しいミュージアム。

母なる子宮へと回帰していくかのような玄関棟につづく回廊で異次元空間へといざなわれた来館者は、展示棟、思索空間棟とめぐり、そのそれぞれに配された玄関の庭、水鏡の庭、露地の庭を眺めながら、歩くほどに心がほどけ、ごく自然に自分自身へと深く沈潜していくことを実感されるでしょう。

この心やすまる器を建てられたのは、谷口建築設計研究所の谷口吉生氏で、建築物としても出色のもの。2011年10月の開館以来、国内外の建築家もしばしば訪れています。

思索空間はわが心の闇を見つめる瞑想の場

思索空間はわが心の闇を見つめる瞑想の場

写真:ナツキ

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とりわけ館内から続く中庭に出て、水鏡の庭の水面を滑る風がつくるさざ波を見つめながら思いをはせる思索空間は、ぜひ時計をはずして自身とじっくり向き合ってほしい処です。
そして、大拙館の裏手から中村美術館まで続く緑の小道は、ケヤキの巨樹と草花があやなす風の声のみがささやきかける無韻の空間。
大拙館の受付に声をかければ手荷物を預けたまま散策、見学ももちろん可能です。

みえないものをしかと感じさせてくれる新しい形のミュージアムは、きっと訪れる人それぞれに固有の忘れがたい印象を与えてくれることでしょう。

写真は大拙館の裏へと回り、露地の庭から緑の小道へとつながる地点でのスナップ。

金沢の伝統工芸家やアーティストを多数育ててきたギャラリー「点」

金沢の伝統工芸家やアーティストを多数育ててきたギャラリー「点」

写真:ナツキ

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徳川時代を外様でありながら独自の文化政策で生き抜いた加賀百万石領主の智慧は、21世紀の今日、金沢の様々なギャラリー活動に見事に継承されてきています。

金沢駅から東南方向へタクシーで20分。国道25号線手前の住宅地入江町にあるギャラリー「点」は、まさにそんな金沢の先進性を代表するギャラリーです。
1995年オープン以来、現代美術から現代工芸を取り扱うプライマリーギャラリーとして金沢の地元作家たちを積極的に紹介してきています。
オーナーさん自身が作家であったことから、独自の眼力と勘どころを働かせて見つけ出し育ててきた作家たちを多数擁しており、知る人ぞ知るこのギャラリーが目指すものはとても刺激的。

金沢発世界に雄飛するアーティストたちの産土の地。ミニマルで、しかも伝統美にしっかりと根差したアート最前線の情報発信基地訪問は、今や金沢の旅の常識となりつつあります。

写真は1F展示会場から2Fへとつづく白亜の階段ホール。

室生犀星生誕地の記念館と雨宝院

室生犀星生誕地の記念館と雨宝院

写真:ナツキ

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金沢城を挟んで浅野川沿いの東茶屋街近くには泉鏡花記念館と徳田秋聲記念館。そして西茶屋街にほど近い犀川沿いの室生犀星記念館は、金沢を代表する三文豪を顕彰して建てられたものです。

とりわけ、室生犀星記念館は彼の生家である士分であった小畠家跡に建てられ、近くの犀川大橋のたもとにある雨宝院は、彼が生後まもなくそこの住職・室井真乗と内縁関係にあった赤井ハツにもらわれ養子となり室井照道を名乗って育ったところ。
そんな不遇の出生をもちながら無名時代の悲喜こもごもの想いを犀川の無常の流れに投影しながら育った室生犀星は、三文豪の中でも生粋の金沢を代表する文学者といえましょう。

記念館は、彼の故郷の自然に対する深い思い、ささやかな命や弱いものへの慈しみの心があふれ、犀星の人生賛歌ともいうべき生活の諸相が見事に結実された展示で満たされています。

紳士の社交場としてにぎわった上下茶屋街

紳士の社交場としてにぎわった上下茶屋街

写真:ナツキ

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加賀藩12代藩主・前田斉広は、文化3(1820)年金沢町奉行・山崎頼母らの口添えにより、妓楼を上下2地域に限定して集め、石坂茶屋街をつくることを許可しました。
その上町にあたる花街が現在の西茶屋街で、下町が金沢のCMでは必ず登場する主計町・東茶屋街の街並みです。この両茶屋街は、金沢の紳士たちの社交の場として数多くの名妓を生み、伝統と格式を現在まで受け継いできました。

どちらかといえば通好みの西茶屋街には、金沢の生んだ天才小説家・島田清次郎の資料館と併設する茶屋街資料館があります。
また、金沢を代表する落雁の老舗諸江屋さんがあり、和菓子文化のすべてが凝縮された銘品の数々が楽しめます。

写真は、西茶屋街資料館の吉米楼のお座敷(拝観無料)。

おわりに

金沢はまさに犀川と浅野川にはさまれた小京都にふさわしいおしゃれで飽きのこない北陸きっての文化都市。ここには日本という島国がはぐくんできた新旧すべての文化が鮮やかな切り口で私たちを魅了してくれます。

そして何よりも、その新しい文化の担い手が今もって多数輩出されつづけている街であることが魅力のすべてです。東茶屋街に続く東山エリアには、新進作家たちがしのぎをけずる卯辰山美術工芸工房があり、美術工芸の伝統に新しいページが書き加えられてきています。

人あってこその歴史と文化。そんなことをこの街を訪れた人は見つけ出して帰っていきます。
金沢の地は、そんな意味でも足しげく訪れて、その都度新しい発見に心震わす必要がありそうです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/05−2016/01/07 訪問

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