写真:万葉 りえ
地図を見る観光客と地元の人でにぎわう四条通と並行する三条通。
四条河原町辺りからなら、商店街になっている寺町通や新京極通を北へ向かうのがお勧めです。鴨川に架かる橋(三条大橋)から続く通りにでたら、そこが三条通になります。
歴史を感じさせながらも、おしゃれなショップが入る三条通のビル。
まず目に入ってくるのが、オレンジがかった色合いが特徴のビルでしょう。このビルは1928ビル。竣工は名前そのままの1928(昭和3)年となっています。
大阪毎日新聞社の京都支店だったビルで、見上げてもらうと星のマークをデザインした窓やバルコニーをご覧いただけます。こんな装飾は、現在の建築物ではほとんど見ることができないでしょう。これは社章をかたどったもので、当時はビルの外観にもかなり力を入れていたことがわかります。
新聞社として時事の最前線を走っていたビルは、現代はアート系の催しや演劇公演、ワークショップなど多彩なイベントに使われています。
それだけでなく、ギャラリーやショップもあり、また、ビルの入り口に立つと、どこからかおいしそうなにおいがしてくるビルでもあります。
新聞社時代には食堂があったという地下。ビルの入り口にカフェやレストランのメニューも提示されているので、新聞社時代を想像しながらランチをいかがですか。
写真:万葉 りえ
地図を見るこの通りには足袋の老舗「分銅屋」の黒くどっしりとした建物もあり、貴重な町屋建築の姿を今に伝えています。
紙問屋の隣に並ぶのは、おしゃれな服飾系のブランド。
このブランドのショップは各地にあるし、またこの記事をご覧の方の中にはお気に入りのブランドだという方もいらっしゃることでしょう。京都の三条通では、街並みの雰囲気を壊さないようにしながらも赤い色が個性を発揮した店構えになっています。
しかし、赤や黒という色は艶や深みなどで印象が変わるというなかなか難しい色。店舗の開店までには、色の微調整が繰りかえされたのではないかと想像します。
好きなブランドなら、こちらの店舗で買い求めるのも旅の思い出になりますね。
写真:万葉 りえ
地図を見る次にご紹介したいのは、通りの角に立ち、窓まわりに幾何学模様を用いたモダンなデザインが印象的なSACRAビルです。
このビルは不動貯金銀行の京都支店だった建物。
石造りの外観を持ちながらも、内部は木材がたくさん使われており、特に階段は年季が入って木があめ色へと深みを帯びています。写真からも、懐かしさと落ち着きのあるビルの内部がお分かりいただけるのではないかと思います。
二階や三階にも様々な雑貨のお店が待っています。木の持つぬくもりを感じながら階段を上がり、どんなものに出会えるのかを楽しみに回っていただきたいビルです。
写真:万葉 りえ
地図を見る三条通には1902年にできた中京郵便局、1906年のみずほ銀行(旧第一銀行)京都支店など明治以降の洋風建築の外観を残して内部は改造したビルもあります。
外観だけ残したにしろこれだけのビルがあったのは、三条通が金融や流通など経済の中心だったからです。
三条通に残るビルの中で一番古いのが、1890(明治25)年に建てられた家邊徳(やべとく)時計店のビル。
店の上部の装飾などにも建築当時の面影が今もたくさん残っており、時代の先端をいく品を商っていた店の活気が伝わるようです。
現在は女性物の服飾のお店が入っています。古い階段などが残る中に現代の流行がディスプレイされて、おしゃれな空間になっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る外観を残しながら内部を現代向けに改造したビルもありますが、日本銀行京都支店、現在の京都文化博物館・別館は当時の面影を色濃く残す建物です。
現在はイベントに使われることも多いのですが、無料で見学できる施設になっています。
設計者は東京駅と同じ辰野金吾博士。銀行時代の内部が忠実に再現されており、自由に見学することができます。「LINEトラベルjp 旅行ガイド」の記事にも取り上げているので、よければ参考にしてください(MEMO参照)。
その旧日銀京都支店の前には、写真のように三条通の歴史的建造物を紹介する案内板もあります。案内板も参考に、明治から大正時代にかけても賑わっていたこの通りを散策してみませんか。
京都というと清水寺や八坂神社、二条城など有名な場所をスポット的に見て回る方も多いでしょう。しかし、哲学の道や二寧坂・三寧坂をはじめとして、特徴ある通りが京都にはいくつもあることを知っていただければと思います。
梶井基次郎の小説『檸檬』の舞台になった書店「丸善」も、梶井が執筆していた当時は三条通に建っていました。現在の京都本店は少し移動しましたが、今でもあの小説と同じように画集の上に檸檬を置いていく人が絶えないといいます。
この記事では「界わい景観整備地区」になっている三条通りを紹介しましたが、ほかにも、
・幕末からの動乱で、坂本龍馬に関する史跡がいくつも残る高瀬川沿いの道
・骨董品店が並び路地めぐりも楽しめる、新門前通
・「祇園で一番趣がある」といわれている、新橋通
・どこからか機音が聞こえてくる西陣の石畳
…など、ぜひ訪れて京都を味わっていただきたい通りがいくつもあります。
きっと、何度訪れても、訪れるたびに新しい京都に出会えることでしょう。
この記事の関連MEMO
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(2023/12/1更新)
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