写真:Naoyuki 金井
地図を見る秩父市の小鹿坂峠の中腹にある『音楽寺』は、824年〜834年の天長年間に慈覚大師が関東を巡った折、この地に霊異を感じたことから堂宇を建立し、刻んだ観音像を安置したのが開基です。その際、多くの小鹿が現れて、この地まで太師を案内したのでこの辺りを“小鹿坂”と呼ばれるようになったと伝えられています。
秩父三十四観音霊場として多くの巡礼者が参拝に訪れているのですが、最近はヒット祈願などに訪れる歌手が多く、祈願の掲示板にはまるでPRとも思えるポスター等が貼られています。
わざわざ秩父の地までやって来るのも大変でしょうが、やはり最後は神頼みという事でしょうね。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るこの観音堂が音楽寺になった由来は、小鹿坂峠を5分ほど上がった観音堂裏手にある『十三権者の石仏』にあります。
1234年、妙見大菩薩ら13人の権者が、秩父34ヶ所札所を開設した際、この地で聞いた松風の音が菩薩の奏でる音楽の様に感じたことから、この観音堂を『松風山音楽寺』と名付けました。
菩薩の音楽とは一体どのような音楽なのかは分かりませんが、風の音というまさに音楽寺らしい由緒なのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る県の天然記念物である見事な“御影松”など境内に見どころは多いのですが、菩薩の音色らしいのは『梵鐘』。
秩父市の文化財に指定されている1768年に鋳造されたもので、下部には聖観音などの六観音が浮き彫りされているのが特徴です。しかも、この梵鐘は1884年に起こった自由民権運動のひとつである“秩父事件”の際に、この鐘を打ち鳴らして決起軍が秩父市街地になだれ込んだと云ういわくつきの梵鐘なのです。
歴史的にも貴重なこの梵鐘、「鐘は静かに撞いてください」との注意書きがあるので、参拝者も自由に撞いてみて、その音を聞いてみてください。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る音楽寺らしい風情は、石仏の下にある小さな庭園らしきところにもあります。
取材時は、整備されている途中らしいので決して綺麗ではありませんが、完成時を想像すると結構面白いかもしれません。
その仕掛けは、植栽されている木や花に掛けて曲名が掲げられていることです。写真で見られるような、「“菩提樹”」(モーツァルト)や「無法“松”の一生」(村田英雄)を始め、「“くちなし”の花」(渡哲也)「“さざんか”の宿」(大川栄作)「“椿”姫」(ヴェルデ)といった具合に、一見ダジャレとも思える強引さはありますが、近い将来名所になるかもしれませんね。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る小鹿坂峠の中腹にある音楽寺からは、秩父の市街地や武甲山を始めとした秩父連山が一望できる景観があります。
流石に現在のような街並みは無かったでしょうが、秩父連山を見ながら聞いた“松風の音”が一体どのような音楽だったのか、この地に立てば聞くことができるかも知れませんね。
全国でも珍しい『音楽寺』はいかがでしたか。
隣には秩父ミューズパークという大変大きな公園がありますので、巡礼ではなくピクニックやハイキングがてら訪れてみてはいかがですか。
長閑な光景のなかにある音楽寺に癒されること間違いないでしょう。
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(2024/11/4更新)
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