写真:Hiroko Oji
地図を見るノルウェーの首都オスロ(Oslo)の西に続く小さな半島のビィグドイ(Bygdoy)地区には、見応えたっぷりの博物館が集中しています。
先ずはヴァイキング船博物館へ行ってみましょう。ヴァイキングと言えば、船に乗って海上を我が物顔で渡り歩き、他の船から金品を略奪するイメージが強いのですが、実は、彼らは元は農民・漁民であり、優れた造船技術・航海技術を持ってヨーロッパや北米大陸へ進出し、海上交易での功績があった集団だったのです。
博物館の中に入ってまず目に飛び込んでくるのが1904年に発掘されたオーセベルグ船(The Oseberg ship)。真っ黒の巨大な船体が覆いかぶさるような威圧感を持っています。船首が黒鳥の長い首がくるりと渦を巻くように見えるこの船は、女王の船として800年代から約50年使われていたもの。女王の遺体とともに埋葬されていました。また、そばに展示されているのは、ゴークスタット船(The Gokstad ship)。同じように黒い巨大な船体は900年代に使用されていたもので、横幅5メートル、長さは23メートルもあり、喫水線がとても低い船です。いずれも1000年以上もの昔の素晴らしい造形美を残しているヴァイキング船です。
写真は、チューン船(The Tune ship)といって、出土された中では最も古いヴァイキング船です。3番目に保存状態の良い船として展示されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るヴァイキング船博物館の北側に広がる広大な敷地はノルウェー民俗博物館です。ノルウェー全国から集められた170以上もの建物が、敷地内に点在しています。その中で、一際目を引くのが、木造教会のスターヴヒルケ(Stavkirke)。これは、1881年、オスロの北約200キロメートルに位置するゴール(Gol)村から移築してきたもので、1200年当時の姿をとどめています。
屋根には、ヴァイキング時代の名残と言える、魔除けとして利用されていた龍の頭が据え付けられており、鱗のような屋根瓦も壁もすべて木でできたしっかりした造りとなっています。薄暗い教会内に入ると、板の床を歩くたびに木の軋む音が心地よく静かな空間に響きます。主祭壇の背後にある板壁に描かれた「最後の晩餐」がかろうじて残されていて、教会内には当時へタイムスリップしたような雰囲気が漂っています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る民俗博物館内の広い敷地には、木造教会の他に、昔の学校が再現されている木造の建物、小さな礼拝堂、水車小屋、野外ステージなどと共に、サーメの民族衣装や彼らの生活の様子を伝える品々を展示している民家が点在しています。
壁際に据え付けられた木製のベッドやベビーベッド、木彫りや彩色が施された木製家具、糸巻き車、丸太を組み合わせた壁や天井全面に木彫りや絵が描かれている部屋、外側の板壁がバルコニーの手摺のようにデザインされたスリットが入り美しい民家の数々・・・どこをとっても見応えある建物ばかりです。屋根に草が生えているのもほのぼのとした感じ。ある民家では、民族衣装を着たスタッフが、当時の台所でお料理をする実演もしています。また屋外でのバイオリンやアコーデオンの演奏、フォークダンスの披露など、盛りだくさんのメニューで楽しませてくれます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るオスロ市庁舎前からのフェリーが到着する船着き場のすぐ近くに3つの博物館が集中しています。その中の一つ、コンチキ号博物館には、トール・ヘイエルダールの功績が展示されています。
彼はノルウェーの人類学者、海洋生物学者、探検家。バルサ材で造られたいかだ船「コンチキ号」でペルーのカヤオ港から南太平洋のツアモツ島まで4300マイル(約8000キロメートル)の航海を行ったことでその名を知られています。コンチキ号はインカ時代の船を模したもので、その他にもパピルスで造られたラー2世号、イースター島の石の巨像「モアイ像」の模型などが展示されています。
写真は6100キロメートルを57日間漂流した「ラー2世号」です。写真の右上の帆のところに日の丸が掲げられているように見えますね。ラー2世号には日本人のカメラマンも加わっていたというのでそのためかとも思われがちなのですが、これは日の丸ではなくて、ラー(RA)、つまり太陽なのだそうです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るコンチキ号博物館の向かいにあるフラム号博物館は、正面から見ると2等辺三角形の形。館内の中央には、北極海流の研究のために造られたフラム号(Fram)がデンと納められています。全長39メートル、満載すると800トンにもなるという巨大なフラム号は「前進する船」という意味を持っています。
フラム号は、ノーベル賞受賞のナンセンの指揮で北極に向かったものの、北極平原に2年間も閉じ込められてしまいました。しかし、フラム号が氷に押しつぶされることなく無事オスロに帰還できたのは、その設計がしっかりしたものであった証!その後、1910年にはアムンゼンによって出港、翌年には、南極点一番乗りを果たしたことでも知られています。
展示されているフラム号は実物そのもので、船内に入ると大きさを実感!操舵室や機械室、寝室、娯楽室、台所など様々な設備を見学していると、実際に広い海原を航海しているような気持ちになってきます。
ビィグドイ地区へは、バスでも行けますが、市庁舎前の埠頭から出るフェリーで渡るのがお薦め。海上から眺める素晴らしい風景が楽しめます。
ここでご紹介したほかに、フラム号博物館の隣に建っている海洋博物館も見応えがあり、ノルウェーの海に関する大規模な資料を見ることができます。館内の広いホールには夥しいほどの船舶の模型が並び、壮大たる眺め!船首の面白い芸術的な飾りもたくさん並べられています。上階のガラス張りの空間からは、広々としたオスロ湾の美しい眺めが見渡せるのも見所です。
ビィグドイ地区の博物館は、一つひとつが充実した展示内容。それがいくつも集中しているので、とても見応えある地区となります。丸一日かけてゆっくりと訪れてみて下さい。その時にお薦めなのが、博物館やフェリーが無料となり、郊外の美術館や見所、公共の交通機関にも有効なオスロパス!観光案内所やホテル、、駅前のトロフィカンテン、コンビニなどで購入できます。MEMOにリンクしておきますので、どうぞご利用くださいね。
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(2024/12/14更新)
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