写真:万葉 りえ
地図を見る全国に約3万はあるという稲荷神社の総本宮、京都の伏見稲荷大社。初詣のランキングでも必ず名前が挙がり、いわずと知れた神社ですよね。
JRや京阪の駅をおりれば、もうそこは表参道。目の前には大鳥居がそびえ立ち、その先には豊臣秀吉が寄進した朱塗りの楼門も見えます。この前では記念写真を撮っている方の姿が絶えることなく、大勢の参拝者でにぎわいます。
左右に分かれて朱色の鳥居がびっしりと並んでいる千本鳥居は、本殿の少し奥になります。参拝者が多いので右側通行になっているのですが、新しく鳥居を入れる隙間がないほど並んだ千本鳥居を楽しんでいるうちに、奥社奉拝所に至ります。
写真:万葉 りえ
地図を見るここまでくると、あの千本鳥居も通ったし、一願命婦(白狐)の絵馬が下がっている様子も見られたので戻ってしまう人も少なくありません。しかし、この辺りはまだまだお山の入り口付近といってもいいくらいの所なのです。
伏見稲荷大社の初詣の人ごみはかなりのもの。ゆっくりお参りしたい方は、正月頃と初午(はつうま)のころを外して参拝された方がいいでしょう。しかしその時期でも手前で帰る方が多く、山に上がるにつれて人は少なくなり神秘的な空気が濃くなっていきます。
写真:万葉 りえ
地図を見る奥社奉拝所から10〜15分。熊鷹社付近では、こんなにかわいいきつねが待っています。
この辺りまで来ると混み方も少し落ち着くので、この辺りで休憩するのもお勧めです。熊鷹社の近くの店で売られている五福餅は、やわらかなお餅。中には、香ばしくとろっとしたゴマ餡が入っていて、ちょっと一息できる場所もあります。
写真:万葉 りえ
地図を見るそしてこの辺りまで来ると、これまで見てきた朱塗りの鳥居が続く様子とは違う伏見稲荷大社の姿になっていきます。
山に向かって右手には様々な言い伝えがある新池が深い色の水をたたえ、そのほとりにはたくさんの祠や、納められた鳥居。そして数えるのが大変なほどの石造りの狐たち。巻き物に、玉に、稲穂…神の使いであるという狐たちが口にくわえているものも様々。暗くなると不思議なことが起こりそうな、そんな世界が広がっているのです。
また、「根上りの松」の御社近くから右へ。竹取物語の舞台といわれる深い竹林に守られるように「伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)」がたたずみます。ここは、稲荷神社本殿が稲荷山山頂にあった時代から奉拝所として重要な祭祀を行ってきたとも。
写真:万葉 りえ
地図を見る社殿前には天龍・地龍という狛龍がひかえ、御祭神は天照大御神、稲荷大神、そして十種神宝(とくさのかんだから)。
十種神宝とは、「日本書紀」などと並ぶ史書「先代旧事本紀」に出てくるそれぞれに強い霊力を持った十種の神の宝のこと。伝わる祝詞から、ここは「神山に抱かれ五体に宿る魂(たましい)を振り起す処に神徳を見出す」とあがめられてきました。
かぐや姫が結婚の条件として出した「龍の玉」の持ち主が龍頭大神。境内には龍頭大神の御社もあります。命に欠かせない水や気の循環をつかさどる龍を祀るだけでなく、同じく十種神宝を祀る石上神宮(奈良)と地下水脈で繋がっているといううわさもある伏見神宝神。
いくつもの神秘的な話をもっているパワースポットです。
写真:万葉 りえ
地図を見る進んでいけば神秘的な様子が色濃くなって、山の中へと入ってきた感じが強くなってくることでしょう。そして、ところどころに写真のようなろうそくの炎が揺らめくお堂が待っています。
伏見稲荷大社では、様々な大きさの鳥居を奉納される方も多いのですが、このようにろうそくを灯して願い事をされる方も少なくないのです。ろうそくはそれぞれのお堂のそばにある店で売られており、小さなタイプだと1本200円くらいから手に入ります。
熊鷹社からさらに進めば「三ツ辻」と呼ばれる辻(T字路)へとつながります。ここを左に行けば裏参道と言われる下りの道で本殿の方向へ戻ることが可能。
しかし時間に余裕があるならぜひ右側の道へ行きましょう。奥へと進むほどに、この山のもっとミステリアスな世界へと入っていくことができるのです。
写真:万葉 りえ
地図を見る時間にして三ツ辻から数分。眼下に京都の町を見下ろせる場所まで登ってくると、そこが「四つ辻」です。道沿いにはいくつもの茶店があり、昔から人々が休憩しながらここを進んでいったことが感じられるでしょう。
四つ辻からは京都の洛南が見渡せ、その向こうには山のふもとに洛西も望めます。苔寺として有名な西芳寺や、鈴虫寺、酒造業者の信仰が厚い松尾大社などがあるあたり。京都が一望できるこの景色は、四つ辻まできたご褒美といえるのかもしれません
そしてここが、ぐるっと稲荷山三峰を巡拝する「お山めぐり」のスタート地点になります。「お山めぐり」といっても、普段の履き慣れた靴で回れる道。鳥居が道しるべとなり、祠や塚、そしてろうそくの炎がゆらめくお堂が峰々の間に待っています。こちらの道中にも茶店が点在しているので休憩をとりながらでも大丈夫です。
写真は一の峰に至る手前で撮影したものですが、このように四つ辻の先にも大きなパワーがいただけそうな神秘的な山の空気がまっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る伏見稲荷大社のお山めぐりも含めて、参拝する道沿いには〇○大神や〇○不動など名前が付いた社がいくつもあります。
そしてこの可愛らしいキツネは、伏見稲荷大社に近い荒木神社のお神籤(みくじ)になります。見ている人を笑顔にしてしまうかわいらしさですよね。
写真:万葉 りえ
地図を見る伏見は桃山時代から作られ始めたという郷土玩具・伏見人形が伝わる地。素焼きにした後に一つ一つ手描きで彩色するという伏見人形。荒木神社には写真のお神籤以外にもかわいらしい置き物もあります。それが「キツネの口入人形」とよばれる置き物。口入とは仲人(なこうど)のことで、良縁祈願に人気なのです。
きちんと詣でた後で自宅に持ち帰ってこの口入人形をお祀りすれば、良縁を運んできてくれることでしょう。祭神は口入稲荷大神。まずは荒木神社でしっかりお願いを。
このように奥へと進むほど神秘的な空気が濃くなる伏見稲荷大社。千本鳥居の奥に広がる世界も楽しんできてください。
住所:京都府京都市伏見区深草藪之内町68
アクセス:JR稲荷駅 京阪伏見稲荷駅からすぐ
※荒木神社は伏見稲荷大社本殿の奥から左に抜けて行くこともできますが、三ツ辻まで行って裏参道(左側)のほうへ降りても辿り着けます。
2023年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2025/1/16更新)
- 広告 -