長野県の松本駅から車またはホテルの無料送迎バスで30分少々、車同士のすれ違いが困難なほどの細い山道を登った先に明神館があります。
創業は1931年。山で採れたり畑で収穫した食材を提供する小さな宿がはじまりでした。温泉を楽しみにやって来るお客さんへのおもてなしが評判を呼び、それは次の世代に受け継がれ、山奥の極上宿として進化を続けたこのお宿。今ではその質の高さは、パリに本部を置く世界的なホテル・レストランの会員組織、ルレ・エ・シャトーへの加盟が認められているほどです。
薄(すすき)川の渓谷沿いに建てられた4階建ての建物には40ほどの客室がありますが、スタンダートタイプのお部屋は和室の隣にガス暖炉付きのモダンな洋室。心地よいソファーに座って壁一面の大きな窓から目の前に迫る山裾を眺めれば、「来て良かった!」ときっと思うはず。
扉温泉の源泉は無色透明のクセのないお湯。明神館では3種類のお風呂でそのお湯を楽しむことができます。
上記写真は立ち湯。渓谷に向かって開放されている一番奥の部分は深さが約120pあります。お風呂の縁にもたれて深呼吸すれば、入浴がそのまま森林浴に!湯船の他にミストサウナ、4つのシャワーが設置されています。
体と頭をゆっくりと洗うのは、露天風呂付き大浴場で。脱衣所内には、照明が落とされ寝椅子が用意されている一角があるので、お風呂上がりの体を休ませながら瞑想タイムを持つこともできます。
枕木に頭を乗せて浸かる寝湯は、半身浴も楽しめるくらいの深さのある屋根付き露天風呂。柔らかいお湯に心地よく寝そべると、全身の力が抜けていきます。3つのお風呂の中では一番小さく、シャワーは一つだけ設置されています。
どのお風呂も山の自然をたっぷりと感じることが出来て魅力的。どこに、どんなタイミングで、何回入るか、悩んでしまうのが既に贅沢かも。
温泉宿ではチェックインの際に「お食事は何時にされますか?」と聞かれることが多いですが、明神館では「ご自由にどうぞ」。夕食も朝食も、レストランがオープンしている数時間のうちの、いつ行ってもOK!食事の時間に合わせるために、お風呂やお部屋でのノンビリタイムを調整する必要がないのです。宿泊客にとって、この自由はかなり嬉しいところ。
食事は和食かフレンチから選択できます。それぞれの会場は「旅館の食堂」のイメージはなく、窓からの景色やインテリアにもこだわった「素敵なレストラン」。地元の旬な食材を多く使い、腕の良いシェフ達によって調理された目にもお腹にも美味しいコース料理を、ゆっくりと時間をかけて頂きます。
夕食の選択は宿泊予約時に伝えておきます。翌朝の朝食をどちらにするかは夕食時に聞かれます。せっかくならば、2回の食事で和食とフレンチの両方を楽しむのがオススメ。趣の異なる2つのレストランを堪能しましょう。
明神館滞在の心地よさは、お風呂と食事だけではありません。ホテル側のさりげない「おもてなしの心」をあちこちで感じる事ができます。
到着後のウエルカムコーヒーと美味しい焼き菓子で一息ついて部屋にはいると、浴衣だけでなく着心地の良い部屋着も用意されています。準備されているお茶は緑茶の他にハーブティー。明神館オリジナル「ぐっすり茶」は、おやすみ前に飲むと良さそうです。お部屋に差し入れされる夜食の焼きおにぎりは、お腹がいっぱいでもちょっと手を伸ばしたくなる素朴な味。上にのっている辛味噌は売店でも販売されています。
お部屋以外でも、オープンテラスやカフェラウンジ、読書やお喋りを楽しむことの出来るサロンなどの共用スペースで心地よく過ごすことが出来ます。落ち着いたインテリアが揃うロビーは、夜になるとジャズが流れる大人の雰囲気に。
お宿の周りはもちろん自然の宝庫。隣を流れる薄川沿いを散策出来るように散歩道が整備され、ところどころにベンチや西洋風の東屋などが準備されているのも、嬉しい心遣いです。
ホテルチェックアウトは12時と遅め。ロビーでコーヒーなどを飲みながら、最後のひとときまでゆっくりと過ごすことが出来ます。
温泉宿としての温かさを感じながら、プライベートな時間を楽しむことが出来る心地よさ。それが最先端の「おもてなし」なのかもしれません。
明神館は2015年にリニューアルして以降、今まで以上に注目を集めています。山が美しい新緑の季節は特に混むので早めの予約が安心。また、建物が横に長いため、部屋によっては廊下をかなり歩かなければなりません。心配な方は、予めエレベーター付近の部屋をリクエストしましょう。
お宿パンフレットの最初の言葉は「おかえりなさい。もともとのあなたへ」。
自然の中でのんびりゆったりと極上な時間を過ごし、身体も気持ちも緩ませて。本来の自分を思い出してみませんか?
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(2025/2/10更新)
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