近江の石造美術を巡る旅 おすすめの5選!

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近江の石造美術を巡る旅 おすすめの5選!

近江の石造美術を巡る旅 おすすめの5選!

更新日:2013/08/13 17:26

タカシ☆TZRのプロフィール写真 タカシ☆TZR ブロガー

「石造美術」という言葉自体があまり知られていないように感じますが、石造の仏塔、仏像、燈籠、鳥居など各地に優れたものがあるので、旅行の目的に石造美術の鑑賞を取り入れてみてはいかがでしょうか。石造美術は地方ごとに特色があるものなので、おすすめの地方をなかなか一つに絞りにくいのですが、ここでは、文化財指定を受けたものも多い滋賀県の石造美術を紹介します。ちょっと珍しいものもあって楽しいですよ。

鏡神社宝篋印塔 〜 塔身四隅に鳥形の彫刻のある鎌倉時代の名品

鏡神社宝篋印塔 〜 塔身四隅に鳥形の彫刻のある鎌倉時代の名品

写真:タカシ☆TZR

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まずは重要文化財の鏡神社宝篋印塔。宝篋印塔(ほうきょういんとう)という言葉に馴染みのない方も多いと思いますが、この石塔のような形式の塔を宝篋印塔といい、笠の四隅の隅飾り、笠の上下面の段級などが特徴です。この宝篋印塔は鎌倉後期の古いものですが状態がよく、均整のとれた形状をしていて美しいです。基礎に彫られた孔雀文様や隅飾りの輪郭など、細工も丁寧です。そして、なにより珍しいのは塔身四隅に鳥形が彫られている点です。

宝篋印塔は、呉越国王銭弘俶が造立した「金塗塔」がもとになっています。かつては日本で独自に石造宝篋印塔が発生したといわれていました。ところが、中国にも石造宝篋印塔があったことがわかり、日本には鎌倉初期に大陸から伝わったとされています。そして、そのもとになったとされる塔にも鳥形(正確には迦楼羅)の彫刻があるということで、この宝篋印塔が古い伝統を守って造られたことがわかるわけです。ちなみに宝篋印塔の造られた時代は隅飾りの反り方でわかります。鎌倉初期の出現期のものは反りがほとんどなく時代がすすむにつれて大きく反ります。この宝篋印塔ではやや外に開いていて鎌倉後期頃のものとわかります。

場所がちょっとわかりにくいかもしれませんが、重要文化財の本殿などがある境内からは少し距離があって、道の駅竜王かがみの里から少し南西のところにあります。この宝篋印塔のすぐ近くには同じく重要文化財に指定された石燈籠があります。これも優れた石造美術です。

廃少菩提寺多宝塔 〜 珍しい石造の多宝塔

廃少菩提寺多宝塔 〜 珍しい石造の多宝塔

写真:タカシ☆TZR

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これも重要文化財の石塔です。高さは450cmもあり雄大ですが、すらっとしていて秀麗な印象です。多宝塔とよばれる形式の塔で、二層塔で下層屋根上に丸くふくらんだ亀腹があるのが特徴です。多宝塔は木造ではよくつくられていて、石山寺多宝塔(国宝、滋賀県大津市)などが有名ですが、石造の多宝塔は非常に珍しいのです。この塔は刻銘があって仁治2 (1241)年のものとわかり、資料的な価値も高いです。重要文化財の石造多宝塔というと長野県上田市に常楽寺多宝塔があるのですが、それに比べると複雑な形状をしています。

なお、この多宝塔の近くに石造の地蔵菩薩像3体と閻魔像があり、多宝塔とあわせて「廃少菩提寺石多宝塔および石仏」として国の史跡指定もうけています。一帯は奈良時代に興福寺の別院として建てられた菩提寺の遺跡になっています。

石塔寺三重塔 〜 最古最大の石造三重塔

石塔寺三重塔 〜 最古最大の石造三重塔

写真:タカシ☆TZR

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こちらも重要文化財の石塔。三重塔で奈良時代につくられたものです。石造三重塔というのは全国的にも案外少ないのですが、その中でも最古のものでかつ最大のものです。日本書記に百済からの渡来人を蒲生郡に移した記事があって、渡来人との関連の深い地域なのですが、この塔も日本でよく見る石塔とはだいぶかわっていて、大きな塔であることだけでなく各部の比率なども朝鮮のものとよく似ています。石塔寺では鎌倉時代以降に五輪塔や石仏が奉納されるようになり、境内には多数の石塔があります。そのうち、石造宝塔1基と石造五輪塔2基が重要文化財に指定されています。

狛坂磨崖仏 〜 たどりつくのが大変だけど必見の石仏

狛坂磨崖仏 〜 たどりつくのが大変だけど必見の石仏

写真:タカシ☆TZR

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近江は石仏にもいいものがたくさんあるのですが、国指定史跡の1件を紹介したいと思います。狛坂磨崖仏とよばれる石仏で、金勝山の山中の狛坂寺跡にあります。金勝山の山系は古くから霊場とされていて、天平期に金勝寺が開かれ、さらに平安初期に金勝寺別院として狛坂寺が開かれました。石仏は半肉彫で立体感のあるつくりになっていて、表情などもよくできています。中尊は珍しい印相(手の形)をしていて、はっきりはしないものの弥勒仏らしいです。狛坂寺建立当時の平安前期のものされていますが、統一新羅の石仏との関連から奈良時代後期とする見方もあります。

ぜひ見ていただきたい美しい石仏ですが、訪問はなかなか容易ではありません。山岳寺院につくられた石仏なので、山の中を歩かないとたどりつけないのです。車の場合は、道の駅こんぜの里あたりから金勝寺を通る林道に入って、奥の駐車場から徒歩で1時間ほど。道の駅で地図がもらえます。公共交通機関利用の場合はJR草津駅でバスに乗って、上桐生下車でそこから徒歩になります。

御上神社本殿縁束礎石 〜 国宝本殿の一部分をなす石造美術

御上神社本殿縁束礎石 〜 国宝本殿の一部分をなす石造美術

写真:タカシ☆TZR

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ここまで紹介してきた4つは全て国の重要文化財または史跡に指定されているものですが、これは国宝です。とはいっても建物全体が国宝に指定されていて、その一部です。御上神社本殿はこの地方特有の入母屋屋根の仏堂風の社殿で、周囲に縁がついています。写真はその縁部の礎石で複弁の蓮華文を刻む優美なものです。これが社殿をめぐってずらっと並ぶのは見事です。社殿自体も美しいものなのでついつい上の方を見てしまいますが、下部もしっかり見ていってほしい建築です。なお、この縁束座の一つに建武4 (1337)年の刻銘があります。社殿自体はもう少し古いものとされ、この年に縁部が付け足されたようです。

近江の石造美術を主観的に選んだ5つを紹介しましたが、文化財指定を受けているものに限っても他にたくさんあります。重要文化財指定のものは文化庁のウェブサイトの「国指定文化財等データベース」で検索して情報を見ることができるので、調べてみて下さい。石塔の類は「国宝・重要文化財(建造物)」の文化財分類、「近世以前/その他」の種別でデータベースに登録されています。石仏や石燈籠は「国宝・重要文化財(美術品)」の分類で、彫刻や工芸品の種別(滋賀県では重文指定の石仏はありませんが)。もちろん国の指定をうけてなくても素晴らしいものはあるので、訪れた先で石造美術を見かけたらよく観察して、いつごろのものかなぁなどと考えてみるのもよいかと思います。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/07/28 訪問

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