奄美諸島から宮古島、八重山島までの広い範囲に広がっているものが御嶽(うたき)です。「御嶽」とは神が降臨する場所であり聖地です。全ての儀式に必要な範囲は聖域となり、一般人は立ち入ることは出来ませんでした。
世界遺産を構成する「斎場御嶽」は、琉球王朝時代に王府が整備した沖縄本島では格式が高い御嶽です。「斎場」とは霊域の高い聖なる場所という意味を持ち、久高島に降臨した神であるアマミキヨが造った七御嶽の一つとなり、正式な神名は「君ガ嶽、主ガ嶽ノイビ」とされます。
この地は、聞得大君(きこえおおぎみ、きこえのおおきみ、チフィジン)と呼ばれた沖縄で最も格式の高かったノロ(祝女)により代々受け継がれ守られます。初代は月清という名で、尚真王(在位1477年−1527年)代とされます。以後、1944年に十八代目となる思戸金翁主まで続くも、戦後廃止されています。なお、公的には廃藩置県時1892年までとされますが、その後も続いていたのです。
斎場御嶽には六か所の拝所があるとされ、今回は三か所のご紹介です。一つ目が「大庫理」です。王室の人を除き、一般人はその先に入ることが出来なかった御門口を過ぎると、大庫理があります。
聞得大君の就任の儀式を「お新下り」と言いますが、その儀式は大庫理で行われています。前面にある正方形に近い磚(せん)敷きで他のノロに祝福され、聞得大君は就任します。そして琉球王国の豊穣を祈り、あらゆる災難を払いのけ、先祖を祀る空間でした。
周囲を豊かな緑で囲まれたこの場所は、崇高な気持ちを抱かせてくれるかも知れません。
二つ目が、文字通り、寄せて満ちる場所「寄満」で、斎場御嶽の霊域内で最も奥にあります。ここに何が集まって満ちるのかは、様々な「宝」と「幸せ」なのです。神から授け物を頂く重要な場所ですから御嶽の中の「超パワースポット」と言えますので、心静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。
斎場御嶽のシンボル的場所がこの「三庫理」です。巨大な岩が三角の空間を作り、見る者を圧倒します。これは約1万5千年前に発生した地震によるズレという指摘があります。
三庫理の三角空間を通りぬけると、そこに三つ目の拝所があります。沖縄創世の女神「アマミキヨ」が降臨したとされるのが、光の先に見える「久高島」です。
この拝所については諸説ありますが、中にはここが最も重要な場所であったという指摘があります。神が降りた島を望める場所であり、島が見える正面を除いて岩に囲まれた空間は、まさに祈りの場所と感じることでしょう。
女神・アマミキヨが作ったとされる「斎場御嶽」は、琉球を感じるためにも沖縄観光では足を運ぶべき場所です。
注意点としては休息日が設けられており、年2回は立入出来ない期間があります。これは一般者にマナーを考えてもらいたいということと、一定の静寂さを保つためで、旧暦5月1日〜3日、旧暦10月1日〜3日が該当します。
500年以上の長い歴史の中で、沖縄の人たちが守り続けてきた斎場御嶽は「霊域」ですので、休息日があることの意味を考えながら節度ある観光を心掛けましょう。
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