カリフォルニアの父が眠るカーメルミッションは庭園に囲まれる美しき教会

カリフォルニアの父が眠るカーメルミッションは庭園に囲まれる美しき教会

更新日:2017/03/23 14:30

Chanos Mayaのプロフィール写真 Chanos Maya トラベルコンサルタント、ワイナリーツアーアドバイザー
カリフォルニア州のサンディエゴから北上しサンフランシスコ近郊のソノマまで続く一本の道。カリフォルニアを南北に縦断するこの道に沿って、スペインからの神父たちは21の伝道教会(ミッション)を建て、そこを拠点にアメリカにキリスト教を布教しました。そんなひとつ「カーメルミッション」はサンフランシスコから200kmほど南へ離れたカーメルにあります。ここはカリフォルニアの歴史を見つめてきた美しい教会です。

海に囲まれる小さな街カーメル・バイ・ザ・シー

海に囲まれる小さな街カーメル・バイ・ザ・シー

写真:Chanos Maya

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カーメル・バイ・ザ・シーはモントレー半島にある小さな街。地元の人は短く省略してカーメルと呼びます。

半島にあるだけに周囲は太平洋に囲まれます。真っ白な砂浜が2kmにわたり続くカーメルビーチや、「17マイルドライブ」と呼ばれるカーメルの隣の街、モントレー方面への荒々しくも絶景が続く沿岸沿いを走るドライブロードの起点でもあり、いたるところを美しい海の景観に囲まれています。またワイン造りに適した気候で、ワイナリーも点在し、ぶどう畑が広がるエリアもありカーメルを訪れるならワインテイスティングもいいものです。

1900年代の初めは芸術家と詩人の集まる街として知られていたカーメル。美しい景観に囲まれるこの場所の一角に「カーメルミッション」はあります。

カリフォルニアの父が眠る伝道教会「カーメルミッション」

カリフォルニアの父が眠る伝道教会「カーメルミッション」

写真:Chanos Maya

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スペインからのカトリック教会が現在のカリフォルニア周辺に布教を始めた18世紀後半、その伝道のための施設の一つだったカーメルミッション。当初はカリフォルニアを支配していたスペインの総督府があったカーメルの隣の街、モントレーに建てられましたが、1771年に現在の場所へ移設されました。アメリカの指定歴史建造物にも指定されている、コロニアルスタイルの美しい教会です。

カーメルミッションをはじめ、サンフランシスコ、サンタクララ、サンルイオビスポといった街にミッションを建てたのがスペインからやってきたジュニペロ・セラ神父。14年間にわたりカリフォルニアでのキリスト教の布教に努めた神父は、1784年にカーメルミッションで亡くなります。現在も神父の骨はこのミッションの祭壇の下で眠っています。

セラ神父はカリフォルニアにキリスト教の信仰をもたらしただけではなく、各ミッションにぶどうの木を植えてワイン造りやそのための牛馬を広めた功績があります。アメリカ、またカトリック教会からカリフォルニアの基礎を作った「カリフォルニアの父」として称えられています。またセラ神父は2015年にローマ法王がアメリカを訪問した際、神と人間と仲介役を果たしたカトリック教会の「聖人」に加えられました。

緑豊かなカーメルミッション

緑豊かなカーメルミッション

写真:Chanos Maya

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カーメルミッションの美しさはコロニアルスタイルのその建物だけではなく、それを囲む庭園にもあります。季節によって変わる美しい景観は地元の人も写真をとりに、絵を描きにやってくるほどで、人気のあるスポットです。

年間を通して日本ほどの気温の変化がないカリフォルニアではありますが、ミッション内はラベンダーからブーゲンビリア、ポインセチアが真っ赤に染まるシーズンまで、どの季節にでかけてもそれぞれに美しい庭園が楽しめます。

カーメルミッションに入場すると隣接する小学校「ジュニペロ・セラスクール」の、ハーブや花が咲く中庭も見学ができます。毎年秋にはこの中庭で「カーメルミッションフィエスタ」が開催されます。セラ神父が生まれたスペインやメキシコの伝統的な歌や踊り、料理などが楽しめるフェスティバルで50年以上の歴史があります。今年の詳細はカーメルミッション、カーメルの観光局のホームページでご確認ください。

カーメルミッションミュージアムも必見

カーメルミッションミュージアムも必見

写真:Chanos Maya

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カーメルミッションには教会の建物を囲むようにして「カーメルミッションミュージアム」もあり、ここではセラ神父や宣教師たちがこの場所で何をし、何を伝えたのかということはもちろんのこと、カーメルミッション、さらにはカーメルの歴史もたどることができます。

コベントミュージアム、ムンラスミュージアム、ダウニーミュージアムとモラギャラリーの4つのエキシビションからなるミッションミュージアム。それぞれセラ神父やスペインからの宣教師たちが過ごした寝室や部屋などを再現した部屋だったり、1800年代からカーメルに住むムンラスファミリーによる工芸品や美術品のコレクション、1900年代に行われたカーメルミッションの修復や保存のプロジェクトの様子を残したものなど多岐にわたります。伝道の時代からメキシコによって支配されていた時代、そして近代のカーメルへ・・・カリフォルニアの変遷に迫るミュージアムです。

21ヵ所あるカリフォルニアミッションの中でもとりわけ長い歴史を持つカーメルミッションだけに、ミュージアムはかなり充実しています。時間をじっくりとってのぞいてみたい場所です。

カリフォルニアの歴史はカーメルミッションとともに

カーメルミッションを日曜日に訪れるとミサが行われており、カリフォルニアの人々にとってはここは観光地ではなく生活の一部であることを実感します。セラ神父の功績は今も称えられ、それはカリフォルニアの父と呼ばれる所以でもあります。

一方でセラ神父が率いた伝道活動が、その前よりカーメルにいたアメリカの原住民族に対しての差別や強制改宗などをもたらす結果にもなったともいわれており、2015年にセラ神父が聖人として加えられた際にはカーメルミッションには厳しい目が当てられました。カーメルミッションから見える歴史は、決して華やかなことばかりではなかったカリフォルニアの複雑な歴史でもあります。

ほぼ毎日ミッションカーメルを深く知る地元の人がボランティアとして訪れる人に施設を案内しています。姿を見かけたら声をかけてみましょう。カーメルミッションの歴史、そしてカリフォルニアの歴史を語ってくれるはずです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/28−2016/01/29 訪問

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