尾道・駅北口から巡る昭和建築再発見の旅!〜空き家再生の魅力

尾道・駅北口から巡る昭和建築再発見の旅!〜空き家再生の魅力

更新日:2016/06/10 09:59

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
尾道には昭和初期に建てられた奢侈な別荘や、おしゃれな洋館風な建物が多くあり、特に駅北側に素敵な建造物が密集しています。ただ、その多くが様々な事情により空き家になっているのが現状。そこで、そんな空き家を蘇らせようと、NPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」が稼働しました。今回は、その再生物件の代表的な建物と、その楽しみ方をご紹介します。

まずは三角屋根の「子づれママの井戸端サロン・北村洋品店」から

まずは三角屋根の「子づれママの井戸端サロン・北村洋品店」から

写真:村井 マヤ

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尾道駅北口から徒歩3分という好立地に、トリコロールの幟のたった三角屋根の建物があります。この三角屋根の建物は、「子づれママの井戸端サロン・北村洋品店」。

レトロなとんがり屋根と、廃材を利用したウロコ壁仕上げのおしゃれな横壁の外観が目立っていますので、きっとすぐわかるはずです。駅北口界隈は、尾道らしい風情を漂わせた尾道好きにはたまらない界隈。

「子づれママの井戸端サロン・北村洋品店」は、1960年代には「北村商店」という洋品店でした。そんな北村商店が移転し空き家になっていたのを、NPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」によって2008年より再生。1年をかけて「子連れママの井戸端サロン・北村洋品店」として再出発しました。現在は、地域コミュニティのサロン、NPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」の事務所でもあり空き家バンクの窓口でもあります。

尾道駅北口、とくに北村洋品店のある東西の通りは、大変賑やかな通りで以前は「子ども銀座」と呼ばれていたそうです。昔ながらの酒屋さんや古いお店も残っていて、懐かしい風情です。

ちなみに「子連れママの井戸端サロン・北村洋品店」の並びには、「栗原温泉」という銭湯もあります。昭和13(1938)年創業の老舗の銭湯です。銭湯ですが、サウナやトレーニング施設まで完備! JR尾道駅より徒歩3分と好立地!サイクリングや観光の後に立ち寄ったら、疲れも取れますよ♪

細い路地を抜けて〜ワクワク感半端ない「三軒家アパートメント」

細い路地を抜けて〜ワクワク感半端ない「三軒家アパートメント」

写真:村井 マヤ

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「三軒家アパートメント」は、「北村洋品店」のウロコ壁の手前の路地を入って行きます。この先に入っていいの?って思ってしまうような民家の軒先のような道。それは、尾道の寺巡りなどをしていますと、何度か出くわすことのある風景。「三軒家アパートメント」に行くまでもそんな感じです。

いいのかな・・って思いながら歩いて行くと、ぱあっと中庭(写真)のあるアパートメントが現れます。「三軒家アパートメント」は、東館と西館から構成されており、7店舗入居(2016年6月現在)しています。西館の201号室はギャラリーとなっており、短期間の展示会などが開催される貸ギャラリーです。1週間5000円からのご利用となっています。

「三軒家アパートメント」は、昭和の古アパート「楽山荘」が、NPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」によって再生された「モノづくり」の発信拠点です。

2008年の北村洋品店の再生作業の際、路地裏にある「楽山荘」こと現在の「三軒家アパートメント」に「尾道空き家再生プロジェクト」の方々が出会いました。「三軒家アパートメント」の再生作業は、2009年から開始され、今でも進化中。これからもっと素敵になる予感・・。

「三軒家アパートメント」の内部は、昔ながらのトイレ共同、お風呂なし、共有廊下など・・・。昔のアパートのお部屋が店舗、工房、ギャラリーだったりと、ワクワク感は全て見て回るまでつきまといます。廊下などに何気なく置いてある古道具まで、なんだかとってもおしゃれな一品に見えちゃいますよ。

玄関をそのまま利用!「56CAFE」の看板もさりげなく

玄関をそのまま利用!「56CAFE」の看板もさりげなく

写真:村井 マヤ

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「三軒家アパートメント」の東館101号室は「古物屋」で、こちらにはNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」が尾道の空き家から見つけたり、発掘した食器やグラスなどの懐かしレトロアイテムがずらりと並びます。「古物屋」では、“空き家再生中手拭い”や“三軒家アパートメントバンダナ”などの販売も。なかなか素敵なデザインですので、お土産に最適ですよ。

東館102号室は「56CAFE」という喫茶店で、週末には美味しいそうなカレーの匂いがふんわりと。火・水・木曜日はお休みですので、それ以外の曜日にお出かけください。
まだまだ開発途中の「三軒家アパートメント」。一度訪れても、次には驚く変化があるかも知れませんね。一度訪ねてみてはいかがでしょうか?

イベントも随時行われています。ぜひ、下記MEMOのfacebookをご覧になってお出かけください。楽しいひと時が待っています。

下から見上げると一層異彩を放つ木造建築!

下から見上げると一層異彩を放つ木造建築!

写真:村井 マヤ

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大正末期から昭和初期にかけて戦前の豊かでハイセンスな時代。尾道でも、他の港町のようにハイカラな洋風建築が流行しました。

尾道駅裏の斜面地には、洋風建築の建物が今も多く残されていますよ。よーく見ると、オシャレな青い屋根の洋館などが目に留まると思います。
今回ご紹介する「尾道ガウディハウス」こと「旧和泉家別邸」もそのひとつです。別邸は坂の上の建てられているので、建物の下あたりにくると右手斜面上に木造のしゃれた2階建てのお屋敷が目に入るはずです。

昭和初期の別荘を利用した「ガウディハウス」

昭和初期の別荘を利用した「ガウディハウス」

写真:村井 マヤ

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細い階段を上って、玄関に辿り着き、玄関前の坂道を上っていかれると全容が把握できます。実は「尾道ガウディハウス」はわずか10坪の狭い建物!その小さな建物に当時流行った技法がちりばめられた洋館付き住宅なのです。大正ロマンの香り豊かな素敵な建物ですよ。

ここは、昭和8(1932)年に箱物製作・販売を手がけていた和泉茂三郎氏の別邸として一人の大工さんが3年かけて建てた建物なのです。親族の方が住んでおられた時期もあったのですが、25年間空き家の状態で解体の危機にありました。

そこで、2007年よりNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」によって「尾道斜面地における空き家再生のシンボル」として、再生しています。再生完了後は和の空間を生かした貸しスペースや短期滞在可能な貸家という活用も考えられているようです。
ガウディハウスという名前は通称ですが、再生途中で名付けられたわけではなく、以前から呼ばれていたそうです。建物の装飾や日本建築には珍しい曲線など、ちょっと変わった外観からの命名。
また現在では、「いつ完成するか分からない」スペインのザグラダファミリア教会のような意味合いも含めての素敵な愛称。

こちらの建物は、外観の見学は自由ですが、近隣の住宅にご迷惑がかからないように静かにご覧くださいね。

尾道で、建物探訪の旅はいかがでしょう?

ちょっとオーバーな表現ですが、日本を再発見するのにふさわしい旅が尾道でできますよ。「尾道ガウディハウス」「三軒家アパートメント」で、昭和初期の建築技術や建物の再発見!
尾道の石畳の坂道や小路を歩きながら、素敵な建物を散策するのも楽しいのです。実際、尾道って魅力的な建物が多く残っている町なのです。どこか懐かしい風景に、思わず故郷に帰ってきたかのような錯覚も・・。そんな一面が尾道にはあるのではないでしょうか。疑似帰郷体験も出来ちゃうかも。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/29 訪問

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