2016年4月の時点で、大狩部駅へ列車に乗って行くことはできません。よって、この駅を訪れるためのアクセス手段は車となります。
駅の所在地は、北海道新冠郡新冠町字大狩部。そのロケーションは、太平洋沿いに続く国道235号線のすぐ側で、海と国道に挟まれるような形で存在しています。
国道の脇から駅へと続く砂利道はあるのですが、鎖によって遮断中。そのため、そこからは駅へ入ることが出来ません。
上記の砂利道の入り口地点から、国道235号線を60〜70メートルほど南東へ進むと、進行方向の左側に道路があります。そこへ進み、さらにすぐ左側へと曲がります。するとその先に、大狩部駅への入り口が、国道235号線の下を潜る形であります。
このアクセスのややこしさ、まさに秘境駅っぽいです。
入り口の右側に立っているのは、日高線の列車代行バスの看板。これを目にすると、この駅に列車が来ないという現実を実感させられます。
国道235号線の下にあるトンネルを潜ると、目に入ってくるのが、ホームの手前に立っているコンクリートブロックで出来た駅舎。三角屋根の部分は木造となっておりながら、コンクリートブロックの壁と反発することなく、駅舎全体で調和が取れております。装飾の類はまったくなく、華やかさとは無縁の、武骨な駅舎です。
コンクリートブロックの壁に窓はなく、駅舎内部に日の光が入るのは、屋根の隙間と入り口のみ。そのため、内部はそれほど明るいとは言えません。しかし、雨風を凌ぐのには充分で、鉄道が正常に運行していた時は、利用者を悪天候から守っていたことでしょう。
ちなみに、駅舎内部の壁を眺めてみると、そこには日高線の列車代行バスに関する案内の張り紙が。ここでも、鉄道が運休しているという事実を目の当たりにさせられます。
さて、この大狩部駅はホーム向いに太平洋が広がっているという、絶好のロケーションです。訪れたなら、その景観を楽しまないという選択肢はないでしょう。
海に面した開放感あふれる場所とあって、秘境駅としては世間に取り残された感がやや控えめ。夜ならともかく、昼間なら寂寥感を味わうといった感じではありません。どちらかというと、明るくすがすがしい気分になる場所です。
太平洋は大狩部駅に対して南側に位置することから、晴れた日には太陽の日差しに照らされ、大変明るい色合いの海面を見せてくれます。よくイメージする深い青色の海とは、また異なった印象を受けること間違いありません。天候に恵まれたら、ぜひ目にしておきたいところ。
ローカル線の駅から海を眺めるというシチュエーションは、実に旅の魅力満点です。ホームでゆったりと流れる時間と相まって、気持ちを落ち着かせてくれます。まるで、心が洗われるようです。
暖かい季節なら過ごしやすいため、試しにぼけ〜っと放心してみてはいかがでしょうか。
ローカル線の駅らしく、プラットホームの足場は舗装されていません。砂利が敷き詰められており、歩くたびに「じゃりっじゃりっ」という音を辺りに響かせます。この音が、なんとも情緒を感じさせてくれます。
そんなホームですが、砂利が敷き詰められたのは割と最近のこと。2016年4月の時点だと、ホームが砂利になってからまだ2年も経っていません。
ちなみに以前は、ドラマ『女囚〜塀の中の女たち』のロケの現場として使われたことを示す看板が、駅名標の隣に立っていました。現在だと、その看板は撤去されております。
鵡川駅〜様似駅の運行が再開するのは、まだかなり先の話。それこそ、数年単位で待つ必要があります。復旧費用は億単位と巨額であるため、列車が目の前の鉄路を走る未来は、容易に実現するものではありません。一歩間違えば、廃線の憂き目にあうことも。
そんな困難を前にしながらも、大狩部駅から伸びていく鉄路は、列車が走る日を心待ちにしているような佇まいを見せてくれます。
駅への入り口がわかりづらいものの、コンクリートブロックの駅舎の向こうに太平洋が広がる大狩部駅。その景観は秘境駅でありながらも開放感にあふれています。晴天の日に訪れたなら、明るい気分にさせてくれるでしょう。
列車は運行されていないものの、魅力あふれる駅ですから、ぜひとも車を使って訪れてみてください。
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(2024/12/14更新)
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