一般的な「動物園」は、檻の中の動物を人間が外から見るというスタイルが基本です。しかし静岡県の南伊豆にある猿の楽園「波勝崎苑 猿園」(はがちざき)は、人間が用意した「ZOO」ではなく野生の猿の生息地。東日本最大ともされるその野猿の数は現在300匹!猿を見に行くというよりは、お猿さんのお家におじゃまさせていただく感覚の野猿の園です。自然の中に生きる、より素に近いお猿さんたちに出逢うことができますよ。
写真:藤 ともみ
地図を見る「波勝崎苑 猿園」は、賀茂郡の素晴らしい自然をより多くの人に知ってもらいたいという元県会議員の沢村久右衛門氏の願いの元に、波勝崎の野猿に関心をもっていた肥田与平氏が餌付けをはじめたという背景があります。
昭和28年の餌付け着手より4年がかりで野猿と人間の距離を縮めていき、昭和32年に開苑。野猿の群れが「波勝崎苑」の周辺を生活の拠点とするようになったのは、試行錯誤を繰り返しながら真剣に向かい続けた肥田氏の努力のたまもであるとも言われています。
今でこそ、当たり前のように人間の手から餌をもらう波勝崎の猿たちですが、開苑前は人間に対して警戒の念を抱く姿しかみられませんでした。猿と人間それぞれの社会を結ぶかけ橋のような存在ともなった「波勝崎苑 猿園」を訪問する際には、肥田氏や沢村氏を筆頭とする多くの人の努力があったことを頭に置いていくと、より感慨深い時間になるはずです。
写真:藤 ともみ
地図を見る野猿がたくさんいるのは敷地内の海に近い場所で、駐車場から無料のマイクロバスが往復しています。入園希望者は駐車場付近にある建物で入場チケットを購入しバスに乗ると、坂を下るようにして猿のたくさんいる海側まで連れて行ってくれます。
バスを降りると売店があるので、ひとまず建物の中に。店内には歴代のボス猿が写真付で紹介されており、平成28年現在のボス猿は、第16代目の「鶴吉」です。ここでしっかりと写真の顔を覚えて、園内で見つけてみるのもおすすめですよ。
なお、売店内には猿にあげる用のみかんやさつまいもなどの餌が売られています(参考価格:「みかん・さつまいも」各350円)。季節によって置かれている餌が異なることもあるようですが、さつまいもがあったら幼児や小さい子どもにおすすめ。スティック状になっているので手渡しやすく手も汚れにくいですよ。
写真:藤 ともみ
地図を見る売店の外壁側にはガードフェンスが設けられていて、たくさんの猿たちが餌を求めてへばりついてきます。買った餌は、このフェンス越しに猿たちにあげることができるので、手渡しであげてみてくださいね。手を上手に使ってサツマイモをひょいっと取って口に運ぶ姿がとても可愛いですよ。
フェンスがあるので小さい子どもでも安心して大接近でき、母猿に抱っこされたまま移動する小猿の愛らしい姿もアップで観察することができます。人間が差し出した餌を俊敏な動きとパワーで次々ゲットしていく独り占めタイプの猿がいたり、せっかく手にした餌を毎回横から奪われてしまう弱い猿がいるなど、猿の力関係も見所のひとつ。
でも、猿の世界は年功序列の縦社会で下剋上はないと聞きます。大きい猿から小さい猿に先に餌をあげてしまうと喧嘩になるとのことですよ。なお、自由に動き回っているのが猿で、檻の中にいるのが人間の群れという光景は、外から見るとちょっぴり不思議です(笑)。
写真:藤 ともみ
地図を見る建物(売店)の外にも出る事は可能で、たくさんの猿がいる中に立つ経験はなかなかできないので貴重です!外には猿用の遊具もあり、タイミングがよければブランコで楽しむ猿の姿もみることができます。
「あたりを見回しても猿だらけ!」の状態の時があるので、たくさんいる時には蹴り飛ばしてしまわないよう、気をつけて歩いてあげてくださいね。
なお、外では絶対に食べ物をあげてはならないのが注意事項としてあげられているので、ポケットに餌を入れたまま出るのも好ましくありません。猿はひったくりの名人なので、バッグや携帯ポシェット、帽子など、身の回りのものはしっかりと管理することも意識しましょう。
園内には猿のうんちがいたるところに落ちているので、踏まないように気を付けてください。万一踏んでしまった時に備えてウェットティッシュや替えの靴などを持参しておくと便利ですよ。
野生的なスタイルはそのままに、拠点だけを人間がちょっぴり誘導して成る「波勝崎苑 猿園」。動物園内に作られた限られたスペースで生活する猿とはまた違うので、山の中に走り消えゆく姿や、時には一般道路にひょっこり出てくるシーンもあります。
猿は干支のひとつでもある動物(申)なので、縁起ものという感覚で、可愛い猿たちにパワーをもらいに行くのも良いですね。
最後に、「波勝崎苑 猿園」には猿園の一部である海水浴場もあり、とても透明度が高く紺碧の海が堪能できるとダイバーの間でも人気のスポット。夏に訪れるなら、バーベキューや海岸散策、シュノーケリングなども一緒に楽しんでみてはいかがでしょう。
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