写真:Naoyuki 金井
地図を見る古民家と云っても農家ではなく、所謂店舗を併設した民家の一種である町家です。
大正5年に造られた、江戸時代からの町家の特徴である軒を深く前面に張り出した「出桁造」の古民家で、何と100年の歴史を誇っているのです。
昭和13年にこの建物で榧場伊之助氏が『カヤバ珈琲』を創業し、奥様と娘さんに店を任せたのです。以来、谷中のシンボルとして親しまれましたが、平成18年に奥様が亡くなられて閉店となったのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るカヤバ珈琲の閉店を惜しんだ人達の想いが実を結びました。
NPO法人たいとう歴史年研究所とSCAI THE BATHHOUSEが協力して建物を借り受け、改修の上平成21年9月に復活したのです。
改修にあたっては建築家の永山裕子氏が設計し、大正時代の町家の外観と昭和喫茶の看板や椅子、食器などが残されたのです。
大正・昭和の佇まいのなかに、平成のデザインが見事に融合された店舗です。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る歴史的なのは建物だけではありません。
メニューもまた歴史的で、人気ナンバー1なのが創業以来の往年のレシピを再現した『たまごサンド』です。
一般的な“ゆで卵”をマッシュしてマヨネーズで和えた“たまごサンド”と違い、こちらは玉子焼きをサンドした関東では珍しいもの。
ふんわりしたパンに、フワフワの温かい玉子焼きが絶品の食感で、塩だけのシンプルな味付けが奥深い味わいを醸し出します。
奇をてらっただけでない『たまごサンド』は、本格的に美味しいサンドイッチなのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るドリンクだって侮ってはいけません。
その一つが創業時からのオリジナルメニューである『ルシアン』。ココアと珈琲を半分ずつで割った温かい飲み物で榧場氏オリジナルのドリンクです。
一般的に“ルシアン”と云えばジン+ウォッカ+チョコレートリキュールのカクテルのことで、ウォッカベースの珈琲風味のブラック・ルシアンに生クリームを乗せたホワイト・ルシアンからアルコールを抜いたものなのです。
昭和初期のモダンなドリンクが平成の時代に蘇りました。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るメニューにはこれ以外にも、この店らしい個性が光っています。
かつて谷中の特産だった若い生姜である“谷中生姜”を使用したドリンク《谷中ジンジャー》や《柚子ジンジャーくず湯》。
また、《あんみつ》や《みつ豆》は、谷中のよみせ通り沿いにあるこんにゃく専門店「山陽食品」の手作り寒天を使うなど、こだわりの逸品を揃えています。
「出来るだけ昔のまま、引き継いでくれる方に」という前オーナーの気持ちに応えながら、新しい世界を醸し出しているのです。
古くて新鮮なカフェ『カヤバ珈琲』はいかがでしたか。
朝から常連の年配の方が訪れたり、昼にはサラリーマンやOL、午後からは観光客や赤ちゃんずれのママ、そして夜は大人の時間でアルコールといった具合で来店客も千差万別。
落ち着く佇まいながら、ワクワクするような期待感が溢れる古民家喫茶なのです。
是非、一度下町の人気カフェを訪れて、町家の佇まいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたナビゲーター
Naoyuki 金井
首都圏の神社を中心に小さな歴史絵巻を集めているジンジャーハンター。パワースポットのみならずサブカルやグルメなど、ニッチでギークな旅を紹介しています。皆様の旅にレアな彩を添えられれば、この上ない喜びです…
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