写真:肥後 球磨門
地図を見るアイヌ民族博物館「しらおいポロトコタン」はJR北海道「白老駅」から徒歩13分の場所にあります。アイヌ語で「大きな湖の集落」を意味する「ポロトコタン」は身長16mの村長(むらおさ)「コタンコロクル」が出迎えてくれ、チセと呼ばれるアイヌの住居や、プ(食料庫)、ヘペレセッ(子グマの飼養檻)、チプ(丸木舟)などを復元展示している野外博物館です。
ポロトコタンの中核でアイヌ文化に関する豊富な資料が常設展示されている屋内博物館では、アイヌ民族の暮らしや伝統が紹介され、アイヌの人たちが自然と共生していたことを知ることができます。特に「神々とひとびと」のエリアでは、動植物はもとより、火や風などの自然にもカムイ(神)が宿ると考え感謝してきたアイヌ文化に触れることができ、現在の生活の中で忘れかけている自然とのかかわりについて、あらためて考えさせられます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る湖岸には、かつてアイヌの住居であったチセと呼ばれる茅葺きの家が建ち、かつての集落の様子を伝えています。手前からサウンチセ(手前の家)、オトゥタヌチセ(次の家)、ポロチセ(大きな家)、マクンチセ(奥の家)、ポンチセ(小さい家)の5棟があり、住居内ではアイヌの生活様式をうかがうことができます。
チセではアイヌ民族の生活がそのまま再現されていて、一番奥の「小さな家」では、はた織りやござ編みなど、伝統工芸の実演や展示が行われています。またコタンクロクル(村長)の住まいである「大きな家」ではアイヌの民俗衣装の貸出もあるので、民俗衣装を身に付け、記念写真を撮ってみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る「手前の家」では、昔のアイヌの人々の生活や、風習、行事などについて語り部から話を聞くことができます。話の後には、イオマンテリムセ(熊送りの踊り)などの古式舞踊や、アイヌの伝統楽器ムックリ(口琴)やトンコリ(五弦琴)の演奏や歌が披露されます。美しいアイヌ民族衣装をまとって踊る古式舞踊は、国の重要無形民俗文化財に指定されていて、歌に合わせて男女が輪になって祈りを捧げるように踊ったり、時には男性が強く剣を打ち鳴らして生命力を表すような激しい踊りには鳥肌が立つほど感動します。
公演は1時間に1回行われ、語り部の話を含め25分程度なので、展示物の見学とは別に時間をとって「手前の家」に立ち寄ることをおススメします。
写真:肥後 球磨門
地図を見る躍動感あふれる古式舞踊とは対照的に、静寂の中で流れる、「トゥルルル〜」と舌を巻くような独特の歌い方をするアイヌの子守唄や、ムックリやトンコリの演奏は癒しと感動の空間を与えてくれます。特にアイヌを代表するムックリは、竹細工に細い糸をつけただけの小さな楽器ですが、室内に「ビュ〜ン、ビョ〜ン」と大きく響き渡る音には心を奪われてしまいます。ムックリの奏でる音は、風の音や木々のざわめきなどの自然の息遣いに聞こえ、心身が自然界と一体となっていくように感じ、不思議な世界にグイグイ引き込まれていきます。
アイヌ民族は、生きていくために自然から授かる全てのものにカムイが宿るとし、動植物や自然現象に対して感謝するための祭祀を行ってきました。全てのものを大切にし、感謝するアイヌ文化は、現代人が忘れかけている人間と自然の共生についてあらためて考えさせられるものがあります。
「しらおいポロトコタン」は文化伝承や保存事業も行っていて、ムックリ製作、アイヌ文様刺繍や彫刻、伝統料理試食などアイヌ文化に実際に触れることができる体験学習も行われているので参加してみてはいかがでしょうか。
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(2024/3/29更新)
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