壮大な旅の最終章!知床「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」

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壮大な旅の最終章!知床「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」

壮大な旅の最終章!知床「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」

更新日:2016/06/27 17:07

KONDO EIJIのプロフィール写真 KONDO EIJI 車中泊旅ブロガー、滋賀県郷土史研究家

希少な動植物や、原生のままの美しい自然などと出合える機会を与えてくれる希有な存在である、北海道の知床。その知床連山を源とし、半島北岸のオホーツク海に注ぐ遠音別川の河口にある「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」では、感動の大自然の営みに出合うことができます。

毎年帰ってくる多くのサケやマス。川面が黒く見えるほどのその光景は、まさに圧巻!命を懸けた最後の大仕事に、死力を尽くして挑む姿には、只々感動!

世界自然遺産登録地ではなくても、感動の大自然

世界自然遺産登録地ではなくても、感動の大自然

写真:KONDO EIJI

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知床といえば世界自然遺産ですね。世界的に見ても貴重な、手つかずの自然が残されており、その自然を一目見ようと、国内のみならず海外からも訪れる人は少なくありません。

その知床、世界自然遺産登録地であるといっても、知床半島全体が世界遺産に登録されているわけではありません。登録されているのは、「遠音別(オンネベツ)岳」あたりより先端部までの部分で、半島の中央付近から半島の先までの範囲ということになります。それでは世界遺産登録地以外はどうなのかというと、ここにも大変貴重な自然が保護され、残されています。

今回ご紹介する「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」は、じつは登録地域外。しかし、そこで見せてくれる自然の営みは、大きな感動を与えてくれます。生きるってなに?生命ってなに?自然って?じゃあ人間は?など思わず考えてしまうほどの大自然の感動の営み。こんなシーンには、めったに出合えるものではありません。それが間近に見ることができるのが、知床は遠音別(オンネベツ)川河口にある「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」なのです。

遠音別川サケ・マス遡上観覧施設

遠音別川サケ・マス遡上観覧施設

写真:KONDO EIJI

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「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」は、国道334号線沿いの、遠音別川の河口を少し入った所にあります。施設といっても観覧用の建物があるわけではなく、観覧しやすいように柵などが設けられるなど少し整備されているだけ。より自然に近いままにある施設なのです。

以前は川の傍まで下りられるように整備されていたのですが、近年の崖崩れで流されてしまい、現在は道の上からのみ遡上の様子を見ることができます。それでも川面との距離は近く、間近で見る迫力を十分に感じることができますので、ご安心を!

駐車場は国道沿いに細長く、2列縦列で20台ほどが停められそうなスペースと、川沿いに入っていった奥の未舗装の空き地が利用できます。ただ、シーズンになると早朝から釣り客の車で国道沿いの駐車場が埋められてしまうことも少なくありませんので、その時は奥に停めてください。なお、ここにはトイレ・手洗いなどの施設はありません。ご注意ください。

サケ・マスの遡上

サケ・マスの遡上

写真:KONDO EIJI

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遡上は8月くらいから始まります。まず、カラフトマスから始まり、やがてサケの遡上も始まって、それは10月の終わりから11月の初めまで続きます。

写真に写っている3尾のうち、魚体が黒くお腹が白いのがカラフトマスで、背中がいかつく高くなっている方が雄です。背中が白くなっているのは模様ではなく、死力を尽くしての産卵行動で、傷つきボロボロになってしまっているからです。写真(2014年9月末撮影)はサケ、マス両方が入り混じっていますが、遡上が始まる8月は、カラフトマスだけで川が黒い魚体でいっぱいになるといいます。すごいですね!

通常は河口から遡った上流で産卵は行われます。よく見られる、川の堰を飛び越えようと必死でジャンプをする光景は、産卵場所を求めて遡上するサケ・マスの姿なんですね。

でも遠音別川では、地形上すぐに上流になってしまうので河口付近で産卵が見られます。国道に架かる橋の上から、サケやマスの産卵を見ることができるなど、外部から来た人たちにとっては、本当に信じられない光景です。大切に保護されているからこそ、なのでしょう。

壮大な旅

壮大な旅

写真:KONDO EIJI

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サケとカラフトマスとでは一生の過ごし方が違っています。サケの場合、川で産卵された卵は2ヶ月ほどで孵化し、さらに2ヶ月ほどして稚魚となって、やがて海へと出てゆきます。しばらくは沿岸部ですごし、成長するのを待った後に彼らの壮大な旅が始まります。

まず1年目の夏から秋の終わりにかけてオホーツク海ですごし、水温の低下とともに北太平洋に移動。そこで冬を越します。さらにそこからは東に移動して夏までにベーリング海へ向かい、3年魚以上のサケと合流。この後は夏はベーリング海周辺、秋はアラスカ湾付近の北太平洋に南下して冬をすごすという生活を繰り返します。そして3〜5年ののちにベーリング海から再び故郷の川へと戻ってくるのです。

一度世界地図と照らし合わせてみてください。あの小さな体で、このような壮大な旅をしていることに驚かされます。しかも生まれ故郷の川に帰ってくる。それだけでも、もう感動ですね。

一方、カラフトマスの場合、卵は積算水温が400〜500℃になると孵化し、稚魚になると海に出て、やはり同じように沿岸部で生活をし、成長とともに沖へと出ていきます。そして海で大きく成長して1年を過ごして川へと戻ってきます。この時、生まれた川に戻るという習性は、サケほど強くないそうです。

カラフトマスはサケと違って、2年で川に戻ってくるんですね

旅の最終章

旅の最終章

写真:KONDO EIJI

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産卵はサケ・マスの壮大な旅の最終章です。

河口についた彼らは、まずは河口付近で数日すごし、真水に体を慣らします。そして産卵場所を求めて上流へと向かうわけですが、ここ遠音別川では河口と産卵場所の距離が短いので、河口すぐの所で産卵をする光景を見ることができます。

オスは1匹のメスをめぐって命をかけて戦います。より強い遺伝子を残そうとしているのでしょう。この光景も、よく見ることができました。そしてカップルが成立すると、産卵行動に入ります。その間もオスはメスの傍を片時も離れず、他のオスが来たらまた命がけで戦います。そしてメスが産卵の後にオスは放精、産卵行動は終わります。

オス、メスともに体はもうボロボロ、役目を終えるとすべての力が尽きたかのように彼らの命は消えてゆきます。そして、彼らの壮大な旅も、その死とともに終わりを告げるのです。河口付近では、写真のような亡骸をいくつも見かけました。彼らのこういった死は、新たな命の始まりであり、種の保存を命がけでおこなった結果でもあります。

いったいどれくらいの数のサケ・マスが遡上するのかは定かではありませんが、これら遡上するサケ・マスは亡骸も含めて、他の生物、微生物から大型生物まで全てを潤す役目も担っています。自然の中の貴重な連鎖となっているのです。

おわりに

「遠音別川サケ・マス遡上観覧施設」いかがでしたでしょうか?

こういった自然の貴重なシーンを、目の当たりにすることはなかなかありません。それだけにこうして間近に見ることができるのは大変貴重で、そして感動的でもあります。期間は限られているのですが、知床世界遺産の旅の際には、お立ち寄りになっていただければと思います。自然の好きな方には特にオススメの場所です。この感動をぜひ味わってみてください。遡上の情報は、道の駅「ウトロ・しりえとく」(斜里郡斜里町ウトロ西186番地8)でも見ることができます。

なお、この周辺でのサケ・マスの釣りなどの採捕行為ですが、河川内は年間を通じて一切禁止。また河口から沿岸、沖合500mについては、5月1日〜8月31日までが禁止となっています。合わせてご注意ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/30 訪問

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