写真:吉川 なお
地図を見る野柳地質公園は全長1,700メートル、幅は一番広い所でも300メートルしかなく、遠くから望むと海中に亀が潜っているような形をしているため、「野柳亀」とも呼ばれています。
地層には石灰質の砂岩が含まれ、1000万年におよぶ地殻運動や海水による侵食、岩石の風化などによって、さまざまな形をした奇岩が形成されました。海岸線に沿って屹立する奇岩の群れは、SF映画のロケ地になりそうな景観で、異星を探検しているような気分にもなります。
入口ゲートから遊歩道をしばらく歩くと、徐々に不思議な形をした岩が見えてきます。特徴のある岩には、いかにもという名前がつけられているので、それらを見つける楽しみもあります。
園内は大きく3つのエリアに分かれています。第1区はマッシュルームのようなキノコ岩と生姜のような岩が集中するエリアです。
北東から吹く季節風によって引き起こされた強い波は、岩層の割れ目をえぐり、砂岩の硬い部分を露出させます。その部分が風雨や波などにさらされてキノコのような形状になったもので、野柳ではこれが一番多く見られます。
キノコ岩の頭の部分に無数の穴があいているのは【蜂の巣岩】で、風化してもろくなった部分にへこみができ、生物の層が溶蝕したり砂風などでさらに削られて穴があいたものです。
生姜のような岩は、地層の圧力で出現したひびのような柱状節理で、形といい、表面の線といい、まさに生姜そのもの。
キャンドルのような【燭台岩】もなるほどというネーミングで、人間が作ったみたいによくできています。ソフトクリームに似た岩もあり、地面を見ると貝や節足動物の化石も。自然がなせる技にただただ驚嘆してしまいます。
写真:吉川 なお
地図を見る写真:吉川 なお
地図を見る第2区は見どころが集中するエリアです。野柳といえばコレ!【クィーンズヘッド(女王頭)】です。
御年、なんと4000歳!!本当に自然の産物?と疑いたくなるような完璧な出来で、その名の通り、クレオパトラの横顔のような美しい形をしています。しかし、浸食によりあと20年で首の部分が折れてしまうのではといわれています。失われる前に、是非とも見ておきたいですね。混雑していますが、並んでツーショット写真を撮ることもできます。
そうそう、クイーンズヘッドは園内にもう1カ所あります。入場ゲートから岬に向かう途中の公園の中に【女王の頭2】があります。美しさでは負けていますが、こちらは並ぶことなく記念撮影ができますよ。
写真:吉川 なお
地図を見る第2区にはまだまだ見逃せないものばかり。海べりにある【仙天鞋】はまさに女性のサンダル!奇跡のような天然の作品です。
褐色模様の【風化紋】は自然が織りなすアートで、風化してあいた穴に石が入り、海水の流動でこすれて深くなった【海蝕壺穴】も点在しています。
一見するとカバのように見える【象岩】、豆腐が浮いているような【棋盤石】など、まるで石彫芸術の展覧会場に来たかのようで、いろいろ見ていると楽しくなってきます。これらも海水に侵食されて海岸に出現しました。
第3区は海蝕台エリアです。絶壁の山と海岸に挟まれたこのエリアには、波浪による侵食でできた【海蝕洞】という洞窟がいくつもできています。同じエリアにある【地球儀岩】にもご注目!見事な球体をしています。第3区は野柳地質公園の中でも、重要な生態保護地域ともなっています。
夕暮れ時になると、太陽はゆっくり海に沈んでいきます。奇岩群をバックに刻一刻と夕闇に染まっていく光景は実に美しく、波と風が作り出した絶景をより印象的なものにしてくれます。
写真:吉川 なお
地図を見る奇岩を堪能し夕日を鑑賞したら、そろそろお腹もすいてくる時間。台鉄基隆駅または基隆のバス停から徒歩約10分のところにある『基隆廟口夜市』で夕食を召し上がってはいかがでしょうか。
メインストリートの仁三路にある「奠濟宮」という廟の周りにできた市場から発した歴史ある夜市で、北部最大の基隆港から新鮮な魚介が手に入ることから、台湾一の美食夜市と言われています。毎日夕方5時頃からにぎわい始め、中には24時間営業の屋台もあり、まるで不夜城のようです。
名物は薩摩揚げのような「天婦羅」、カニのあんかけスープ「螃蟹羹」、揚げパンサンド「營養三明治」などで、「泡泡冰」というシャーベットアイスはお口直しに最適です。
仁三路と交わる愛四路沿いにも屋台が並んでいるので 、一通り歩けばもうお腹はいっぱい。ローカル感にも浸れます。
野柳地質公園へのアクセスは3通り。台北西站A棟ターミナルからは国光客運バス「1815」で金山青年活動センター行きに乗り約1時間20分、台鉄基隆駅前から基隆客運バス「790」で金山行きに乗り約40分、MRT淡水駅前から淡水客運バス「862」 で基隆行きに乗り約1時間30分。いずれも野柳で下車後、徒歩約10分です。
野柳で自然のパワーを感じ、廟口夜市で台湾グルメに舌鼓。野柳と基隆のミニトリップは1日で2度おいしいお薦めコースです。
こうしている間にも、風化は日々進んでいます。台湾でクレオパトラがあなたを待っていますよ。
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この記事を書いたナビゲーター
吉川 なお
台湾の台北市に住む専業主婦の吉川なおです。台湾生活はもう8年ですが、常に新しい発見のあるこの国が大好きです。在住者だからこそ知っている生情報やお薦めのレストランなど、台湾の旅がより思い出深いものになる…
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