最後の青函連絡船「函館市青函連絡船記念館摩周丸」〜歴史と旅情にふれる〜

最後の青函連絡船「函館市青函連絡船記念館摩周丸」〜歴史と旅情にふれる〜

更新日:2016/04/12 12:40

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門 一人旅ブロガー
函館と青森をつなぐ青函トンネルの開通によってその役目を終えた「青函連絡船」は、本州と北海道を結ぶ大動脈として80年間に渡り多くの旅客や貨物を運びました。
その青函連絡船の最後となる日まで運航し、函館港に係留保存され産業遺産として公開されている「函館市青函連絡船記念館摩周丸」を紹介します。

出港の紙テープが今にも飛んできそうな当時の面影を残す船体

出港の紙テープが今にも飛んできそうな当時の面影を残す船体

写真:肥後 球磨門

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「函館市青函連絡船記念館摩周丸」は、函館駅から徒歩数分のところにある函館朝市を抜けた、200mほど先の岸壁に係留されています。1965年から23年間に渡り、青函連絡船として実際に使用されていた全長132mの摩周丸は、鉄道貨車を積んで運航していただけのことはあり、近くで見るとその大きさに圧倒されます。船を見上げると、青函連絡船として役目を終える最後の出港の日、多くの乗客がデッキから別れの紙テープを投じていた風景が目に浮かんできます。

船内は体験型資料館となっているとともに、船の仕組みや青函連絡船について紹介する資料やゆかりの品々が展示されていて、青函連絡船の歴史を知ることが出来ます。

「はこだてロマンティック・ビュー」を望むコンパス甲板

「はこだてロマンティック・ビュー」を望むコンパス甲板

写真:肥後 球磨門

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摩周丸の一番高いところにある「コンパス甲板」は、海面からおよそ15mの位置にあり、ここに立つと大海原を航海しているように感じます。
360度に広がる視界からは、目の前の函館山や函館山の麓から函館湾に向かってまっすぐに伸びる八幡(はちまん)坂、遠くは道南の秀峰といわれる駒ヶ岳も望むことが出来ます。
晴れた日の青空はもちろんですが、空と海がオレンジ色に染まる夕景や辺りが暗くなり街の灯りがともる夜景も楽しむことができます。ここからの景色は、音楽評論家の湯川れい子さんによって「はこだてロマンティック・ビュー」と命名され、その名の通りの素晴らしい景観を満喫できます。摩周丸を訪れたら是非「コンパス甲板」まで上っていくことをおススメします。

船旅気分を味わえる資料館

船旅気分を味わえる資料館

写真:肥後 球磨門

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写真は甲板に展示されている直径3.23mのスクリュープロペラで、実際に摩周丸に取り付けられていたものです。船体の大きさに比べたら小さく感じますが、2基取り付けられたこのスクリュープロペラが、大きな船体を前後左右に動かしていたとは驚きです。甲板には、カプセルの中にゴムボートが収納された救命いかだや、救命艇も当時のまま設置されていて、実際の船に装備されている設備を間近に見ることができます。

室内では当時の座席も残されていて、特にグリーン座席は65度もリクライニングするゆったりした座り心地で当時の優雅な船旅の気分を味わうことができます。また、かつて船員の居室だった場所がサロンになっていて喫茶カウンターでは飲み物等が注文できます。サロンのみの利用は無料なので船内見学の途中に立ち寄り、函館山や旧市街を大きな窓から眺めながら休憩するのもおススメです。

船長の気分になれる操舵室

船長の気分になれる操舵室

写真:肥後 球磨門

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船橋(せんきょう)では操舵室や無線通信室が運航当時そのままの状態で残っていて、実際に触ることが出来ます。蛇を切る蛇輪を動かしたり、エンジンに推力を伝えるレバーを動かしたり、さらに汽笛を鳴らすボタンもあります。ボタンを押すと、「ボーーーボーーー」と函館の街に響き渡る重厚な汽笛を聴くことができます。なんといってものこの場所に立って味わえる最高のものは、船長の気分になれることです。船長になって「おもかじいっぱい」と躁舵手に指示している姿を想像すると、ワクワクして楽しくなります。

まとめ

いかがでしたか、連絡船として運航していた船体がそのままミュージアムとなった「函館市青函連絡船記念館摩周丸」。船内では数種の体験学習が行なわれています。船員の必須技術であるロープワーク(ロープの結び方)の無料体験は、新聞を束ねるときなど家庭でも役立つひもの結び方を教えてくれます。事前に予約が必要ですが、元乗組員(船長、機関長、航海士、機関士)による青函連絡船のしくみや歴史等を解説してもらえる無料ガイドがあり、元乗組員の体験談も聞くことが出来るのでおススメです。

函館朝市の近くにある「函館市青函連絡船記念館摩周丸」、おなかを満たした後に訪問してみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/07 訪問

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