写真:Hiroko Oji
地図を見るスイス東北部に位置する高級リゾート地として人気の高いサンモリッツ(St.Moritz)の町には、アルプス画家として名を知られるセガンティーニ美術館があります。エンガディンをこよなく愛し、エンガディンの風景を描き続け、この地でその早い生涯を閉じた彼の作品を集めた美術館。湖を見下ろす町外れの木々に囲まれた高台に建つ、石積みの可愛らしい外観の建物の中には、その代表作「生」「自然」「死」という3部作が堂々と展示されています。彼がその生涯を閉じた山小屋「セガンティーニ・ヒュッテ(Segantini Hutte)」はサンモリッツから日帰りで訪れることができますので、行ってみましょう。
サンモリッツの町からバスに乗って、10分足らずの所にあるプント・ムラーユ(Punt Muragl)で下車しますと、バス停前にあるのが、シュタインボックの壁絵があるケーブルカーの駅舎。ここから出る真っ赤なケーブルカーに乗ると、一気に高度を上げて、ムオタス・ムラーユ(Muottas Muragl)の展望台へと運び上げてくれます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る展望台には山岳ホテルとレストラン、広いテラスがあり、サンモリッツの町とサンモリッツ湖をはじめ、奥に続く4つの湖、ベルニナ・アルプスの山々、3方向に延びる谷などの眺めが一望のもと!イタリア生まれのアルプス画家・セガンティーニが愛した風景がここに広がっているのです。この展望台を起点として、ハイキングコースがいくつか延びていますので、セガンティーニ・ヒュッテを示す方向へ歩き始めましょう。
歩き始めは緩い下り坂で、お花畑と牧草地が広がり、そばにはたくさんの牛たちの姿を眺めながらの歩きやすいものです。谷底の分岐点までやってきてアルプ・ランカルト(Alp Languard)方向へと進むと、次第に上りの高度がきつくなり、ガレ場ばかりの登りに入ります。谷を挟んで先ほどの展望台を眺めながら登って行きますと、やがてその展望台の姿も隠れてしまいます。何度も方向をクネクネと変えながらロゼックの谷が見渡せる地点まで登ると、上に赤い小さな建物がぽつんと見えてきます。その赤い建物がトイレで、さらに上にあるのが目指してきたセガンティーニ・ヒュッテです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る標高2731メートルのシャーフベルク山にあるセガンティーニ・ヒュッテは、画家のセガンティーニ終焉の地。1899年9月28日、たびたび訪れてはアルプスを描いていた彼が、急性腹膜炎で亡くなった場所で、外壁には亡くなった日が刻み込まれた石板も埋め込まれています。
石造りの小屋は現在レストランとして利用されており、屋内にはセガンティーニの在りし日の写真が数枚飾られています。ここで頂くスープは格別の味で登山客を喜ばせてくれます。窓辺にはエーデルワイスや青や紫に黄色のお花などが飾られ、窓の外に置かれた年季の入った木製ベンチに座って寛ぐことができます。小屋周辺の岩の間にもテーブルと椅子が設置されており、絶景を眺めながらの食事は最高のひとときになることでしょう。
写真:Hiroko Oji
地図を見る小屋背後の斜面は緑とデコボコの岩に覆われ、ここからの眺めは何物にも遮られない最高の贅沢なものです。
右奥に見えるのは、標高3057メートルのピッツ・ネイルの麓に広がる谷底のシルヴァプラナからマローヤ峠へ続く4つの湖。目の前には、奥深く切り込むロゼック谷に続いてピッツ・ベルニナ(標高4049メートル)やピッツ・ロゼック(標高3937メートル)、手前にはピッツ・モルテラッチュ(標高3751メートル)、ピッツ・チェルヴァ(標高3546メートル)など素晴らしい山々が、ロゼック氷河やモルテラッチュ氷河と共に一望できます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るセガンティーニ・ヒュッテからの眺めを堪能したら、あとはアルプ・ランカルトに向けて下るのみです。と言っても、かなりの険しいガレ場もあり、急な狭い所には鎖も取り付けられていますので、しっかり安全を確保しながら下って行きましょう。滑らないように足元を確認しながら進むことが大切なのですが、足元ばかりに気をとられていてはとっても勿体ない風景が広がっています。一休みしながら途中の風景も楽しんでくださいね。
到着するアルプ・ランカルトには、広い牧草地に囲まれたチェアリフトの山上駅があります。隣接してお花で溢れるレストランの建物があり、板敷のテラス席からの眺めは最高!ピッツ・ネイルの麓のサンモリッツの町並みに、手前にはポントレジーナの町並みまで見渡せ、爽快感に浸れます。
一休みしたらポントレジーナの町へ通じるチェアリフトに乗ってもよいし、まだまだ歩きたければ麓まで歩いて下りることもできます。ポントレジーナの町は、お花やスグラフィッティと言われる壁絵などが美しい町並みが続きますので、散策も楽しんでくださいね。
ご紹介したコースは、プント・ムラーユからポントレジーナへのコースですが、もちろん逆のコースでも楽しむことができます。しかしこの場合、アルプランカルトからセガンティーニ・ヒュッテへの登りは、ムオタス・ムラーユの展望台から山小屋へ上るよりも距離が長く、傾斜も急となります。健脚の方なら大丈夫だと思いますが、ご自身の脚力に合わせて選んでくださいね。
また、山小屋のある山上コースの下にある山腹のコースを選ぶと、小屋には行きませんが、同じような眺めを目にしながら、平坦なハイキングを楽しむことができます。いずれにしても、ベルニナ・アルプスやいくつかの谷・町並みを丸ごと見渡しながら歩くことができますので、たっぷり楽しんでくださいね。また歩くのはちょっと・・・とおっしゃる方には、ケーブルカーやチェアリフトで山上駅まで行って風景を眺めるだけでも、きっと満足していただけると思います。
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(2025/1/16更新)
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