写真:泉 よしか
地図を見るカランコロンと下駄の音が鳴り響く石畳。浴衣姿の似合うここは長野県北部に位置する渋温泉です。近隣の湯田中温泉や野生の猿が露天風呂に入ることで最近テレビなどに特集されることも多い地獄谷温泉などとあわせて湯田中渋温泉郷と呼ばれることもあります。
この渋温泉には徒歩で回れる9ヵ所の共同浴場があり、渋温泉街の旅館に宿泊したお客さんは、鍵を借りて九湯巡りができることでも知られています。9ヵ所の共同浴場のうち、一番有名なのは温泉街の中央に位置する「渋大湯」。そしてこの渋大湯の角を曲がったところに建つのが今回ご紹介する「御宿 ひしや寅蔵」です。
賑わう温泉街から一歩入っただけで、まるで世俗から切り離されたような静謐な印象。それもそのはずひしや寅蔵は、歴史ある渋温泉の中でも草分けともいえる存在、現在の当主は十二代目に当たります。
写真:泉 よしか
地図を見る正面玄関は老舗旅館らしい和風の雰囲気。でも館内に足を踏み入れると、純和風ではなくどこかレトロな洋風のモチーフがあちらこちらに!まるで明治か大正浪漫の世界に足を踏み入れたような気がするでしょう。特に談話室の美しく磨き上げられた調度品や嵌め込まれたステンドグラス風の意匠は、ハイカラなスタイルの少女か書生さんに似合いそうです。
チェックイン時に女性なら色浴衣が選べるサービスがあります。温泉街を散策したり外湯巡りをされるならぜひ気に入った色柄の浴衣を選んでくださいね。小型犬と一緒に泊れるお部屋もあります。ペット連れ旅行をお考えの方は相談してみてください。
そしてお部屋に着いたら窓の外を見てみてください。中庭が見えましたか?
中庭の一角に暖簾が下がっている入口が見つけられたかもしれません。そこは貸切露天風呂の入口です。とても素敵な露天風呂なので後でご紹介しますね!
写真:泉 よしか
地図を見る先に食事の紹介をしましょう。夕食も朝食も個室で食べられます。グループで宿泊される場合は、雪月花という食事処もありますよ。
温かいものからどうぞと供される食事は、目にも美しくとても美味しいです。特にステーキのお肉は柔らかいと評判です。ぜひお腹いっぱい食べてくださいね。ただし、あとで九湯巡りをされるならば、お酒はほどほどに。
写真:泉 よしか
地図を見るひしや寅蔵のお風呂もご案内しましょう。なんとこの旅館のお風呂は三ヵ所あって、全て源泉が違うのです。もちろん全部、源泉掛け流し!渋温泉は九湯巡りが有名ですが、九湯巡らなくても十分満足できるかもしれません。
一つ目のお風呂は「延寿の湯」。
温泉街のすぐ横を流れる横湯川の対岸、上林上流より引湯したすっきりと無色透明のお湯で、わずかに白い湯の花があります。浴槽は二つで、手前にタイル張りのレトロなお風呂。奥が岩の半露天風呂です。すべすべ美肌になりますよ!
二つ目のお風呂は「和多の湯」。
こちらは縁が木でできた四角い浴槽が二つ並んでいて、地獄谷の荒井川原より引湯しています。無色透明に見えても底に湯の花が沢山沈んでいて、かき回したり冷ますための水を入れたりすると美しい濁り湯になります。光の加減で緑がかったオレンジにも乳白色にも見えるでしょう!とても美しいお湯です。
この二つのお風呂は男女入れ替え制です。夜と朝で違う浴室が使えますから、ぜひ両方入ってみてください。
そして三つ目のお風呂が貸切露天風呂です。中庭の暖簾を潜り、こちらの写真の通路を通ってアプローチします。
写真:泉 よしか
地図を見るひしや寅蔵の三つ目のお風呂は象山露天風呂と名付けられた貸切露天風呂です。予約も追加料金もいりません。空いていれば自由に鍵を掛けて使えます。こちらのお風呂、無料で貸切りで使えるというにはあまりにも広く贅沢な空間ですね。
お風呂の名前にある象山とは佐久間象山、江戸時代末期の天才朱子学者です。門下生にあの勝海舟、吉田松陰、坂本龍馬がいたと聞けば、どれほどの才があったか想像できるのではないでしょうか。この象山が沓野山林調査指導にこの地に赴いた折り、ひしや寅蔵に滞在し、庭の池の水を抜いて温泉を張り入浴した逸話から象山風呂と名付けられました。
こちらは宿のすぐ脇で湯煙を上げて湧いている源泉と、横湯川地獄谷対岸の熱の湯と呼ばれる源泉のミックスが使われています。ほぼ透明の綺麗なお湯で、三つの浴槽は温度を変えてあるので入りやすいですよ!何より旅館の密集した渋温泉で、中心地にちかいこの立地なのに、これだけ開放感のある露天風呂が自由に貸切で使えるというのは本当に贅沢です。他の人にはナイショにしておきたいぐらいですね。
渋温泉の温泉街から一歩入ったところに建つ老舗旅館の御宿 ひしや寅蔵、いかがでしたでしょうか。
九湯巡りにも便利な中心地にありながら、世俗と離れた静けさと、大正浪漫の雰囲気が味わえて、温泉三昧も楽しめます。
なお、隣に建つ「おりがみ之家」もひしや寅蔵の折り紙ギャラリーで、自由に見学することができます。折り紙作品の見学だけでなく当主や女将さんが在館であれば、その場で珍しい折り方を教えてもらうこともできちゃいます。ぜひ渋温泉でひしや寅蔵ワールドに浸ってみてください!
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(2024/9/9更新)
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