三重県と滋賀県を結ぶ国道421号線は、今でも八風街道と呼ばれているように、八風峠越えで伊勢と近江を結ぶ道として古くから栄えてきたルートです。
(※国道421号線は石榑峠越えルートなので、厳密には同じではありません)
その国道421号線の、近江鉄道「新八日市駅」〜「市辺駅」間あたりから北の方角を見ると、斜面が巨岩むき出しで不思議な三角の形をした山が見えます。なんだか、まるでピラミッド??その斜面の中腹には大きな建物やポツポツと小さな建物、さらによく見ると鳥居らしきものも見えます。「いったいここは何?」と、思わず考えてしまうこの不思議さ漂う場所が、今回ご紹介する天空のパワースポット、太郎坊宮です。
太郎坊宮のある、この山は赤神山(標高350m)といい、太郎坊山とも呼ばれています。山には古くから天狗が住むとされ、太郎坊山という名も、その天狗の名である太郎坊天狗からつけられたものです。また太郎坊宮の正式名称は阿賀神社というのですが、これも神社のご祭神を守護するのが太郎坊天狗であることから、太郎坊宮と呼ばれています。ちなみに、この天狗は京都の鞍馬山の天狗(次郎坊天狗)のお兄さん天狗なのだそうです。
神宿る霊山として古くから人々の信仰の対象であった赤神山、次第に修行をする修験者が多く現れるようになり、その姿が太郎坊天狗として伝えられるようになったといいます。約1400年前の創祀とされる太郎坊宮(阿賀神社)、今でも地元では「タロボウさん」と親しみをこめて呼ばれ、畏敬の念を持って崇められつつ、身近な存在として親しまれています。
写真は、太郎坊宮の最上部にあります本殿です。ここのご祭神は、「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミノミコト)」という神様で、お母さんはあの天照大神。
ご祭神は「不撓、不屈、勝利、福寿」の神様で、そのご神徳は、家門の繁栄、商売の隆昌、家内安全、延命息災、厄除け、そして勝運授福などです。中でも、勝利と幸福を授ける神様としてその名が知られており、地元の高校野球チーム、サッカークラブなど多くのスポーツ選手や、受験競争へと立ち向かう受験生、戦うビジネスマン、企業経営者など、勝負に向かう様々な人々が訪れます。
古い話ですが、なんとあの源義経も、奥州へ落ち延びる前にここに訪れ、源氏再興を祈願したそうです。その時に義経が休憩の際に腰をおろした「腰掛け岩」が、今も残されています。それにしても、その時代から既に名の知られていた太郎坊宮、歴史の深さを感じますね。
なお、太郎坊宮の最上部にある本殿には、いろいろな種類のお守りが用意されています。駐車場上の大きな建物の参集殿にも、お土産やお守りなどの売店があります。また絵馬やおみくじなどは、本殿の他に祈祷殿や一願成就社などにもあります。太郎坊宮のホームページがありますので、事前に下調べしておくのもいいかもしれませんね。
その太郎坊宮ですが、通常は山麓の登山口から742段の石段を上って一番上にある本殿へ向かうことになります。しかし、全て徒歩で行くのが難しい場合は、中腹の祈祷殿前まで車で行けますので、そこから歩いて行くこともできます。そこからだと259段、ありがたいですね。この駐車場からの下界の眺めも、なかなかのもの。「天空の宮」であることを感じさせてくれます。
そして、この祈祷殿からの参道が、いよいよ天空の宮の本領発揮となります。山肌にへばりつくようにして作られた石段や様々な社。そしてふり返ると見渡せる、万葉ロマンの蒲生野。他ではなかなか味わえない、天空の宮「太郎坊宮」ならではの素晴らしい景観です。
祈祷殿から、有名な夫婦岩を経て本殿までが表参道、本殿から一眼成就殿を経て祈祷殿までが裏参道となります。つまり、反時計回りでぐるりと廻って元に戻ってくるわけです。順を追って見ていくと・・
◯表参道
祈祷殿→長楽殿→拝殿永安殿→龍神舎御霊水→愛宕社→稲荷社→二見稲荷社→夫婦岩→本殿
◯裏参道
本殿→地主→一願成就社→お百度参詣道→絵馬殿→祈祷殿
というようになります。また裏参道には、各所に七福神と福助がおられます。見落とさないように、なじみの神様たちを探してみてくださいね。
なお、参道の大半は斜面につけられた石段です。雨天時や積雪時などは、特に滑らないようご注意ください。
一つ忘れてはいけないのは、「お百度参詣道」です。赤神山の中腹をずーっと行くこの道は、まさに天空の参道。
一願成就社の横を入り、下界の蒲生野を見渡しながら歩いて、最終の紫微社へとたどりつきます。参道途中で迎えてくれるのが行者像、そして天狗さん。必願10倍石なるものもあります。百度とまではいかなくても、きちんと畏敬の念を持ってお参りすると、なんだかすごく力をわけてもらえそうな、そんな気持ちになってきます。景観の良さも含めて、ぜひ「お百度参詣道」を歩いてみてください。
この太郎坊宮には、いたる所にお社や鳥居などがいっぱい!なんでこんなに?と思うくらい、たくさんの神様がおられます。そのあたり太郎坊宮阿賀神社由緒記には、伝教大師も当社に参詣し、ご神徳に感銘を受けて50余りの社坊を建立された。さらにあまたの人々の信仰により、山肌に次々と社殿が創建され、社頭もますます充実していった、というように書かれています。
神道を基に天台山岳仏教と修験道が相交わる独特の太郎坊信仰が確立されたというのも、この太郎坊山の霊山としてのパワーの強さゆえのことなのでしょう。太郎坊山は、神や仏とか区別すること無く霊験あらたかな所、まさにここはパワースポット!そう強く感じます。
太郎坊宮を語る時、やはり有名な夫婦岩にふれないわけにはいかないでしょう。凝縮されるようなパワーを感じるこの雰囲気だけでも、パワースポットとしての圧倒的な威厳が放たれています。
入り口の看板に「磐境信仰発祥の地、近江高天原」と書かれている夫婦岩は、高さ数十メートルの2つの巨岩です。大きい方が男岩、小さい方が女岩。言い伝えによると、大神の神力によって幅約80cm、長さ12mにわたり真二つに押し開かれたといいます。
そして、2つの岩の間を通って参拝する者は、即座に病苦を除き諸願が成就するが、悪心あるものは岩に挟まれるとされています。また、子どもには悪戯をしたり嘘をついたら岩に挟まれると教え、戒めの場ともなっていたそうです。夫婦岩を前にしてシュンとするイタズラ小僧、なんだかその光景が目に浮かびますね。
さて、みなさんは??
ここを無事に通れないと、本殿には行きつけないですよ。このあたりは太郎坊宮の最上部。無事、夫婦岩を通った後は、本殿前の展望台からの蒲生野をご堪能ください。
いかがでしたでしょうか。
この太郎坊宮に車で行く場合、一般の駐車場は「参道入り口」「神田前」「登山口横」「祈祷殿前」の4カ所が用意されており、いずれも無料で利用することができます。「神田前」の駐車場からは、赤神山(太郎坊山)の全景がよくわかるので、ここに車を置いて石段を下から登るのがオススメですが、無理をしたくないという場合は中腹の「祈祷殿前」までどうぞ。
また、交通機関利用の場合は、近江鉄道の「太郎坊宮前駅」で降りると、石段の始まる登山口まで800m弱程ですので、歩いても10分ちょっとくらいで行けるでしょう。
太郎坊宮の参拝は、24時間可能です。また拝観料も無料となっています。みなさんもぜひ、畏敬の思いを持って、この天空のパワースポット「太郎坊宮」を訪れてみてください。
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(2023/12/6更新)
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