写真:乾口 達司
地図を見る国宝・御影堂などが立ち並ぶ境内を出て、堀川通を東側に渡ると、目の前に大きな総門が立っているのをご覧いただけるでしょう。総門をくぐり、仏壇・仏具店が軒を連ねる道をさらに奥に進むと、やがて写真の光景に出くわします。
丸いドームを頭にのせた、赤いレンガ造りの建物。この風変わりな建物こそ、今回、ご紹介する「伝道院(でんどういん)」です。
写真:乾口 達司
地図を見る伝道院は、1911年(明治44)、近代の日本を代表する建築家であり、東京帝国大学の教授を務めた伊東忠太によって設計されました。施工は竹中組(現在の竹中工務店)。創建当初は信徒向けの生命保険会社として利用されていましたが、その後は銀行や事務所などに転用され、現在は西本願寺関連の研究所として利用されています(普段は内部の一般公開はなし)。
ご覧ください、この正面玄関。イギリスの建物をイメージさせる総レンガ造り風のタイル張りであり、事情を知らない人が見たら、まさか西本願寺所有の建造物であるとは思わないでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る伝道院では、赤レンガがタイルのようにはめこまれた外観以外にも、さまざまな建築様式が随所に取り入れられています。さまざまな建築様式が取り入れられている背景には、材質や様式面で従来の日本建築の革新を訴えた設計者・伊東忠太の「建築進化論」が踏まえられており、そのことが伝道院のスタイルを独特のものに仕立てています。
たとえば、写真は道路に面した北面部分を撮影したものですが、西洋建築を連想させる窓付近の意匠の上部に見られるのは、何と日本の伝統的な寺院建築で見られる「破風」(はふ/屋根の妻側に見られる造形)を石組みで表現した意匠。その上部には破風にしばしば見られる「懸魚」(げぎょ/装飾を目的とした板飾り)までとりつけられています。
伝道院が洋の東西を組み合わせた建造物であること、ここからもおわかりいただけるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る上部に設けられたインド・サラセン風のドームも異色です。ドームは銅板葺きで、内部の骨組みは木造です。
写真:乾口 達司
地図を見るドーム型の塔のほかにも、南東側にはご覧の塔がそびえています。こちらは六角形の形状で、窓の意匠も独特です。
こちらの塔は背面に当たる北東側からよく見えるため、お見逃しなく。
写真:乾口 達司
地図を見る正面の意匠にばかり目を奪われず、裏手にあるこちらの意匠にも目を向けましょう。通路の上のアーチがこのような形になっているのも珍しいですね。
写真:乾口 達司
地図を見るつい見落としてしまいがちですが、足元にも目を向けてください。写真はいわゆる通風孔ですが、通風孔の意匠もレトロ感満載。
細部まで手を抜かない造形には脱帽です。
写真:乾口 達司
地図を見る建物のまわりには、怪獣あるいは妖怪と思しき石造の車止めが居並んでいます。
設計者の伊東忠太は無類の妖怪好きとしても知られており、伊東の設計した兼松講堂(一橋大学)や震災祈念堂(現在の東京都慰霊堂)などにもさまざまな怪獣・妖怪の類の造形を見ることができます。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは鼻の長いゾウと思しき石像。しかし、よく見ると、翼があります。したがって、やはり怪獣の類でしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは怪鳥でしょうか。その造型を一つずつ見てまわるだけでも楽しいですよ。
伝道院の不思議な魅力、ご理解いただけたでしょうか。西本願寺の境内から歩いて5分ほどのところに位置しているため、アクセスが快適なのも嬉しいですね。西本願寺を訪れたら、伝道院も忘れずに訪れてください。
住所:京都府京都市下京区玉本町計上196
アクセス:京都市バス「西本願寺前」よりすぐ
2023年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2023/12/7更新)
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