写真:津田 泰輔
地図を見る日本三名園に数えられる「後楽園」は、江戸初期に岡山藩主の池田綱政によって造成されました。東京ドーム3つ分の広大な敷地に、田んぼや茶畑などの農村風景も盛り込んだ、日本庭園とはすこし趣きを異なる庭園です。
中央には大きな池と芝生のエリアがあり、入口から後楽園に一歩踏み入れれば、その広大な敷地に驚くことでしょう。昼間に訪れると一面の芝生になっている場所も、夜になるとその芝生の部分が暗闇になって、灯された光が道になる幻想的な世界を作っています。
写真:津田 泰輔
地図を見る後楽園の中心部にすこし小高い丘になっている場所があります。ここは平面的な後楽園にあって、唯一立体的になっている部分で、唯心山と名前がつけられています。唯心山は池田綱政の子である継政の時代に造られ、今では後楽園全体を見渡せる展望台のような場所になっています。
この場所のライトアップが、何となくUFOのように見えませんか。お椀をひっくり返したような三角形の物体から周囲を照らすスポットライトの数々。まるでUFOが後楽園に不時着したような感じ。後楽園のライトアップは空に向けられたスポットライトが多くて、夜空を見上げると幾筋の光の帯が見えます。庭園の構造物などをぼんやり照らすほかの庭園のライトアップとは一風変わった演出となっています。
写真:津田 泰輔
地図を見る後楽園のライトアップイベント「幻想庭園」は、毎年8月と秋に10日ほど開催されていましたが、2016年は5月にも春の幻想庭園としてライトアップイベントが開催されました。年々来客数を増やしており、和装で来園すると入園無料になる「きものDay」があったり、流行のプロジェクションマッピングも実施されたりと、若者にも人気のイベントになってきています。
また、園内でコンサートが開催されたり、夏にはビアガーデンが園内にできたり、もちろん岡山名物のきびだんごを食べられる茶店もあったりと、様々なイベントも盛りだくさん。ライトアップのテーマもシーズンごとに変えられて、2016年の春の幻想庭園では、カラフルな番傘が和モダンな雰囲気を演出していました(写真)。
写真:津田 泰輔
地図を見る後楽園の南門から出ると、岡山城もすぐ近くにみることができます。
岡山城は豊臣秀吉の時代の大大名、宇喜多秀家が築城し、関ヶ原の戦いに敗れた後は小早川秀秋が替わって城主になり、小早川家改易後は池田家が引き継ぎ今の姿になりました。天守閣の壁に黒漆塗りの下見板をはめ込んであり、外観が漆黒に見えるために「烏城」と呼ばれています。また、幻想庭園実施中は天守閣もライトアップされ、後楽園からも夜空に庭園の借景としてその姿を見ることができます。
岡山城へ行くには後楽園の南門から旭川にかかる橋を渡って行くのですが、その橋から見る岡山城の姿がなんとも幻想的。ライトアップされたお城が旭川の水面に映りこみ、闇夜に漆黒の天守閣が浮かび上がっているようです。
幻想庭園にあわせて岡山城でも「烏城灯源郷」と呼ばれるライトアップイベントが開催され、お城の周辺でも様々な趣向を凝らした灯りが燈されています。
写真:津田 泰輔
地図を見る幻想庭園期間中には、後楽園の外でも面白い仕掛けが実施されています。岡山市街地から後楽園に通じる後楽園通りの鶴見橋には、桃太郎の物語が欄干に描かれます。川へ洗濯に行ったおばあさんが流れてくる桃を持ち帰って、桃太郎が犬、キジ、猿の仲間とともに鬼を退治するまでの物語が、橋の端から順番に描かれています。
後楽園に行く途中の橋なのですが、車やバスを使って行ってしまうと気づかずに通り過ぎてしまいます。パンフレット等でもほとんど紹介されないので、地元の人にもほとんど知られていない穴場スポットです。幻想庭園の期間がすぎるとなくなってしまうので、ぜひ足をのばして歩いてみてください。
後楽園は庭園の中でも一風変わっていて、園内で田んぼや茶畑が造られていて、田植えや茶摘のイベントが開催されたりします。借景には、戦国時代のまさに実戦向けに造られた岡山城の天守閣が配置され、幻想庭園の時期には欄干に桃太郎が登場したりと、あまり統一感の無い色々な要素が入り乱れた場所だったりもします。
岡山は歴史的にたくさんの統治者が入れ替わって居る場所で、しかも中国地方の交通の要所であるため、色んな文化取り込んでしまう土地柄なのかもしれません。年を重ねるごとに少しずつ進化していく、後楽園と岡山城のライトアップイベント。ぜひ一度体験してみてください。
※記事内で使用した写真は2015年夏と2016年春のものです。
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(2024/10/5更新)
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