写真:Hiroko Oji
地図を見るサンモリッツからイタリア方面行きのバスに揺られること約45分、サンモリッツ湖に続きシルヴァ・プラナ湖などを横に眺めながら進み、4つ目のシルス湖の西端にあるのが、マローヤ(Maloja)の村。
シルス湖畔を離れ高度を上げて行ったポスト前で降りると、道路を挟んで向かい側に威風堂々とした木造の大きなホテルが建っています。このホテルは、マローヤの歴史を語る老舗で、前身を「オステリア・ヴェッキア( Osteria vecchia)」といい、約600年前は峠のホスピスとして、また、後には日本流にいう旅籠屋のような宿として多くの旅人を受け入れてきました。
板壁で覆われた壁面には素晴らしいデザインの彫り込みが施され、バルコニーはお花で溢れる美しさ。地上階は、宿泊客でなくても入れる広いレストランとなっていますので、ぜひ立ち寄ってみて下さい。
写真:Hiroko Oji
地図を見るマローヤは、イタリア生まれで後にスイスに移住し、アルプスの自然とそこに暮らす人々を描き続けた画家、ジョヴァンニ・セガンティーニが晩年を過ごした村として知られ、周辺の素朴な風景は彼の作品の中にたくさん残されています。
バス停から峠方面に向かって歩き出すとすぐに、右側へ延びる小路があります。ここを入ってすぐの所にあるのがセガンティーニのアトリエ(Atelier Segantini)。緑とお花に囲まれた庭の奥に建つ円筒形の木造家屋で、屋根が円錐形の尖がり帽子のように見えるものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る彼が暮らしていた木造の家に隣接して建つ、光が上の窓から差し込む特徴的な形のアトリエ内は、とても明るい。彼が使っていた絵筆や搾り切った絵の具のチューブにパレットなど、今も彼が生きていてヒョイと奥から姿を現しそうなほど、リアルな感じで展示されており、作品の一部はもちろんのこと、自筆の手紙や当時の写真などもたくさん見ることができます。
開館時間・期間は限られますが、記念館として一般公開されていて、彼の末裔にあたる女性が管理運営しています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る村の中心部からセガンティーニのアトリエを通り過ぎ、徒歩約20分のところにあるのがベルヴェデーレの塔(Turm Belvedere)。一旦中断された期間があるのですが、1882年から1903年にかけて建てられました。もともとホテルとしてオープンしたあと、少年少女のための施設として利用されましたが、その後建物自体は廃墟となりました。しばらくして改修工事が行われ、現在は、塔内の1・2階は個展のスペース、3階はセガンティーニの写真や手紙を展示する部屋となっており、ブレガリア谷(Val Bregaglia)を望む展望スポットとして一般公開されています。
ベルヴェデーレの塔付近には、氷河の浸食でできた岩穴が全部で7つありますので、ハイキングがてら見て周るとよいでしょう。
写真:Hiroko Oji
地図を見るベルヴェデーレ塔は、一度はセガンティーニが購入してここへ移り住もうとも考えた塔だけあって、足元の展望台と塔のてっぺんからは素晴らしい風景が見渡せます。
西側には、マローヤ峠に続きブレガリアの谷が広がります。この谷の先にあるのが、18世紀の姿をそのまま今に伝えるソーリオ(Soglio)の村。さらにはイタリアのキャヴェンナ(Chiavenna)に続く方面です。
反対の東側には、エンガディンの谷やシルス湖までの眺めが見渡せ、ため息が出るほどの素晴らしさ!周りは緑溢れる山並みや岩山が囲む塔です。ぜひ、ここでゆっくり風景を味わってください。
セガンティーのアトリエからバス通りをさらに進み、左方向への道を進むと、インフォの近くにセガンティーニと家族の眠るお墓があります。
マローヤはひっそりとした村ですが、その周辺一帯を含めた風景そのものが見どころと言えるでしょう。ハイカーの姿も多く、イン川もしくはドナウ川の水源となるルンギィーン(Lunghin)湖やソーリオ方面へのハイキングが楽しめる所です。バスの運行も30分から1時間に1本はありますので、歩くのはちょっと・・・とおっしゃる方も、バスからの車窓風景だけでも楽しんでくださいね。眺めるだけで、来てよかったと思える風景が広がっています。
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(2023/12/5更新)
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