東京「多摩川沿い縄文巡り」ストーンサークルにアートな土器も!

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東京「多摩川沿い縄文巡り」ストーンサークルにアートな土器も!

東京「多摩川沿い縄文巡り」ストーンサークルにアートな土器も!

更新日:2016/04/19 14:18

松縄 正彦のプロフィール写真 松縄 正彦 ビジネスコンサルタント、眼・視覚・色ブロガー、歴史旅ブロガー

縄文遺跡というと東日本、特に東北や北海道の専売特許と思っていませんか?実は東京でも縄文遺跡が多数あり、土偶や土器が出土し、ストーンサークルまであるのです。鍵は多摩川にあります。多摩川をさかのぼり縄文の世界に行ってみましょう。この地域の土器にはいろんな表情の人や動物の顔・形が装飾されており、まさに芸術品です。

東京のストーンサークル〜田端環状積石遺構〜

東京のストーンサークル〜田端環状積石遺構〜

写真:松縄 正彦

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縄文遺跡は水との関係が重要ですが、東京では支流も含め多摩川沿いに多く分布しています。多摩川は奥多摩に発し、青梅市から東には(古多摩川によって作られた)武蔵野台地、西に草花台地・秋留台地が連なり、府中市付近で多摩丘陵のそばを流れ、東京湾に注いでいます。
中でも、武蔵野台地や多摩丘陵には石器時代からの遺跡が多数あり、縄文中期には100軒以上の大規模集落がこれらの地に多数出現していました。これら遺跡からは多数の土器が出土し、縄文人の意識や価値観を垣間見る事ができます。今回、多摩丘陵から上流にこれらを巡ってみましょう。

多摩丘陵にはストーンサークルがあります。ストーンサークルというとイギリスのストーンヘンジが有名ですが、東京町田市の京王多摩境駅近くの”田端環状積石遺構”(写真、東から西方向を撮影)がそれです。東京らしく住宅のすぐ隣にあります。最も、大規模なものではなく東西に長い楕円形の”ミニ”ストーンサークルです。

地図でみると良く分かりますが、富士山や丹沢方面の山々がここから見えます。サークルの楕円形の長軸がほぼ富士山を示し、冬至には丹沢山系の最高峰、蛭ヶ岳に太陽が沈むのがこの地から見えるのです。
冬至は太陽が最も力が弱くなる時期、逆にこれを境に陽が強くなる事から「死と再生」をここから祈ったのでしょう。

「多摩丘陵人」〜東京都埋蔵文化財センター〜

「多摩丘陵人」〜東京都埋蔵文化財センター〜

写真:松縄 正彦

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”多摩ニュータウン”には964もの遺跡が存在しますが、ここに建てられているのが”東京都埋蔵文化センター”です。ニュータウン開発で発掘された遺跡群から出土した縄文土器、土偶などが多数展示されています。

人面装飾土器の「多摩丘陵人(たまおかびと)」(写真)や「ヴィーナス」土偶などがその代表です。写真の土器は現代の作品といってもおかしくありませんが、縄文中期の造形です。岡本太郎さんの”太陽の塔”が思い浮かんできませんか?
また展示されている土偶の中には、“楽”や“哀”しみの表情をした物も見られます。何のために造られたか分かりませんが、縄文人も喜怒哀楽を感じ、それを表現していました。

なおセンターには遺跡庭園「縄文の村」が隣接し、6,500年前の竪穴住居等が復元されています。日を決め、内部で”火焚き”もおこなわれ、縄文人の生活を体験する事ができます。

さて、多摩川をさかのぼってみましょう。面白い土器をもっと見る事ができます。

蛇体装飾土器〜あきる野「二宮考古館」〜

蛇体装飾土器〜あきる野「二宮考古館」〜

写真:松縄 正彦

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多摩川と秋川との分岐点近くにあるのがあきる野市です。市内には秋川などの流域を中心に100ヵ所以上の遺跡が分布しています。”二宮考古館”にこれらの遺跡から出土した土器・土偶、また石器が展示されています。
この考古館は平将門を討った藤原秀郷(俵藤太)が建てたといわれる“二宮神社”の横にありますが、この神社自体も古代遺跡で、縄文早期から弥生式の土器が出土しています。

考古館では動物の顔(獣面)がついた把手をもつ土器(あるいはその1部)を見る事ができます。中でも“蛇の把手がついた土器(展示品No24)”(写真)は実にダイナミックです。呪術的な土器との事ですが、縄文人の美的センスも十分に楽しめます。
また、”片目が切られた顔面把手”も展示されています。二宮神社には関東では珍しい”アラハバキ(片目の神様ともいわれる)神社”が境内あり、これとの関係も気になりますが詳細は不明です。

ちなみに、人や動物の顔などが装飾された把手のある土器は”勝坂式土器”といわれるもので、長野・山梨〜神奈川・静岡までの範囲で多く発見されています。このような把手のついた土器は対照性と非対称性を意識して作られたといわれます。写真でも非対称さが生き生きとした動きを表現しているのがよく分かります。

なお”人の手がデフォルメされて表現された土器”も展示され(展示品No22)、これもなかなか見応えがあります。把手はありませんが、土器の側面に手足がモチーフされています。

亀をかたどった土器〜青梅市郷土資料館〜

亀をかたどった土器〜青梅市郷土資料館〜

写真:松縄 正彦

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さらに多摩川をさかのぼった青梅市の郷土博物館には重要文化財である”注口土器と小型深鉢土器がペアとなった出土品”があります。3,500年前のものですが、ペアで出土した例は国内でも2〜3例しかない貴重品です。残念ながら常時展示されていませんが、パネル写真で見る事ができます。
ここでは”猪と蛇の把手のつけられた土器(都指定有形文化財)”も展示されており、豊富な出土品を楽しめます。

面白いのは”亀”を意識して作られた土器(写真)の展示がある事です。人、猪や蛇、またミミズクなどを意識した土器は国内で多数見られますが、亀をモチーフにした土器は国内で数例しか出土していません。写真は甲羅を象ったものといわれますが、文様が独特です。亀というと亀甲紋を思い浮かべますが、全く違っており対称性もなく、縄目模様の中に何かの形がデザインされているようです。美的というよりはデザインそのものに意味があるのかもしれません。実はこれは”呪術具”との事。

美というよりは”祈り”との関係で理解した方が良いのかもしれません。また写真では分かりづらいのですが左端に穴が開き内部は中空なのです。液体でも入れて儀式に使用したのでしょうか?

多摩川と縄文

”東京の縄文”いかがでしょうか?特にこの地方独自の勝坂式土器では、対称や非対称の装飾美が十分に楽しめるはずです。
また紹介した施設では弥生時代の土器も見る事ができますが、弥生土器には装飾が一切なく、土器を作る上での価値観や意識が大きく変化した事にあらためて驚かれるはずです。

いずれにせよ、多摩川の自然とともに生きた縄文人、彼らの美意識や祈りのメッセージをこれら施設で十分に受け取り、楽しむ事ができるはずです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/29 訪問

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