東神奈川を八王子とを結ぶ横浜線は、関東近郊に在住であれば、誰もが一度は利用したことがあるだろう鉄道路線。まずは新幹線の停車駅である新横浜駅。そして隣駅には日産スタジアムのある小机駅。
この一帯は横浜市街から、ほんの10分程度の距離である一方、幹線を少し外れれば田畑の広がるのどかな武蔵野の自然で、日産スタジアムの周辺などは、その二つが交じり合い、サッカー場だけでなく、様々なスポーツの運動広場が広がる、素晴らしい場所となっている。
ところで...その日産スタジアムから反対方向に見える、この小さな森に目を向けたことのある人はいないだろうか?
実はこの小さな森、戦国時代の城址である。
城といえば、まずは世界遺産の姫路城や、太閤秀吉の大阪城を思うかもしれない。だが、こういった城は戦国時代が終わった後に建てられたもの。大規模な戦闘を想定はしているものの、実の処、殆ど戦争に使われておらず、その威容で他の大名へ抑止力をかけるものであった。
一方、本当に戦国時代に使われてた城というのは、もっと泥臭い。それは織田信長が歴史に登場するもっと前の時代、まだ戦国武将という名前が冠されない武士達が活躍していた時代、城は何の飾り気もなく、実用的にいかに敵から身を守るかだけを考えて作られている。
例えば天守閣の代わりに物見矢倉、例えば石垣の代わりに空堀と土塁。いざ戦闘となれば迫りくる目と鼻の先の敵に土塁の上から矢を放つ。そんなナマの戦闘が行き交った城。この小机城はそんな中世の城址だ。
そしてこの小机城。なんと当時の地形が、ほぼ原形のまま残されていて、とにかく凄いのである。
歴史を紐解くと、室町期、関東管領の山内上杉氏の家臣・長尾景春と、中世の名将と名高い大田道灌との戦いがあった。そして戦国期、上杉氏は後北条氏によって滅ぼされ、今度は北条氏尭が新たに城を整えて関東の抑えとした。もちろん教科書には出てこない。だが、生の戦国時代の話である。
そして500年後の今、城址は「小机城址市民の森」として、市民に開放されている。横浜市は市民のため、こういった自然散策のコースを各地に準備しているが、ここ小机も見事なまでの自然公園となっている。
散策している内にコースは空堀の中へと降りていく。そこは素晴らしい竹林の空間。竹林は適度に空間を残し、日光を入れることで、毎年素晴らしい自然の恵みを提供してくれるが、そんな里山に似た、よく手入れの行き届いた美しさが、ここにはある。
他にも二の丸広場には見事な桜があり、ちょっとした花見の隠れスポットにもなっている。本丸跡は草野球が楽しめる大きさで、実際そのように整備されている。そして改めて楽しむべきは、中世の城郭を残した、特徴的な隆起ある地形。
左右に交差する空堀、土塁は本丸と二の丸を繋ぎ、そこに立つと周囲の様子が一望できる。想像を膨らませ、一人の足軽となって土塁の上に立ち、四方縦横に広がる空堀を眺めた時、歴史の向こうからグッと何かが迫ってくる。
そんな何かを、きっとあなたも感じられるのでは?
ここ小机城址市民の森は、気軽な散歩コースとしても、本格的な歴史探索コースとしても手頃な場所。朝から横浜で買い物したついで、美味しい弁当でも買って途中下車をして立ち寄るというのも、きっと楽しい。
都会の喧騒からふと抜け出したくなった時、ぜひ気軽に足を運んでみては!?
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