ここから電車旅がしたくなる!スペイン・バレンシア「北駅」

ここから電車旅がしたくなる!スペイン・バレンシア「北駅」

更新日:2018/07/27 15:18

小林 理沙のプロフィール写真 小林 理沙 日本語教師、翻訳家
スペインのバレンシア市中心部に位置する鉄道の「北駅」は、バレンシアの美しい部分を結集させたような建物です。外壁にもモザイク画や、オレンジなどの果物や花々を型どった立体的な陶器が飾られてあったりと豪華です!駅構内も時計や照明もノスタルジックな雰囲気を作り出しており、100年前の時代が偲ばれます。20世紀初頭に完成したこの駅を見ると、旅したい気持ちに駆られることでしょう!みなさんぜひ旅をしましょう!

存在感のあるクリーム色の荘厳な建物

存在感のあるクリーム色の荘厳な建物

写真:小林 理沙

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隣のレンガ色の建物とクリーム色との対比が大きく、遠くからもよく目立つ建物が北駅です。ちなみにレンガ色の建物は円形の闘牛場です。建物の外観ですが、上部はオレンジの形の飾りで飾られ、壁にも民族衣装に身を包んだ人をモデルにしたモザイクの絵があしらわれていたりと細部まで凝っています。

北駅は、バレンシア出身の建築家デメトリオ・リベス・マルコ(Demetrio Ribes Marco)が手がけた建築で、1906年に建設が着工し1917年に完成しました。オーストリアの建築家オットー・ワーグナーの影響が見えるモデルニスモ様式の建物とされています。

ワーグナーは、クリムトが率いたオーストリア造形芸術運動ゼツェッションに関わった人物。このオーストリアの芸術運動はモダニズムの流行の先駆けとなりました。モダニズムは、スペインではモデルニスモという名前で知られています。

こんな窓口で乗車券を買ってみたい!

こんな窓口で乗車券を買ってみたい!

写真:小林 理沙

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この駅は細部まで美しい装飾がしてあり、見飽きません。比較的治安もよく、大きすぎない規模の駅のため、安心してじっくり観察できます。

構造上、日中も若干薄暗い構内はいつも照明が点灯。この照明が取り付けられた柱と天井の接点には、花々とオレンジの陶器が飾られています。どこにでもオレンジが使われているのがバレンシアらしいところです。

パステルカラーを基調に、濃い色の柄が見られますが、多色使いなのに全体的に気品のある雰囲気に仕上がっているのが、さすが多くの芸術家を生み出してきた国スペインの長い歴史を感じさせます。また、木が多く使われてあるのも、柔らかい優雅な感じを与えています。

タイル装飾の部屋は必見!

タイル装飾の部屋は必見!

写真:小林 理沙

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駅構内に現在は時折展示などで使われている部屋があります。壁と天井が色とりどり美しいタイルで覆われています。タイルにはこの地方の民族衣装を着た女性や、街のシンボルとも言えるバレンシア大聖堂の塔「ミゲレテ」や水田地帯アルブエラ湖に残る独特な茅葺き屋根の農家「バラカス」が描かれています。

この部屋のタイルや他のモザイク画のきらめきも写真ではお伝えすることが難しいものですから、ぜひ現地で体感していただきたいものです。

旅の気分を盛り上げてくれるホーム

旅の気分を盛り上げてくれるホーム

写真:小林 理沙

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ひと昔前の映画に出てきそうな雰囲気のあるプラットホームです。こんなところから是非列車に揺られた旅がしてみたいと思わせてくれます。

スペインにはAVE(アベ)という名の高速鉄道がありますが、この北駅からは乗れません。モダンな電車が停車しないのも、この優雅な雰囲気を保ち続けている秘訣でしょう。

御機嫌好う!

御機嫌好う!

写真:小林 理沙

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駅構内には、バレンシア特産のオレンジをモチーフにしたステンドグラスをはじめ、各国のことばで旅人を見送るフレーズを型どったモザイクが壁のあちらこちらに見られます。

日本語版もあるのですが、なかなか難しいかもしれません。若干字体を崩した「御機嫌好う」というモザイクは、見落としてしまいがちですが、ぜひ探してみてください!

まとめとして、

北駅は、バレンシア地方の美しいものが一堂に会したバレンシア民族小美術館のようです。この駅を出るとすぐショッピングストリートがあります。また、すぐ目の前の通りを渡ると立派な市役所があるなど、大聖堂もある旧市街地からも遠くありません。

2015年には駅構内にアジア食材のスーパーマーケットもでき、そこではおにぎりを買ったり、軽食も可能となっています。旅先で日本食が恋しくなった時にも活用のできるバレンシアの北駅のご紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/04/01 訪問

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