イタリアの天空の町!『チヴィタ・ディ・バーニョレージョ』

イタリアの天空の町!『チヴィタ・ディ・バーニョレージョ』

更新日:2016/04/06 17:31

橘 凛のプロフィール写真 橘 凛 ライター、エッセイスト
『チヴィタ・ディ・バーニョレージョ』という町の名を聞いたことはありますか?イタリア中部にあるその小さな町は、切り立った崖の上に立ち、ロマン溢れる姿は、多くの旅人の心を捉えています。別名“死にゆく町”と呼ばれ、常に自然災害の危機に晒されているこの町。近年は、邦画『ホタルノヒカリ』のロケ地として、日本でも存在が知られることとなりました。謎の多い町『チヴィタ・ディ・バーニョレージョ』をご紹介します!

丘上都市チヴィタ・ディ・バーニョレージョ(Civita di Bagnoregio)

丘上都市チヴィタ・ディ・バーニョレージョ(Civita di Bagnoregio)

写真:橘 凛

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チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、首都ローマがあるラツィオ州とウンブリア州の境に位置します。
町は、古代ローマ時代よりもさらに古い、エトルリア時代に築かれたもの。それは2500年以上前のことと言われています。イタリア中部の先住民族であったエトルリア人は、近隣都市であるオルヴィエートやコルトーナと同様、丘上都市チヴィタ・ディ・バーニョレージョを造り上げました。彼らにとって、崖の上の町は、敵から身を守るための天然の要塞だったのです。

町への出入り口は、長さ300メートル以上に及ぶ一本の細い橋だけ。チヴィタ・ディ・バーニョレージョの住民は、昔からこの橋を行き来して生活してきました。町をぐるりと囲む、侵食によってできた谷には、時には雲や霧が立ち込め、あたかも街ごと天空に浮いているかのように見えることがあります。その幻想的な姿は、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』のモデルになったのではないかともいわれているそうです。

なぜ“死にゆく町(il paese che muore)”?

なぜ“死にゆく町(il paese che muore)”?

写真:橘 凛

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チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、バーニョレージョという集落の一部ですが、その周辺では、あちこちで写真のような標識を目にします。なぜ“死にゆく町(il paese che muore)”と呼ばれているのでしょうか?

このあたりは温泉も湧き出す火山地帯。地震や風雨など、自然災害も多発するため、度重なる土砂崩れにより町は削られ、壊滅的な被害を受けてきました。その危険性と不便さを嫌って、住民が年々流出。現在の住民は数世帯を残すのみとなり、もはや20人もいないといわれています。
最近は、観光資源として注目され、周辺は一大観光地になりつつあるため、バカンスシーズンなどは人が戻ってきてはいます。が、今もなお、災害によっていつ崩落するかわからない危険に晒されており、“死にゆく町”であることに変わりはないのです。

小さく可愛らしい町並み

小さく可愛らしい町並み

写真:橘 凛

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長い橋を通ってたどり着くチヴィタ・ディ・バーニョレージョは、とても小さくて可愛い町。数えるほどの世帯しか住んでいないというのも頷ける話です。イタリアの他都市同様、町そのものは古代が起源でも、中世の雰囲気が色濃く残っています。

町の入り口となるエトルリア時代の城門をくぐると見えてくるのがサン・ドナート教会(写真参照)。その前には小さな広場があり、カフェや土産物屋に人々が集います。町はずれまで歩いても、5分10分程度しかかかりません。それでも、そこで暮らす人々の生活が感じられるはずです。
チヴィタ・ディ・バーニョレージョからは周辺の谷、そしてその先に広がる田園風景といった見事なパノラマビューが広がり、そのフォトジェニックな様子には心を奪われることでしょう。

チヴィタ・ディ・バーニョレージョへのアクセス

チヴィタ・ディ・バーニョレージョへのアクセス

写真:橘 凛

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ローマから北に約100キロにあるチヴィタ・ディ・バーニョレージョ。
近郊都市のオルヴィエートやアッシジを一緒にめぐるローマ発のツアーがたくさん組まれています。日帰りでも行けるので、イタリアの美しい村群をめぐりたい方におすすめ。

個人で行く場合は、まず、ローマからオルヴィエートまでの電車に乗り、その後バスで向かいます。駐車場やバスの発着場があるバーニョレージョからはチヴィタまでは約2キロ離れており、また、チヴィタへの橋では段差のある階段もあるので、ちょっとしたハイキング。歩きやすい服装と靴で行きましょう。入村料として、ひとり1.5ユーロかかります(2016年現在)。

チヴィタ・ディ・バーニョレージョ周辺にはホテルやレストランも少しありますので、滞在することも可能です。

中部イタリアの魅力が詰まった町

イタリアの観光地のなかでも、決して便利ではなく、陸の孤島のような町であるチヴィタ・ディ・バーニョレージョ。しかし、ここは中部イタリアの歴史・自然・人々の風俗が凝縮された魅力的なところです。“死にゆく町”という名にも人々は物悲しさを感じ、また惹きつけられて足を運ぶのでしょう。イタリア旅行の際にぜひ立ち寄ってはいかがでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/26 訪問

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