写真:岡本 大樹
地図を見るマクデブルクの街のシンボルは、ドイツ最初のゴシック建築である聖マウリトス大聖堂です。その重厚な造りはまさにドイツの象徴とも言える建物。ですが、そのすぐ近くにはどう見てもゴシック様式ではないピンクの建物があります。
それがこちらの『緑の砦』と呼ばれる建物です。ゴシックどころか緑でもないじゃないか!と思うかもしれませんが、その名前にももちろん意味があります。この写真の右下の部分を見てください。緑が植えられていますね。しかし、それだけではありません。下からではわかりにくいですが、この建物の屋上部分は植物で緑一色となっているのです。
そのような建物にしている理由は、フンデルトヴァッサーの思想に関係しています。
写真:岡本 大樹
地図を見るフンデルトヴァッサーはオーストリアの首都ウィーン生まれの芸術家。その作品はとても独創的で見る者に強烈なインパクトを与えます。その彼が最も大事にしていたのは「自然との共生」でした。
彼は画一的で無機質な集合住宅の形を否定し、斬新なデザインの建物を多く遺しました。その一つがこのマクデブルクの『緑の砦』です。集合住宅の中にもしっかりと自然を取り入れることを実現しています。そのため、この建物はどう見てもピンクの砦と言いたいところですが『緑の砦』なのです。
写真:岡本 大樹
地図を見るフンデルトヴァッサー建築の特徴はその柱にも見ることができます。建物における柱というものは、自然界で言う木のようなものだと彼は言い、二本と同じものは存在せず近くにいれば安らぎを与えられるものでなくてはいけないという考えを持っていました。
かなりビビッドな色遣いがされていますし、写真では少しきつい印象を受けるかもしれませんが、実際にその場で見てみると、その場所に自然に溶け込むような作りになっています。
写真:岡本 大樹
地図を見る前述のように、この建物は主に集合住宅として使われています。しかし、それだけではありません。一階部分の中庭部分は誰でも入ることができ、噴水もある憩いの場となっています。またショップやカフェがあり、ゆっくりする場としても最適の場所なのです。
さらにはなんとここに泊まることもできます。アートホテルという名前で営業しているので、住むことはできなくてもこの建物をより味わいたい方はぜひ利用してみてください。家としてとても珍しい建物ですが、ホテルとして一泊するだけでも相当おもしろい体験になると思いますよ。
この『緑の砦』は外観からして日本では考えられないような建物ですが、その中にはたくさんの魅力が詰まっています。ぜひマクデブルクへ行ってフンデルトヴァッサーの考えを体感してみてください。
またフンデルトヴァッサーの故郷であるウィーンにも『フンデルトヴァッサーハウス』という集合住宅があります。そして、ウィーンにはその他にも彼の美術作品を見ることができる美術館『クンストハウスウィーン』、さらに『シュピッテラウ』というゴミ焼却場まであります。記事下のMEMOにそちらを紹介したものもありますのでよければ併せて読んでみてください。
この記事の関連MEMO
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(2023/12/6更新)
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