いすみ鉄道というのは千葉県の房総半島の東側の大原駅から上総中野駅までを結ぶ全長27キロ、駅数14駅の非電化の第三セクターのローカル線です。実はこの「いすみ鉄道」は今、鉄道ファンたちから絶大な支持を集めているのです。
いすみ鉄道の旅は、外房線・大原駅から始まります。蘇我駅で内房線と分かれて、房総半島東側へ向かいます。千葉駅からの所要時間は一時間あまり。いよいよ、いすみ鉄道のたびの始まりです。
いすみ鉄道は、元々は国鉄木原線。当時より赤字ローカル線で1988年にいすみ鉄道として転換されました。第三セクターとなった後も乗客は減り続け、2006年には乗客が転換当時の半分になっていました。改善策の一つとして、自らも鉄道ファンだといういすみ鉄道社長 鳥塚 亮氏が登場したのです。
鉄ちゃん社長の鳥塚氏が打ち出したのは、「ここには“なにもない”があります」という驚きのキャッチフレーズ。ローカル線のよさをわかる人にだけ来てもらえればいい」
そんないすみ鉄道の現在のウリは、国鉄時代の旧車両です。まずはキハ20。国鉄が1957年に開発した気動車で1966年までに1000両以上が作られて、日本各地を走った車両です。
いすみ鉄道の人気の秘密は国鉄時代のレトロな車両が現在も、当時と同じように現役で走ることなのです。キハ20以外の人気の車両はと言えば、まずは、写真の左側のキハ28です。
キハ28は国鉄が1960年代に開発した急行型の気動車です。同じグループでキハ58という車両もあり、こちらはエンジンが二機掲載され、より山岳路線でも使えるようにした車両です。
お隣にある黄色い車両は国鉄末期、国鉄から転換された第3セクター鉄道用に作られたLEカーといわれる車両。ムーミンのシールが貼られ、ムーミン列車と人気の車両です。
そうそう、途中の国吉駅にはムーミングッズを販売するムーミンショップがあります。
いすみ鉄道はのどかな田園地帯の中を走ります。春の時期、沿線には桜や菜の花が咲き満ちて、沿線には大勢のカメラマンや写生をする人たちが集まります。
ローカル線なので本数が少なくて、一度下車してしまうと次の列車まで一時間待たないといけないなんてことになります。そんなのんびりとした時間が流れているのがいすみ鉄道なのです。
都会の秒刻みで生きている現代人に人気の理由はそこにあるのかもしれません。
いすみ鉄道の沿線には観光地はあまりありません。だからこそ、何もないことをウリにしたキャッチフレーズ「ここには“なにもない”があります」なのです。ローカル線とのどかな田園風景、国鉄の旧車両、ムーミン列車しかないのです。
が、本社のある大多喜町には少しですが、観光できる場所があります。かつて徳川家康の武将の一人の本多忠勝の築いた城跡があり、今は再建された天守が博物館になっています。大多喜町では毎年秋には「お城まつり」があり、10万石の武者行列が再現されています。
また、古い商家や造り酒屋があり、時間に余裕があれば訪ねてみてください。お酒好きの方には、その名も「大多喜城」という大吟醸があります。
大多喜鉄道の終点、上総中野からは内房線・五井駅に向けて、同じくローカル鉄道の「小湊鐵道」が走っています。
いすみ鉄道・小湊鐵道を通して乗ることが出来る一日乗車券「房総横断記念乗車券」が発売されています。(ただし、後戻りはできません。)
小湊鐵道も、いすみ鉄道と同様に鉄道そのものの人気を盛り上げようと、2015年秋からはトロッコ列車「里山トロッコ」が走り始めました。かつて走っていた蒸気機関車を模したディーゼル機関車が人気を博しています。
「ここには“なにもない”があります」そんなところに、何かを求めて、あるいは心の洗濯に、自分を見つめなおす旅に出てみてはいかがでしょうか?
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