写真:Hiroko Oji
地図を見るスウェーデン南部のスコーネ地方は、森と湖に囲まれた国土の中で唯一穀倉地帯が広がる州です。その中のオーレスン海峡に面したヘルシンボリ(Helsingborg)の町は、対岸のデンマークと再接近している場所にあり、町から出るフェリー航路は、以前はデンマーク・スウェーデンを結ぶ幹線だったものです。
このフェリーの着く港と鉄道駅、バスターミナルはクヌートプンクテン(Knutpunkten)と呼ばれる近代的な建物に集約されており、斜め向かいにあるのが町のシンボルともなる市庁舎です。素敵な煉瓦造りの建物で、とんがり帽子の乗っかる塔と時計塔があり、まるでお城のような姿をしています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るスコーネ地方は、スウェーデンの女流作家セルマ・ラーゲルレーヴの児童文学「ニルスの不思議な旅」の舞台となった所。いたずらっ子のニルスが小人にされ、ガチョウの背に乗って冒険して回る最初の地なのです。中世には多くの地方領主の支配下にあり、彼らの建てたお城が多数点在しています。
その古城の一つがヘルシンボリにもあって、「シェールナン(Karnan)」と呼ばれています。14世紀後半から15世紀にかけて建てられましたが、お城部分は1680年、当時の王カール11世によって破壊されてしまいました。現在残っているのは、正面の丸みを帯びた部分と奥の軍事目的で造られた塔のみです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るシェールナンの塔からは素晴らしい眺めが一望できます。基礎石の厚さ4.5メートルもある頑丈なもので、高さ35メートルの塔からは町を見渡せ、奥には海を隔ててデンマークのヘルシンオア(Helsingor)の町も見えています。
このヘルシンボリの町の歴史は1085年までさかのぼります。デンマークの支配下におかれて軍事や経済の拠点として発展しましたが、1675年から始まったスウェーデンとデンマークによるスコーネ戦争のため焼き払われてしまい、ほとんどが廃墟となった町なのです。その後、19世紀の産業革命で息を吹き返した町が、現在の姿を見せるまでになりました。
写真:Hiroko Oji
地図を見る1675年から79年にかけてデンマークとの間で行われたスコーネ戦争では、町のほとんどが焼き払われてしまったのですが、唯一その戦火を免れた家がヤコブ・ハンセンの家(Jacob Hansens hus)。
シェールナン前のノラ・ストガータン通り沿いにあるティーコ・ブラーヘ広場に面した、赤い煉瓦造りのこげ茶色の木枠が美しい大きな民家です。この中ではパーティーや結婚式などのイベントを開催することができます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る市庁舎から高台のシェールナンへと続く坂道の両側には歩行者専用の道がいくつも延びています。この辺りは町唯一のショッピングエリアとなっており、その一番登り切った所にあるのが、聖マリア教会です。
この教会もヤコブ・ハンセンの家と共に、戦火を免れています。シェールナンと通りを挟んで斜め向かいにあり、赤煉瓦の教会内部は華美ではないけれど、立派な美しい主祭壇をはじめ、色鮮やかなステンドグラスや説教壇が目を引きます。
オーレスン海峡を挟んで4キロメートル離れた対岸には、デンマークのヘルシンオアの町並みが広がります。この間はフェリーが頻繁に出航していて、20分程度で到着できる位置。デンマークは北欧一酒税が低いため、スウェーデンから酒類の買い出しにデンマークへ渡る人が多く、抱えきれないほどの酒類を抱えて帰ってくるスウェーデン人の姿がフェリーを埋めています。
また対岸のクロンボー城を見学したついでに、この町を訪れる観光客も多く、フェリーはかなりの人気です。このフェリーが発着する港は鉄道駅とバスターミナルが隣接しているので、交通の便からも訪れやすい町となっています。
この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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