石川県金沢市「室生犀星記念館」文豪・室生犀星の“ふるさと”

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石川県金沢市「室生犀星記念館」文豪・室生犀星の“ふるさと”

石川県金沢市「室生犀星記念館」文豪・室生犀星の“ふるさと”

更新日:2017/11/27 18:11

KISHI Satoruのプロフィール写真 KISHI Satoru 岬の狩人、伝記研究者、旅するパンクス

“ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの”という冒頭から始まる「抒情小曲集」の詩は多くの方に知られています。作者は、俳句、詩、小説、随筆と多くの作品を生み出した文豪・室生犀星。

室生犀星の故郷・石川県金沢市には美しい二つの庭を持つ記念館があります。泉鏡花、徳田秋聲と共に“金沢三文豪”の一人である室生犀星の生涯と作品を辿り、その肉声も聴ける「室生犀星記念館」を御紹介致します。

石川県金沢市「室生犀星記念館」の概要とアクセス

石川県金沢市「室生犀星記念館」の概要とアクセス

写真:KISHI Satoru

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二階堂ふみさん、大杉漣さん等が出演している2016年(平成28年)に公開の映画『蜜のあわれ』の原作も室生犀星(むろお さいせい、1889年〜1962年)の作品。今なお、人々を魅了する作品の数々を残した室生犀星を顕彰する記念館が石川県金沢市の「室生犀星記念館」です。

金沢駅兼六園口(旧東口)から城下まち金沢周遊バス左回りルートのバスに乗車をすれば、約11分“片町”の停留所。下車の後、徒歩で約6分の場所にあります。北鉄石川線“野町駅”からは、徒歩・約10分でアクセス可能です。また5台分の駐車場(内障害者スペース1台含む)もあり、車での訪れる方も安心です。

入口の直ぐ近くには、“室生犀星誕生地跡”と刻まれた石碑が建立されています。こちらは、生家跡地に建つ記念館なのです。

※「室生」の読みは一般に「むろう」も使用されていますが、室生犀星記念館では現在、室生家の御遺族が通常使用されている表記「むろお」に統一しています。当記事も室生犀星記念館に倣い「むろお」と表記しています。

文豪・室生犀星の生い立ちと庭造り

文豪・室生犀星の生い立ちと庭造り

写真:KISHI Satoru

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「室生犀星記念館」には、“九重塔”、“灯籠”など実際に室生犀星の庭に用いられていたものが移されています。敷地内には二つの庭があり、写真は館内中央にある“四方仏のつくばい”が置かれた池庭(ちてい)です。その向かい側には室生犀星の生涯が当時の写真と共に紹介された年譜もあるので、その軌跡を一覧出来るようになっています。

1889年(明治22年)、石川県金沢市に小畠弥左衛門吉種(こばたけ やざえもん よしたね)と小畠家の女中の間に男児が誕生。生後間も無く雨宝院の住職・室生真乗(むろお しんじょう)と内縁の妻・ハツに預けられ、照道(てるみち)と命名されます。

野町尋常小学校を卒業後、長町高等小学校に入学しますが、二年で退学。金沢地方裁判所の給仕として勤務、そして文学の面白さに目覚めます。俳人・松尾芭蕉が訪れた元禄以来、日本でも有数の俳諧の町となっていた金沢市。職場には俳句に優れた先輩もいて、照道も自ら句作を始めます。

本名・室生照道、後に筆名・室生犀星を使用した偉大な文豪の生い立ちです。上京後、1918年(大正7年)「愛の詩集」、「抒情小曲集」を出版。1923年(大正12年)関東大震災の後に金沢に戻り、故郷の山河や風物に触れて、生涯に渡り情熱を傾けた本格的な庭造りを始めたのです。

2階天井まで届く“全著作・初版本の表紙パネル”

2階天井まで届く“全著作・初版本の表紙パネル”

写真:KISHI Satoru

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「室生犀星記念館」の二つの庭の間にある“心の風景”のスペースでは、室生犀星の全著作・初版本の表紙パネルが年代順に並んでいます。1918年(大正7年)の『愛の詩集』から、1962年(昭和37年)の『好色』まで、161作品が二階の天井まで飾られているのは、非常に壮麗です。

その手前部分には、“杏(あんず)の木”、“蟻(あり)”、“蟋蟀(こおろぎ)”、“石斑魚(うぐい)”の造形物に合わせて、室生犀星の文章が添えられています。“杏の実”、“椿”には長女・朝子の文章が添えられ、父・室生犀星の自然や生き物に対する愛情に溢れた接し方を表すエピソードが記されています。

また映像コーナーもあり、室生犀星の生涯や作品など分かりやすく紹介されています。長女・朝子を始め、詩人で評論家の伊藤信吉や代表作『風立ちぬ』を著した堀辰雄の妻・堀多恵子といった方々が語る室生犀星の人物像など見応えのある内容です。

多くの文人たちの交友関係と“1階展示室”

多くの文人たちの交友関係と“1階展示室”

写真:KISHI Satoru

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詩人・歌人の北原白秋(きたはら はくしゅう、1885年〜1942年)に認められ、文芸誌「朱欒(ザンボア)」1月号〜5月号に詩・15篇が掲載。5月号には、詩人・萩原朔太郎(はぎわら さくたろう、1886年〜1942年)の4篇も掲載。

北原白秋が発行した「朱欒」によって知り合った二人は、生涯を通じて友情で結ばれます。“田端文士村”とも通称されるようになる東京・田端では、多くの文人が住み、中でも芥川龍之介や堀辰雄などとも深く交流します。

1階の展示室では、上述の交友関係も含めて、室生犀星の生涯と作品を辿る紹介がなされています。自筆原稿や書簡といった物から、ソフト帽、杖、文机などの愛用の品々などが展示され、室生犀星の生活や人柄が感じられるようになっています。

交友関係が紹介されているコーナーでは、イラストで描かれた室生犀星を中心に、友人・先輩・弟子・孫弟子といった矢印と共に関係図が掲げられているのも必見です。関係性が、ひと目で分かるようになっています。

2階“犀星とわたし”室生犀星の作品に触れ、肉声を聴く

2階“犀星とわたし”室生犀星の作品に触れ、肉声を聴く

写真:KISHI Satoru

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2階展示室では、様々なテーマによる企画展が開催されています。詳しい情報は下部関連MEMOにもあります、公式サイトへのリンクから御確認下さい。

その他、“犀星とわたし”のコーナーでは、作品を手にとって「読む」、パソコンで写真を「見る」、犀星の詩・俳句と好きな写真を組み合わせてオリジナルポストカードを「作る」、作品の朗読や歌、犀星作詞の校歌、犀星の声を「聴く」と室生犀星をより身近に体感できるように工夫がなされています。

特に校歌の作詞に関しては、石川、富山、長野、東京など多くの学校を手掛けています。作曲者も山田耕筰、信時潔、弘田龍太郎、平井康三郎など錚々たるメンバーと組んで制作しているのも注目ポイントです。

また初版本の表紙パネルや中庭の水面などを2階部分から眺めるのもオススメです。こちらで、じっくりと室生犀星を身近に感じてみて下さい。

石川県金沢市「室生犀星記念館」のまとめ

1階には、ミュージアムショップも併設しているので、こちらで図録や関連書籍、ストラップやハンカチーフといったオリジナルグッズなど、記念やお土産に購入してみてはいかがでしょうか。

「室生犀星記念館」の直ぐ近くには、室生犀星の育った「雨宝院」もあります。また“うつくしき川は流れたり”と詩にも書かれた雄壮な流れの犀川の畔には、詩碑も建立されているので、それぞれ合わせて巡ってみると、作品に描かれた情景がより一層、深く味わえます。金沢の自然を眺められ、散歩にも最適なのでオススメです。

以上、文豪・室生犀星の生誕地に建つ石川県金沢市「室生犀星記念館」の御紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/04/06 訪問

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