川崎市・生田緑地の初夏。森の宝石「ゼフィルス」に会おう!

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川崎市・生田緑地の初夏。森の宝石「ゼフィルス」に会おう!

川崎市・生田緑地の初夏。森の宝石「ゼフィルス」に会おう!

更新日:2016/04/19 15:39

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター

ゼフィルスと聞いてもピンとこない方も多いと思われますが、要するに木の上で暮らすシジミチョウのこと。小さいながら翅が美しい種が多く、昆虫ファンでなくても心奪われます。その分自然度の高い公園でないと首都圏ではなかなか出合う機会がありませんが、ご紹介する生田緑地は、川崎でも有数の濃い緑景観を有する生きものに満ちたスポット。ゼフィルスの数が非常に多く、時には門をくぐってすぐに遭遇することもあるくらいです。

入口ではまず、菖蒲園がおでむかえ

入口ではまず、菖蒲園がおでむかえ

写真:鷹野 圭

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生田緑地は小田急線「向ケ丘遊園駅」から一本道、十分に歩いてこられる距離にあります。エントランスを抜けてビジターセンターの横を通過すると、まず見えてくるのが写真の菖蒲(しょうぶ)園。ご覧の通り深い樹林に囲まれた中、5月末から6月中旬にかけての暑さの増してくる時期に涼しげな青や白の花をたっぷりと見せてくれます。まさに生田緑地の「顔」というに相応しい、水と緑の“うるおい”とハナショウブの華やかさが共存するスポット。中央には東屋があり、周りを菖蒲に囲まれながら一休みすることもできますよ。

ここを抜けた先では緩やかな傾斜を小川が流れ、トンボやカエルなどの水辺を好む生きものがよく見られます。小川の上流にある小さな池は、カワセミの出現スポットとして人気です。さらに階段を昇った先に、プラネタリウムや飲食店を有する「かわさき宙(そら)と緑の科学館」があります。この中では生田緑地をはじめ川崎市内の自然に関する多彩な展示が見られますので、まずは散策前に一度訪問してみるといいでしょう。

これがゼフィルス! 草木の上をよく探してみよう

これがゼフィルス! 草木の上をよく探してみよう

写真:鷹野 圭

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一般的に街中でもよく見られるシジミチョウと比べると、ゼフィルスはやや大きめで羽の色・模様などが目を惹く種が多い傾向にあります。写真はウラナミアカシジミといい、その名の通り赤を基調とした翅にいくつもの黒い波模様が入っており、木の葉などに止まっているとよく目立ちます。ここ生田緑地では最もよく見かけるゼフィルスの一種で、クリの蜜などを好むので樹上を飛んでいることが多いのですが、結構な頻度で地表近くまで下りてきてくれるので間近で観察することが可能! 羽を開くと鮮やかなオレンジ色ですが、基本的には閉じていることが多いので根気よく待ちましょう。熱中症には要注意(汗)。

この他によく見られるゼフィルスとしては、波模様がなくほぼオレンジ一色のアカシジミや、薄い青色を帯びた翅に黒のラインが入ったお洒落で涼しげな配色のミズイロオナガシジミなどが該当します。こうしたゼフィルスは広い生田緑地のほぼ全域で見られ、実際このウラナミアカシジミは菖蒲園の畔で撮影したものです。自然度が高いゆえ、どこに現れてもおかしくないので、常に「何か飛んでいるものがいないか?」「近くの葉っぱに何か止まっていないか?」と注意を払いながら歩いてみましょう。

誰もが憧れる、あのチョウの姿も!

誰もが憧れる、あのチョウの姿も!

写真:鷹野 圭

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生田緑地には大きなハンノキ林があり、樹木が乱立し下草が生い茂る森林の中に木道が通るエリアとなっています。森林浴に最適なこのエリアには、あるゼフィルスが生息しています。それが写真のミドリシジミ。翅の表側がメタリックなグリーンで、美しいと評判のゼフィルスの中でもとりわけ目を惹く種として高い人気を誇ります(写真の個体は翅を開いていませんが、フラッシュをたいた際に翅の表側が僅かに透けています)。

このミドリシジミの幼虫はハンノキの葉を食草としており、自然度の高いハンノキ林がなければ生きられません。近年は開発などの影響で首都圏のハンノキ林は随分減り、それに併せてミドリシジミを見られる機会もめっきり少なくなってしまいました。ここ生田緑地は健全な環境を有するハンノキ林が保全された稀有なスポットですが、それでも本種に会えるかどうかは運次第。根気よく枝の上や林床部をチェックして探してみましょう。実際に見られた時の感動は格別です。

アジサイの咲く緑地を歩き、丘陵地の自然を体感しよう

アジサイの咲く緑地を歩き、丘陵地の自然を体感しよう

写真:鷹野 圭

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初夏といえばアジサイ。生田緑地でも森の中の随所に植栽されており、寒色系の花々が清涼感をもたらします。かわさき宙と緑の科学館がある中央広場(芝生広場)の南側、高台にある「あじさい山」が一番のビューポイント。来園時にはぜひ押さえておきましょう。

ここ生田緑地は、東京・多摩から三浦半島の南端まで続く通称「イルカ丘陵」とも呼ばれる丘陵地帯の一角に位置し、起伏の大きい立地の中に見事な緑地帯を残しています。上記のハンノキ林やあじさい山を始め、王道のクヌギ・コナラ林、巨木の立ち並ぶ姿に圧倒されるメタセコイアの林、バードウォッチングに最適な野鳥の森などを有し、都心近郊とは思えないほどの多彩なジャンルの“緑”が残されています。この辺りの情報はビジターセンターや上記の科学館などで収集できますので、ぜひ参考にしてみてください。

離れの“ばら苑”は、生田緑地屈指の色彩豊かな空間!

離れの“ばら苑”は、生田緑地屈指の色彩豊かな空間!

写真:鷹野 圭

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自然樹林と生物多様性が軸ともいえる生田緑地ですが、実は本園から少し離れたところには大きなローズガーデンがあります。晩春から初夏、そして秋というバラの美しい時期限定でオープンするこの『生田緑地ばら苑』は、豊かな森林に四方を囲まれた中に生まれた、花の楽園。シーズン中に花開くバラは約530種・4,700株にまでおよび、暖色系から寒色系まで、華やかな大輪咲きから可愛らしい小輪のつるバラまで、そして王道のイングリッシュローズから日本原産の野趣に満ちた野バラに至るまで……と、そのバリエーションは大変豊富です。

このばら苑は元々向ケ丘遊園の中にあったもので、閉園に伴って市民から存続を願う声が多数挙がり、2002年に川崎市が管理を請け負う形で引き継がれました。本来であれば開園50年以上にもおよぶ大変歴史あるローズガーデンで、長い年月の中で再整備・改良を繰り返され、誰もが心地よい時間を過ごせる空間へと進化しました。

イチオシは、プリンセス・ミチコなどの皇室等にちなんだバラを多く植栽しているロイヤルコーナー。ばら苑の中でも一際華麗で「これこそバラ!」と思わせる花がいっぱい! ビギナーにもコアなバラファンの方にもお楽しみいただけることでしょう。

※開園期間などは、ばら苑のWebサイトをご参照ください。

首都圏屈指の自然公園で、多様な“いのち”に触れる喜び

首都圏では都市緑化がスタンダードになりつつあり、数多くの自然公園を軸に“緑”が多く見られるようになってきました。そうした中でもこの生田緑地は、緑の濃さといい生きものの数・種類の多さといい、首都圏でも指折りの豊富さ。駅からのアクセスも良く、ピクニックなどに適した芝生広場や子どもウケしそうな展示なども豊富なので、家族連れの方に特におススメのスポットです。

ゼフィルスは樹林を軸にほぼ緑地全域で見られます。その美しさゆえについ採集してしまいたくなるかもしれませんが、そこはグッと我慢。首都圏では生息域が限られ、数も減少傾向にありますので、そっと観察するだけに留めましょう。よく飛び回りますが、待っていると葉の上で翅を休めることもしばしばありますので、スマートフォンなどでも撮影できるはずです。

【アクセス】
小田急線「向ケ丘遊園駅」より徒歩約13分
小田急線・JR南武線「登戸駅」より徒歩約25分

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/31 訪問

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