写真:沢木 慎太郎
地図を見る世界遺産に登録された信仰の道“熊野古道”。熊野三山(「熊野本宮(ほんぐう)大社」「熊野速玉(はやたま)大社」「熊野那智(なち)大社」)を目指す道のことです。
この聖地・熊野でおススメしたいお守りは、写真に写っている“勝守”。張り紙に「なでしこジャパンが身に付けていたお守りです」と書いてあったので、興味を惹かれました。
那智の滝を間近に仰ぎ見ることができる飛瀧(ひろう)神社に置かれていたお守りで、青と赤の二種類の色があり、どちらも『八咫烏』のデザインがプリントされています。
「このカラスは何ですか」と、お守りを売っている人に尋ねました。
この変わった名前のカラスは、日本神話に出てくる三本足のカラスで、初代天皇の神武天皇を勝利に導いたと伝えられる縁起の良い鳥。サッカー日本代表選手のエンブレムにも採用されているとのこと。
なでしこジャパンは、この『勝守』のお守りを身に付けて、2012年の夏季ロンドンオリンピックに出場し、銀メダルを獲得したことを知りました。
また、2011年にドイツで開かれたサッカー女子ワールドカップ(W杯)では、なでしこジャパンは世界ランキング1位のアメリカと激突。この前日に熊野那智大社で地元のサッカークラブの子どもたちが必勝を祈願したところ、子どもたちの願いは叶い、なでしこジャパンは接戦の末にアメリカを破り、世界一の栄冠に初めて輝きました。
なでしこジャパンは那智大社のお守りや参拝で勝利を手にしたのです。これはご利益がありそうですね。人生の勝負の際には、ぜひともこの“勝守”を身に付けて、勝負に挑みましょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る写真に写っているのは、『八咫烏』をあしらったお守り。熊野那智大社で見つけました。まるで卵を温めるように、身体の下でおみくじをしっかりと抱きとめています。掌にすっぽりとおさまり、ヒナのようで可愛いですね。
カラスというのは、どちらかというと縁起が悪い鳥といったイメージがありますが、実はそうでもないのです。
『古事記』や『日本書紀』には、日本の初代の天皇である神武天皇が南九州から奈良へと向かう時に紀伊半島をぐるっと回って熊野に上陸したとあり、熊野から奈良への道案内をしたのが、太陽神の天照大神(あまてらすおおみかみ)の使者として使わされた三本足のカラス『八咫烏』。
神武天皇を勝利に導いたと伝えられる縁起の良い鳥で、“ゴールに導く神の使い”ともされています。八咫烏は太陽の化身で、三本の足が特徴。この三本の足は「天」「地」「人」を象徴しています。
三本足の烏は、太陽に住む金鳥として中国の神話にも登場。日本書紀にも、金鵄(きんし)という金色のトビが登場し、八咫烏と混同されています。
カラスは太陽と結びつきが強い鳥とされ、ギリシア神話でも太陽神アポロンはカラスを使いとしています。
アイヌの神話でも、カラスが太陽を救うという話しも。太陽にある黒点をカラスだとする説もあります。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る那智熊野大社や飛瀧神社などのお土産を覗くと、お守りで一番多いのは『八咫烏』をデザインしたお守り。
写真のお守りはストラップタイプで、携帯するのに便利です。可愛いデザインなのでスマートフォンにも似合いそう。
この『八咫烏』は、日本サッカー協会のシンボルマークに使われています。
那智熊野大社が建つ那智勝浦町は、日本サッカー生みの親とされる中村覚之助の出身地。明治35年に東京高等師範学校(現・筑波大学)に在学していた時、ヨーロッパで人気のサッカーを日本に普及させようと、日本で初めてのサッカー解説指導書を発行したり、日本で最初のサッカー試合を行なったりしました。
その中村覚之助に敬意を表し、熊野那智大社の八咫烏のデザインを協会のシンボルマークに採用したというのが有力な説。那智熊野とサッカーとの意外なゆかりがあるのですね。
この八咫烏。日本神話に登場する賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が八咫烏に化身して神武天皇を先導したとされています。
賀茂建角身命というのは下鴨神社の祭神で、賀茂氏族の先祖。そして、7世紀に登場した修験道の開祖である役行者(えんのおづの)も、賀茂氏(加茂氏)の出身というからから不思議な縁を感じます。
また、八咫烏というのは熊野に昔から住んでいた一族とする説も。その末裔が今なお熊野の集落で暮らし、那智の火明りの大たいまつを担ぐのがこの人たちの役割とされています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る熊野那智大社は、日本神話の女神イザナミノミコトとされる熊野夫須美神(くまのふすのかみ)を祀っています。“ふすみ”は「結ぶ」の意味であり、縁結びの神さまとしても有名。
そこで、縁結びにおススメなのが、写真の“えん結びの糸”です。上質な和紙で包まれた封を開けると、色鮮やかな紅白の糸が。
また、「ゑん結び糸」と記された一枚の紙が入っています。
そこには、こんなことが書き記されていました。
「人の世は目に見えない糸のような不思議な縁のつながりがあります。
この縁の糸を引きだすことの上手な人が幸福をつかみます。
とりわけ男女の縁は正しくつかむ人が良縁を得ることになります」
神さまには、“くくり姫”と呼ばれる縁結びの神がいらっしゃいます。
糸をくくるように人々の願いを聞き入れて下さる神さま。男女の仲の糸をくくり整えるように取り持つ神さまで、日本書紀にも記されています。
目に見えないものを信じる気持は、相手への心に通じるはず。
いつか結ばれる男女は、見えない糸で結ばれています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最後にご紹介したいのが、熊野那智大社の御朱印。「日本第一霊験所」と記されています。さらに八咫烏の印も。
優美さと力強さを感じさせる見事な文字です。那智の滝のイメージと重なりました。
熊野那智大社は、熊野夫須美神をはじめ、12神をお祀りしています。この御朱印には熊野那智の神々のご利益があり、ご縁を結ぶ印。熊野のパワーがひしひしと感じられました。
このほかにも、那智の瀧の水を使用し、那智黒硯(なちぐろすずり)を使った筆で描かれたお札「熊野牛王符(くまのごおうふ)」などもあり、お守りを見ているだけでも楽しむことができます。
いかがでしょうか?
熊野那智大社にお参りに行った際には、ぜひお守りも覗いてみてください。ご利益にあやかったオリジナルのお守りが見つかるはず。きっと幸運が舞い込んでくることでしょう。
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(2024/11/9更新)
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